見出し画像

ディスクブレーキとリムブレーキどちらを選ぶべきなのか

2年前にDomane(ディスクブレーキ)、今年に入ってAethosと、ディスクブレーキロードを乗り継いできました。そんな今でも、ディスクブレーキとリムブレーキどちらが良いのか(良かったのか)、悩み続けています。

せっかくなので、2021年現時点での考えをまとめておこうと思います。

■ディスクブレーキロードのメリット・デメリット

リムブレーキとの比較になりますが、ディスクブレーキロードのメリット・デメリットをまとめてみると・・・

○ブレーキが軽い

リムブレーキとディスクブレーキで、峠を下った時を比較すると、ディスクブレーキの方が圧倒的に楽です。手が疲れません。
 ワイヤーと油圧システムの違いなのか、ブレーキ時に握力がそれほど必要ありません。それにより、ブラケットを持った状態でのブレーキングが、非常に楽です。

またリムブレーキだと、キャリパーの剛性の関係なのか、シューが歪むのか、あるいはワイヤーが伸びるのか、ブレーキが効き始めてからも、なおブレーキレバーを握りこめますよね。ディスクブレーキだと、ブレーキの効きを調整することはできますが、握りこむまではいきません。こうした点も違いかなと思います。

○雨でもブレーキが効く

各所で識者が指摘していますが、ディスクブレーキにしたからと言って、制動力が上がるわけではありません。
 なぜなら、ロードバイクの制動力の限界は、タイヤのグリップにあるからです。リムブレーキでもディスクブレーキでも、タイヤを容易にロックできるくらいブレーキが効くことを考えると、制動力に差はないと言えるでしょう。

ただし、雨天時は大きく違うと思います。リムブレーキは雨だと本当に効かなくなりますよね。シューもあっという間にすり減りますし。
 その点、ディスクブレーキは雨でも制動力が大きく下がることが無いので、雨でも効くという点は大きなメリットです。

○スルーアクスルの影響で、ホイールが良く回る

ディスクブレーキにして速くなったと感じたのですが、その大きな要因の一つが、スルーアクスルにあると思ってます。
 剛性が高くなって、ホイールのベアリングがちゃんと働いているように感じます。Domaneに乗り始めたとき、特にちょっとした下り坂で、スッと加速するのが印象的でした。

元々は、ディスクブレーキを適正にセットするためのスルーアクスルだったと思うのですが、その副次的効果は高いなと思ってます。

○太いタイヤを履ける

僕がロードバイクを始めたときは、23cのタイヤが基本でした。転がり抵抗を少なくするために、TTなんか21cとかを履いてました。
 しかし近年、タイヤを太くしても転がり抵抗は変わらないか、むしろ跳ねたりしない分、抵抗が下がるということが、一般的な認識になっています。25c、あるいは28cが主流になりつつありますね。

リムブレーキの場合、構造上太いタイヤを履くことが難しいです。比較的太いタイヤが履ける、リムブレーキのダイレクトマウントタイプであっても、28cが限界で、これ以上タイヤが太くなってくると、対応できません。

×重量増

一番大きなデメリットは、重量増だと思います。油圧ブレーキシステムだと、レバー部分が重くなりがちですし、ホイールも、ローターのための補強や、ローターそのものの影響で、結局重たくなっています。

それにより、全体的に乗り心地がもっさりします。軽快感がない。振りが重い。登りで直接的に響く以上に、とにかく全体的な乗り心地の悪さが目立ちます。
 それにより、何というのでしょうか、バイクとの一体感といった、官能的な部分も損なわれている気がします。

×値段が高い

ディスクブレーキロードは、全般的に値段が高いです。コンポ自体の値段が少し高いので、仕方ないですかね。特にエントリークラスで、5万円前後高くなっている印象です。

×取り扱いの難しさ

ディスクブレーキは、エアーを噛んでしまうと、効かなくなってしまいます。もちろんエアーを噛まないように、メーカー側でも工夫していますが(オイルのリザーバータンクを密封にしたりね)、それでも噛むときは噛みます。
 幸い、自分はひっくり返したり、持ち運んだりしても、今のところエアー噛みはありませんが、周囲でそういう症状で悩んでいる人を見るたびに、びくびくしてます。

△輪行のしやすさ

上記にも通ずるところではありますが、一般的にリムブレーキの方が輪行をしやすいと言われてます。
 エアーを噛まないように、あるいはパッドが飛び出ないように、パッドスペーサーを挟む必要がありますし、ローターが歪まないようにする必要があります。

ただこれまで結構輪行をしてきた個人的な印象を言うと、リムブレーキであってもディスクブレーキであっても、輪行のしやすさはそんなに違わないかなと。
 もちろん、リムブレーキの方が手軽ですよ。かつては輪行袋にフレームを入れて、その両サイドにホイールを放り込んで、袋を閉じて終了、というような1分で輪行みたいなことを平気でしていたので(ストラップとかそういうのが無くても、袋の上からクランクやペダルを両手でつかめば、意外とうまく運べるのです。フレームは傷つきまくりだったとは思いますが)。
 ですが、普通にある程度丁寧にしようと思ったら、ディスクブレーキもリムブレーキも変わらないように思っています。

■結局どちらがいいの?

ディスクブレーキとリムブレーキは結局どちらがいいのか、やっぱり悩ましいところですし、ディスクブレーキに全振りした身としても言いにくいところではありますが、今はまだリムブレーキで良いんじゃないかなと思ってます。

フリーダムの店長も、リムブレーキとディスクブレーキの同じ自転車を乗り比べてそのような結論(2020年8月頃の記事を参照ください)を出してますし、La Routeの編集長安井さんも、似たような結論を出しています。
 この話題に関して、業界的にこうした意見を言いづらい事情は、相当加味すべきだと思っています。だからこそ、彼らの率直な意見は、かなり参考になると思うのです。

自分も、DomaneからAethosに乗り換えた最大のきっかけが、バイク全体の軽快さの無さにありました。速いのかもしれないけど、もっさりして進まない、そうした不満があって、軽くて楽しそうな自転車に乗り換えたのです。
 さすがにトップグレードなだけあって、軽快で、今まで感じていたネガも解消されて、良い選択だったと思っていますが、一方で、だったらリムブレーキで良かったんじゃね?という思いもあります。

もっとも自分の場合、Domaneを購入した際にリムブレーキに関する一切を手放したので、リムブレーキに戻すという選択肢はありませんでした。
 が、もし2019年当時の自分にメッセージを伝えることができるなら、「ディスクはまだ早い…リムブレーキを使い続けよ…」と言うかなと思ってます。
(実はAethosではなく、リムブレーキバイクを9100機械式で一式組もうとかなり悩んでもいました。WinSpaceのSLC2.0で、ホイールはLunWheelで、と考えていたのですが、2台を使い分けることができる自信がなかったので、1台に集約した形です。とは言いつつも、Domaneを復活させようと、動き始めています)

■ところで、同じような議論があったような…

一方で、リムブレーキの方が良いんじゃない?という議論について、自分は似たような議論を耳にした記憶があります。それは、カーボンフレームの黎明期における、クロモリの方が乗り味が良い、という意見です。

自分がロードバイクを始めたのは、2007年。初めに乗った自転車は、CanondaleのCAAD9でした。アルミフレームです。ちなみに、その前のモデルのCAAD8は、ジロデイタリアを制している、そんなバイクです。
 当時はフルカーボンフレームはトップグレードしかなく、アルミフレームやスチールフレーム、あるいはそのハイブリッドが主流でした。カーボンバックのフレーム(シートステーだけカーボンにして乗り心地を良くしたフレーム)とか、懐かしいですよね。

その際に良く言われていたのは、前述の「カーボンにしては良くやっているが、クロモリには及ばない」という意見です。

自分はスチールフレームのバイクには乗ったことが無いので、その乗り心地がどんなものか分からないのですが、独特のものがあったのでしょう。
 ですが、スチールフレームに乗ったことが無い自分にとって、こうした意見はある意味で懐古主義的なものでした。

もしかしたら同じことが今後起きるのかもしれません。つまり、ディスクブレーキからロードバイクを始めた、という人が主流になってくると、ディスクブレーキのネガの部分なんて気にしなくなるのかなと。
 機材の評価なんて、相対的なものですからね。あるいはそもそもネガに思っていた部分が、ある種のリムブレーキに対する憧憬であり、その頃には大した違いでなくなっているということも。

■まとめと最善の選択

まとめと言いつつ、まとまっていませんが、これを読んだ方にアドバイスをするとすれば・・・

まず、リムブレーキロードに今乗っている方には、そのバイクを乗り続けることをお勧めします。きっと、最新のディスクブレーキロードが欲しいのだと思いますが(自分がそうでした)、まだディスクブレーキは成熟していません。もう少し経ってからでも遅くありません。
 今ディスクブレーキを買うくらいなら、リムブレーキの良いホイールを買った方が幸せになれると思います。

続いて、ディスクブレーキロードに今乗っている方には、とにかくバイクの軽量化をお勧めします。敢えてリムブレーキに乗り替えるほどはないと思いますので、それよりはコンポーネントの電動化やホイールの軽量化などしましょう。
 自分もDomaneに乗っていた時に、Di2化+一体型ハンドル化で、ハンドル周りを大幅に軽量化した結果、乗り味がリムブレーキ時代に戻ったと感じましたのでお勧めです。

最後に、これからロードバイクに乗ろうという方ですが、現状では完成車から選ぶとなると、ほぼディスクブレーキしか選択肢がありません。なのでディスクブレーキほぼ一択という感じになりますが、その中でも、上のアドバイスにもあるように、可能な限り電動変速を選びましょう。
 ただ、もしリムブレーキを選ぶことができるなら、リムブレーキに乗ることをお勧めします。完成車はあまりありませんが、まだフレームセットなら、リムブレーキモデルもあります(フレームとコンポを別買いという、玄人的な買い方にはなりますが)。あるいは、アンカーとかなら、リムブレーキ完成車もまだ売っているようですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?