ニンジャスレイヤーTRPG第2版シナリオ集『AOSニチョームキャンペイグン』第10話『ニチョーム・ウォー:ロンゲストデイ』ルートB:西部戦線
この記事はニンジャスレイヤーTRPG第2版においてのロングキャンペーンシナリオの第10話のルートBとなります。各種データ等はDHTLS公式の定めるガイドライン内において、自由に使用・改変していただいて構いません。データには多分にプラグインデータおよびデータ実験場のβ段階のデータが含まれるため、NMおよび参加者はTRPGメンバーシップへの加入を推奨します。
なおキャンペイグンのまとめページはこちら
この記事では以下の素材集の立ち絵を使用させていただいています
◆シナリオサマリー◆
◆シナリオ本編◆
◆ ニチョーム・ウォー:ザ・ロンゲスト・デイ ◆
電撃的に火ぶたが切られたニチョームの戦争は、ある程度の膠着状態になりつつあった。破壊工作によって各所が爆破されると同時に、ニチョームに降下したニンジャと、普段サヴァイヴァー・ドージョーが密かに出入りするために使っていた地下通路からニチョームに侵攻しようとしてきたハイデッカー部隊は片付いた。
アマクダリ・セクトはニチョームを甘く見て、放置し過ぎていた。キュアのごまかしが作用している間に戦力を拡充できたのも大きい。ニチョームを混乱させるために降下させたニンジャは逆に分断され各個撃破の憂き目にあい、ハイデッカー部隊も結局はクローンヤクザであるため、キュアのヨロシ・ジツとニューロンハック攻撃のできるシルバーキーによって機能不全を起こしたのだ。
「チャルワレッケコラーッ!!!! イヤーッ!!!!!」「アバーッ!!!!? サヨナラ!!!!」
ブラックストライプスはネヴァーモアの渾身の右ストレートを喰らい
爆 発 四 散 !
ここ、ニチョーム西側防衛戦線はまさしく激戦であった。
ラオモト・ヨルジは以前、ニチョームを独力で包囲し、失敗した。多数のクローンヤクザとニンジャを失い、さらには自身も重傷を負ったあの一件でセクトにおけるヨルジの影響力は相当に低下したのである。もとより、ヨルジはセクトにおいては新参かつ外様の感があったし、そもそもがセクトの支援を受けてソウカイヤのトップについたのだから、欠員が出たというタイミングと、ヤクザにはメンツが必要であろう、という政治的な理由から12人というポジションに添えられたものの、決して扱いは良くはなかった。むしろジャスティスことムナミ・シマカタハイデッカー長官やマスターマインドことシキタリ・シャンイチ内閣官房長官などは露骨にヨルジを排除すべきであると主張したし、そのほかの者も別段敬意も興味も払っていなかったようである。
すなわち、アマクダリ・セクトにとってはヤクザやら裏社会の統率などどうでもよく、そもそも完全管理社会にはそぐわないものであり、ただソウカイヤ残党のニンジャ戦力およびその下部組織を吸収、管理したかっただけなのだ。チバへの憎しみ、ラオモト・カンの正当後継者に選ばれなかったコンプレックス。それらの凝り固まったヨルジにはそれが見通せなかった。あるいは、分かったうえでソウカイヤという組織そのものを巻き込んだ盛大な自殺だったのやもしれぬ。
……ヨルジはこのニチョーム攻防戦に文字通りソウカイヤ残党全戦力を投入した。ネオサイタマ中のすべてのヤクザクランの事務所は今頃もぬけの殻となり、レッサーヤクザの1人ですらのこっていない。ZBRジャンキーのヨタモノですら容易に侵入できたであろう。実際、ソウカイヤ本拠地トコロザワ・ピラーからは小さな火の手。略奪が起きているのだ。
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」「グワーッ!!!」
インパルスが敵クローンヤクザ部隊に電荷を纏ったスリケンを投げ込みながら突撃、部隊中ほどで小型ドーム状に全方位放電し、小隊を壊滅させると負けじとフューネラルが巨大な超自然多色彩発光するムカデと化して敵を轢殺しながら突き進んでいく!ネヴァーモアも多少の負傷をいとわず、敵陣に飛び込み敵ニンジャの襟首をつかむと、顔面に無慈悲な鉄拳連打!
「サヨナラ!」
サブシスタンスは爆発四散!
「ドーモ、レッドラムです」「ドーモ、スリケニストです」
しかしながら敵は絶え間なくテッポダマ・タクティクスめいて突撃してくる!戦い続けろ!
・クローンヤクザY-13
以下の公式NPCデータを参照のこと
◆レッドラム (種別:ニンジャ)
カラテ 12 体力 14
ニューロン 7 精神力 9
ワザマエ 10 脚力 6/N
ジツ 0
攻撃/射撃/機先/電脳 15/13/8/15
回避/精密/側転/発動 12/13/10/-
◇装備や特記事項
生体LAN端子LV1
ヒートカタナ×2 伝統的礼装
◉◉タツジン・ヒートカタナ二刀流
(このニンジャはヒートカタナを用いてタツジン:二刀流が行えるが、
基礎効果のみしかえられず戦闘スタイルやワザの発動はできない)
◉滅多斬り ◉ニンジャソウルの闇 ◉忠誠心:アマクダリ
●A.R.G.O.S戦術リンク
近接攻撃ダイス+2、射撃ダイス+2、ハッキングダイス+6
A.R.G.O.Sの支援により1手番内に受けるハッキングによるダメージが
最大9となる(それ以上のダメージを与えても失われる)
タツジン:二刀流は以下を参照
◆スリケニスト (種別:ニンジャ)
カラテ 6 体力 12
ニューロン 10 精神力 12
ワザマエ 16 脚力 8/N
ジツ 0
攻撃/射撃/機先/電脳 6/16/11/18
回避/精密/側転/発動 16/16/16/-
◇装備や特記事項
パーソナルメンポ、伝統的ニンジャ装束、ニンジャレガース
生体LAN端子LV1
◉◉タツジン:スリケン ◉スリケン痛打 ◉スリケンの見切り ◉忠誠心:アマクダリ
◉超高速スリケン連続投擲
コストとして回避ダイス4個を支払う。
2ターン連続使用不可。このターン、スリケニストのスリケンは連射100となるが
射撃難易度がHARD(固定)となる。
●A.R.G.O.S戦術リンク
体力+4、ハッキングダイス+6
A.R.G.O.Sの支援により1手番内に受けるハッキングによるダメージが
最大9となる(それ以上のダメージを与えても失われる)
タツジン:スリケンは以下を参照
◆戦闘中イベント集◆
◆ターン1開始時:インパルス奮戦
「死ね!イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!?」
インパルスに飛び掛かったデッドリーフ!しかしインパルスは電荷を纏うパンチでカウンター!
「チィーッ……レッサーソウルのサンシタめが!いい気になるなよ!イヤーッ!」
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
再びインパルスに飛び掛かったデッドリーフ!しかしインパルスは冷静にデン・パンチカウンター!
「ゴボッ……ナンデ!?レッサーなのに……」
「そういう風に人を判断すると痛い目を……もうみてるな。おまけだ!イヤーッ!」
「アバババーッ!!!!?サヨナラ!!!!」
デッドリーフは
爆発四散!
◆ニンジャ1体撃破時:フューネラルの活躍
「イヤーッ!!!」「グワーッ!!!」
ブルースクイッドと相対していたフューネラルにポイズン・インクスリケンが突き刺さる!モウドクによりフューネラル悶絶!
「イヤーッ!!!」「グワーッ!!!」
ポイズン・インクスリケンが両目に突き刺さる!
「イヤーッ!!!」「グワーッ!!!」
ポイズン・インクスリケンが喉に突き刺さる!
「イヤーッ!!!」「グワーッ!!!」
ポイズン・インクスリケンが股間に突き刺さる!
「サヨナラ!」
フューネラルは爆発四散!
「弱敵!」
ザンシンを決めるブルースクイッド!
「サヨナラ!」
ブルースクイッドは爆発四散!
「いい夢を見れたかね。君の理想通りに進むカラテは楽しかったろう。それでは」
爆風の中から現れたのは……フューネラル!
ブルースクイッドはゲン・ジツで都合のいい夢をみながら死んだのだ。
◆敵2体撃破時:ネヴァーモアのカラテ
「イヤーッ!」
ディサイプルはネヴァーモアにカラテを見舞う!右!左!右!左!右!しかし!
「ディサイプル=サン」「アイエッ!?」
ネヴァーモアの腕が、そのパンチを受け止め、ひねり上げた。
そもそも、ディサイプルのカラテが効いておらぬ!?
「……その程度のカラテでは、俺は倒せん。カラテとはこうするのだ。イヤーッ!!!」
「アババーッ!!!?」
ラオモト直伝の右ストレートが、ディサイプルの顔面を撃ち抜いた!カラテ衝撃が走り抜け……吹き飛んでいくディサイプル!しかし、もはや彼は空中でこと切れていた。
「サヨナラ!」
爆 発 四 散 !
NM向け戦闘指針・ロールプレイ情報
◆ 戦闘終了 ◆
ブラックストライプス、レッドラム、スリケニスト、サブシスタンス、ブルースクイッド、ディサイプル、デッドリーフ。すべて爆発四散した。
「無事か!!!」
最前線に立ちカラテしていたインパルスが振り返り叫ぶ。敵もさすがに被害が大きく、無理攻めをいったん停止し、退いて行ったのだ。
「フーッ! やれやれクローンヤクザがこうも多いと飽き飽きしてくるな。ニンゲンの形をしているとはいえ、もはや雑草を刈っている気分だよ。冒涜的というのはこういうことか」
フューネラルはクローンヤクザの生首を掴んで持ち上げたが、ウェー、と言ってすぐに放り投げた。伊達男めいた余裕の態度だが消耗はあり、メンポ代わりのフェイスペイントに汗で乱れ。
「………………」
ネヴァーモアも無言で、適当なアマクダリビークルの残骸の上に腰掛けて腕を組み、静かに休んでいる。あなた達含め、全員がほぼ丸1日戦い詰めだ。
「敵も引いたしな。こっちも、一旦ヤグラ337まで戻って休憩しよう。急いだヒキャクがカロウシしたってやつで、頑張りすぎは良くないんだ」
「ということだ。ザクロ=サン。こっちはいったん打ち止めだ。交代要員をよこしてくれ。一度休憩しに戻る」
インパルスが言うと、既にフューネラルが各戦線に用意されたIRC受信機でヤグラ337と通信。すると、すぐにニンジャ3人と自警団部隊がやってきた。しかし全員どこかに傷を負っている。激しい戦いだ。是非もないが、状況は厳しい。
「ドーモ、アサガイです。あんたたちの頑張りのおかげで負傷も癒えた。ここは任せろ。俺はほとんどのイクサをほぼ無傷で勝ってきた男だ。心配はいらん」
「ドーモ、アンダーエンジェルです。実際、オニイサンたちにばかり負担をかけられぬ。命に代えても守り通す所存だ」
「ドーモ、スカラムーシュです。俺も大したニンジャじゃねえが、やれるだけはやってやるさ」
カラテ投げ槍の使い手アサガイ。喪服姿の不吉なヤクザニンジャ、アンダーエンジェル。フリーランスアサシンニンジャのスカラムーシュ。彼らがあなたたちに代わりこの戦線の主軸となろう。とにかく、今は休息と補給を優先すべきだ。ヤグラ337に戻ろう。
◆ ヤグラ337 ◆
ニチョーム中心部にあるこのビルは、地下にザイバツ電算室の高性能UNIXが運び込まれたこともあって、ニチョーム全体の指令室となっていると同時に戦闘のできない者たちがここに避難しており、文字通り最後の砦だ。
「お疲れ様。フーッ」
UNIXやニチョーム地図が置かれた戦略チャブにはザクロの姿。キリシマと協力し、各戦線の維持に努めているのだ。しかし、さすがにザクロも疲れが見える。無理もない。攻撃開始からずっと不眠不休で後方支援をし続けているのだから。
「だいぶお疲れのようだね」
「アラ、フューネラル=サンにそう言われちゃうなんて私もまだまだね。アータ達のほうが前線でずっと気張っていたのに」
「こいつはニチョーム全体の戦いだ。アンタに倒れられでもしちゃ最悪だぜ。リーダーがいなくなっちまう」
フューネラルやインパルスもザクロを気遣う。彼女はニチョームのみなを勇気づけるために普段から気丈に振舞っているが、この極限状況でなおそうあることの難しさは理解できよう。実際、そこかしこで爆発音や銃声が響く中でも、ザクロがいるというだけで避難民にパニックを起こすものはいない。
「全体戦況はなんとか拮抗している。北部から攻め込んでくるアマクダリニンジャはヤモト=サンやフィルギア=サンたちが食い止めているし、南側はむしろ優勢。西側もあなたたちのおかげで一旦は小康状態……問題は東部ね」
ザクロはUNIXに概略を映しながら話す。実際、画面上のニチョームMAPでは東側が大きく押し込まれ、レッドハッグ、グラスローチ、ガゼルビート、バーンドヘル、メリージェーンの名前にバツ印と『ヤラレタ』の文字。皆東側戦線を守っていた者たち。死んだのだ。
「東から攻め込んでくるのはニチョーム包囲戦の指揮官にしてアマクダリの12人『スターゲイザー』。こいつはカラテ段位もさることながら。事前情報通り何度殺しても死なないの。足止めが精いっぱい」
「……殺しても死なぬ、か」
ネヴァーモアが眉根を寄せる。キュアからの情報により、ある程度敵の投入してくる戦力は把握できていたし、その対策も事前に話し合っていた。たとえばまず間違いなく投入されるであろうハイデッカー部隊は結局はクローンヤクザであるため、キュアのヨロシ・ジツやシルバーキーのマインド攻撃で対処できる。これらを護衛しつつニンジャを抑えればよい。次に湾岸警備隊。投入されればハイデッカー以上に練度が高いが厄介なのは航空戦力だ。これはオムラ・インダストリのネブカドネザル、クラウドバスター両名が対処。『マジェスティ』『ブラックロータス』『メフィストフェレス』『トランスペアレントクィリン』らは前線に自ら出てくるタイプではない。
最大の問題は『スパルタカス』そして『スターゲイザー』である。12人最強のカラテと呼ばれるスパルタカスにはオメガその他ニチョーム精鋭をぶつけるほかない、が現状その姿を見せていないのが救いだ。そしてスターゲイザー。これはメガトリイ社のロストテックとやらで通信衛星ヘリオスとコネクション確立している限り、不死。だが、出てくるならば近くに出張ってくる衛星通信中継トレーラーを狙えばよい。
よいのだが……結論から言ってそれは失敗した。サークル・シマナガシ・サヴァイヴァー・ドージョー連合軍がこのトレーラーを襲撃したものの、それを予期していたスターゲイザー本人とアマクダリ・アクシスの精鋭ドラゴンベイン、スワッシュバックラーに阻止されたのである。この攻撃失敗でサヴァイヴァー・ドージョーのフロッグマン、K1が爆発四散した。
「今は何とか、トレーラー再攻撃の機会を待っているところ。ナンシー=サンとザイバツ電算室のジグラット電子攻撃がうまくいけば、データを奪取できるだけでなく内部からアマクダリのシステムを乱して指揮系統を混乱させられる。その時が勝負の分かれ目」
「……で、その電子攻撃ってのはうまくいってんのか」
「A.R.G.O.Sの妨害が激しい、とだけ」
「厳しいな……」
重苦しい雰囲気。ジリー・プアー(徐々に不利)とはまさにこのこと。しかしながら無理にトレーラーを攻撃すればまたこちらに無駄な被害を出すだけだ。見極めなくてはならない。
その時だ。
<<こちら西部戦線! 再び敵だ! アサガイ=サンとアンダーエンジェル=サン、スカラムーシュ=サンが対処して……なんだ……?>>
<<雪……? うわッ!? gzzzzz……ブリザード……zzzz……凍zzzzアバーッ!!!!!!>>
インパルスがヤグラ337の窓からニチョーム西側をみやる。そこだけまるでスノードームのように、猛烈な吹雪に包まれている。
「ヨルジ……!」
◆ ニチョーム西側戦線 ◆
あなた達とインパルスたちは、猛烈な吹雪の中に突入する。ほとんど先が見通せない!!!
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!!!」「イヤーッ!」「グワーッ!!!」
複数のカラテシャウト!近い!
「グワーッ!!!」
と、その時吹き飛んでくる影! この装束はスカラムーシュ!
「ドーモ、インターセプターです」「サーガタナスです」「タルピダイです」「ロングドゥアです」「アーセナルです」「ナイトシェイドです」「ハオカーです」
「……この程度のサンシタが貴様らの頼みの綱か。救えんな。おっとり刀で駆けつけてきた他のニンジャもこの様子では大したことはあるまい」
「ゴボッ……ゴボッ……」
そこにいたのは一度はニンジャスレイヤーを破った恐るべきインターセプター! 瀕死の状態のアンダーエンジェルを膝立ちにさせるように押さえつけ、拘束している。そして……アサガイのナマクビを威圧的に掲げるはサーガタナス!
「アンダーエンジェル=サン……!」
その光景を見たネヴァーモアが激怒の表情で一歩前に出る。しかし。
BLAM!
「……アバーッ!!!サヨナラ!!!!」
と、横合いから不意に射撃! 助ける暇すらなく、アンダーエンジェルの頭が吹き飛ばされる!
爆 発 四 散 !
「チッ、動作不良が起こってやがる。何がタツジン・オノミチだ」
その銃撃の主は、装飾チャカガンを無造作に投げ捨てるというのだ。
「ドーモ、ホワイトドラゴンです」
おお、しかしこれはどうしたことか? ホワイトドラゴン……ラオモト・ヨルジは肥え太ったでっぷりとした男だったはず。しかしながらホワイトドラゴンと名乗ったのは……死に装束……というには悪趣味な刺繍の入った和服を身に着けた小柄なオイランドロイドサイバネボディの少女! これは一体!?
「待ちわびたぜ……テメェらニチョームのクズどものせいで俺はこんな体にされてなあ……? これじゃあ、ソンケイもなにもあったもんじゃねェ……ヤクザのメンツ丸つぶれだぜ。オイ……」
いびつな笑みを浮かべながらも、サイバネボディの無機質なカメラアイに悪意と憎悪を宿らせる少女は……ヨルジなのか!?
「お察しの通り、前回まだニンジャソウルがなじんでねえこともあってよォ。ククク……テメェらごときクズのニンジャソウルに痛い目を見せられたが……俺は見た目よりも勤勉なんだぜ。なあ。絶対に同じ轍は踏まない。ソウルの力を引き出したんだよ……同時に、サイバネボディ置換した」
「ニンジャのジツを使うためには血中カラテ? とかが必要なんだってなあ? だから生身の部分がいる。だがよォ、俺はやったんだ。女王になった。へへへ、コリの女王にな……全身サイバネでこれほどのジツをつかえる例はない。女王なんだ。私が……」
本来であれば、コリ・ニンジャクランの開祖トゥララ・ニンジャのソウルの力を引き出したのならばニチョームの一角だけでなくネオサイタマ全土を氷河期にすることができる。しかし、ヨルジは負傷と、ニンジャソウルからくるゆがんだ妄執によって狂気の果てにこの形をとったのだ。
「ラオモト=サンの息子としての矜持すら失ったか」
「……ブザマだな。ヨルジ=サン。ヤクザじゃねえよ、おまえはもう」
「……せめて引導を渡してやるとするか」
ネヴァーモア、インパルス、フューネラルがカラテを構える。かろうじて戦闘継続可能なスカラムーシュも震えながらニンジャソードを構えた。
「……人の子よ」
ヨルジの両目が冷気を帯びた青白い光で超自然発光!その身が空中に舞い上がる!
「ただ畏れよ」
◆ホワイトドラゴン(ラオモト・ヨルジ)(種別:ニンジャ/重サイバネ)
カラテ 10 体力 27
ニューロン 13 精神力 28
ワザマエ 10 脚力 7/N
ジツ 8 万札 150
攻撃/射撃/機先/電脳 15/17/15/29
回避/精密/側転/発動 17/15/12/24
◇装備や特記事項
サイバネアイLV2 テッコLV2 クロームハートLV2 ヒキャクLV2
生体LAN端子LV2
濃縮トロ粉末(ドラッグ、精神力+4、使い切り)、悪趣味なアクセサリー(ブードゥー)
☆コリ・ジツLV3 ☆◉冷気の収束 ☆◉冷気の残留
★コリ・ストーム ★★トゥララ・オブ・デス ★★コリ・ブラスト ★★★冷気の化身
★★★ブライニクル・オブ・デス ★◉ヒサツ・ワザ:コリ・ブラスト注ぎ込み
◉重サイバネ化 ◉ニンジャソウルの闇×3 ☆◉ダーク・カラテ・エンハンスメント
◉邪悪なサディスト ◉◉グレーター級ソウルの力 ◉◉アーチ級ソウルの力
◉狂気:コリの女王化妄想×2 ●実家のカネ ●ピンハネ ●レッサー・ソンケイ
●即死耐性×2 ●不如帰
●A.R.G.O.S戦術リンク(強)
ハッキングダイス+12/精神力+8
A.R.G.O.Sの支援により1手番内に受けるハッキングによるダメージが最大9となる
(それ以上のダメージを与えても失われる)
★★★トゥララ・ニンジャのソウル
このニンジャはコリ・ニンジャクランのアーチであり開祖コリ・ニンジャからその座を奪った
トゥララ・ニンジャのソウルを宿している。そのためコリ・ジツ系統のソウルを持つニンジャは
このニンジャに対する近接・射撃・ジツ発動ダイスが8-PCのジツ値となる
(例えばジツ値4なら8-4=4でマイナス4ダイスとなる)
またこのニンジャ常時★★★冷気の化身を発動しており、再発動が必要になった場合も
回避ダイス・精神コストを無視する。
『●不如帰』:このニンジャは不退転の決意を固めており、多対一の戦闘の中でも、
獅子奮迅の戦いぶりを見せる。 単独で2体以上のPCを相手に戦っている限り、このボスNPCは
1ターン中に2回の手番を得る。『一騎討ち』ルールと同様に、本来のイニシアチブ値で
1回目の手番が、イニシアチブ値の1/2で2回目の手番が回ってくるが、例外として、
直前の手番と同じ行動種別は選べず、同じターゲットも選べない。なお、ここでいう行動種別とは
「近接攻撃」「射撃」「ジツの使用」「その他の行動」である。
「同じジツ、同じスタイル、同じ轢殺攻撃は連続使用できない。
このとき、スタイル宣言なし、もスタイルの一種とみなす
(つまりスタイル宣言なしの近接攻撃を2回連続では行えない
コリ系統のジツに関しては以下を参考のこと
◆インターセプタ― (種別:ニンジャ)
カラテ 16 体力 16
ニューロン 12 精神力 18
ワザマエ 9 脚力 8/N
ジツ 5
攻撃/射撃/機先/電脳 16/9/12/12
回避/精密/側転/発動 17/9/9/17
◇装備や特記事項
パーソナルメンポ ニンジャブレーサー
◉◉グレーター級ソウルの力 ◉即死耐性 ●不如帰
★カラダチ
精神力1を消費する。ムテキ・アティチュードLV3の効果に加えて、近接攻撃を行った相手に対して、
即座に回避不能の回避ダイスダメージを1与えると同時にカウンター・カラテを行える。ただし、
ムテキ・アティチュードLV3の効果はフェイズ終了時に解除される。
★◉タタミ・ケン
精神を1消費する。カラダチによるカウンター・カラテの効果をダメージ3点+弾き飛ばしに変更する。
1ターン一回のみの使用。
◉タツジン:ザムラ・カラテ
このニンジャは近接攻撃の出目に6が含まれる場合、近接攻撃に痛打+1と装甲貫通1を得る
また、カウンター・カラテの発生条件が相手の攻撃成功数と同値でも可とみなされる。
◉ヒサツ・ワザ:ツヨイ・タタミ・ケン
近接攻撃【6,6,6】orカウンターカラテ発生時【6,6,6】
回避UH。痛打2D3+弾き飛ばし。カウンターカラテから発生させた場合は痛打+D3+弾き飛ばしとなる
近接攻撃時のみ精神1消費
◆戦闘中イベント集◆
◆インターセプターにはじめて攻撃した際・カラダチ封じ
「フンハーッ!!!」
インターセプターは攻撃に応じて、奇妙な中腰姿勢!カラダチだ!
しかし!
「ヌウウ―ッ!!!?」
突如、体勢を崩しぐらつく!その肩には……キノコ!しかも唇が映え、哄笑している!それは次の瞬間ドロリと溶けると、強酸性の液体となってインターセプターを溶かした!!!
「……いけませんな。ムテキ・アティチュードの亜種か何だか知らんが、ニューロンがガラ空きだ。ワタクシは元々密輸業者でね。手癖が悪くて困ってしまう。そして、ガラ空きならば他人の頭の中に忍び込んで見たくなるのも人情というもの」
フューネラル!!!!
「精神攻撃か……!」
忌々し気にインターセプターが吐き捨てる。
「ノーカラテ・ノーニンジャ。だが、ニンジャのイクサはカラテ段位だけで決まらぬ。私の玄妙なるジツ、ご覧あれ!」
NM向け戦闘指針・ロールプレイ情報
◆ 戦闘終了 ◆
「ピガガガガガガーッ!!!!」
悲鳴めいた電子音と共にドロイドボディ破砕! ヨルジはその場に膝をつく。もはや、ジツの維持も不可能! ブリザードは晴れ、ネオサイタマの重金属酸性雨をもたらす曇天が再び顔を出す。
「ゲボッ……ピガッ、ハァーッ……ハァーッ……チクショウ。バカにしやがって……お、お前らもだ……俺を見た目でバカにしやがって……そんなにあの金髪の小僧とファックしてえのか……ア……? ヘヘ……」
タルピダイ、ナイトシェイド、アーセナル、ロングドゥア、ハオカー、サーガタナスらは爆発四散。フューネラル、インパルス、ネヴァーモア健在。既にニンジャソードは折れて左手のクロ―もブレーサーごと破損しているがスカラムーシュも無事だ。
「ヨルジ=サン。なぜあなたがソンケイを得られなかったか……わかりますか」
ネヴァーモアが問いかける。
「見た目だろうが!!!だから!!!!全員が全員、顔のいいチバをチヤホヤしやがって……俺だってオヤジの血を引いてるんだぞ……帝王の椅子につく権利は俺にもあるはずだ……なのに……」
「それは違いますな。ラオモト=サンは……まぁ、俗物的なところはありましたが同時に『器』があった。良くも悪くも、清濁併せ呑む器が。あなたはどうです。たしかに恐怖で周囲を支配しようとしていましたが……味方に付くのは、アイアンフィスト、デッドラインのような小物ばかり。そもそも自分でもわかっていたのでしょう。自分には強いニンジャを従えさせ、ソンケイさせるほどの器量がないことを。だから半端なサンシタをカネやモノ、恐怖で支配することしかできなかった。あのインターセプターもセクトからの借り物のようですし……」
「違う……」
ヨルジはフューネラルに図星をつかれたのか力なく否定の言葉を吐いたが、ニンジャ聴力でも聞き取りづらいほど、その言葉は小さかった。
「あんたは結局……周囲のすべてがコワいから強がって逆に周囲に吠え掛かる犬でしかなかったってことです。透けてますよ。もう」
インパルスも続ける。憐れんだ目。
「ア……ア……お、おれをそんな目で見るな!!!」
ヨルジは……叫ぶと傍らに落ちていたチャカガンに手を伸ばし、拾った。タツジン・オノミチ工業社謹製。ソンケイあるヤクザのみが持つことを許される、オノミチ・カスタムの最上位モデル。最初にアンダーエンジェルをカイシャクし、捨てたものだ。
「ハァーッ!!! ハァーッ!!!」
震える手でそれを構える。狙いは……ネヴァーモア。フューネラル。インパルス。定まらぬ。
BLAM!!!!!
「サヨナラ!!!」
ホワイトドラゴンは爆発四散した
ラオモト・ヨルジは自決した。口に銃口を加え、引き金を引いた。それを見やる3人の表情は複雑だ。しかし……すくなくとも、敵の総大将の一人が倒れた。包囲網が崩れたのだ。
◆ 数日後 ◆
……かくして、ニチョームの戦争は終わった。双方に甚大な被害をもたらしたイクサは、アマクダリ・セクト撤退の形で終了をみた。
包囲攻撃司令官『スターゲイザー』をはじめ『ホワイトドラゴン』、『トランスペアレントクィリン』の最上級幹部ニンジャを含む大勢のニンジャを失い、さらにはニチョーム包囲にかなりの戦力を注ぎ込み、手薄になった隙を突かれ、ニンジャスレイヤーの手によって『マジェスティ』、『ブラックロータス』、『メフィストフェレス』、『ジャスティス』、『マスターマインド』をも失ったアマクダリ・セクトは戦闘継続が不可能となったのだ。
死と沈黙が壁の内側を満たしていた。ニチョーム自治会の者達は、ニンジャが去ったのちも街区を荒らしたオナタカミ兵器を排除し、負傷者を回収し、死者を弔った。
レッドハッグ、グラスローチ、フロッグマン、ガゼルビート、バーンドヘル、インペイルメント、K1、キツネビ、アサガイ、サイコダガー、アンダーエンジェル、メリージェーン、ストーカー。皆、打算や思惑はあれど、ニチョームで戦い、散っていった。
「リンゴリンゴ、リンゴランゴ、ランゴリンゴ」
奇妙な歌を歌いながら、サヴァイヴァー・ドージョーの者達は焚火の周りを跳ねまわった。焚火を円く囲むのはバイオニンジャだけではない。風が吹くたび、訪れたばかりの夜空に火の粉が噴きあがった。ニチョームを守り切った者達は盃をかわした。
「リンゴリンゴ、リンゴランゴ、ランゴリンゴ」
シマナガシの者達が歌い踊るバイオニンジャのもとに加わり、ネザークイーンがぎこちなく手拍子を打つ。キリシマ、バシダ。キマリテのスモトリ料理人、オブツダンとセンコウ、ゲイマイコ。ヤリテ・バーバと盲目の爺。自治会のヤクザバウンサーやパンクス、ハッカーカルト信者、電子戦争退役軍人もいる。ディスカバリーとフィルギアがヤモトの手を引く。はにかみながら、彼女も加わる。ナンシーはそれをほほえましく見つめ、キュアも雰囲気を楽しみたいのか焚火の少し遠くにシートを敷いてチャを飲んでいた。テガタは『悪い金塊』を文字通り浴びるように飲み、ブラックマンバやインパルス、スカラムーシュも負けじとケモビールをこれでもかと喉に注ぎ込んだ。イグナイトはアベ一休のスシを食べ過ぎるなを歌い、クラウドバスターも負けじとオムラインダストリ社歌を歌う。その喧騒を見つつ、ワイルドハントは死んだ友を想いながらゆっくりと彼のためにサカヅキを傾ける。ヴィジランスも仕事をしながらZBRをイッキした。当然、あなた達もいるだろう。焚火は一層高く火の粉を上げる。。
ニンジャスレイヤーはそれをヤグラ337の上から静かに見下ろしていた。
空には黄金立方体。01の風が吹いた。
◆ニチョーム・ウォー:ザ・ロンゲスト・デイ◆
おわり
◆余暇・セッション終了処理◆
NMはPC全員にセッション報酬を手渡す。万札・余暇等は
キャンペーンのレギュレーションに沿って各自設定してほしい。
なお、実際にこのキャンペイグンが行われた際の報酬は、
万札15、名声+1、余暇2日、知識・交渉スキルを1つ無償で獲得であった
◆シナリオ後の状況
西戦線から攻め寄せるのは旧ソウカイヤ勢力。以前の独力での包囲を失敗し、セクト内部での地位が低下しつつあったラオモト・ヨルジことホワイトドラゴンは文字通り全戦力を投入した。
しかしながら、ニチョーム勢はこれを撃退。ホワイトドラゴンは爆発四散する。
◆死亡した原作ニンジャ(アマクダリ)◆
ラオモト・ヨルジ(ホワイトドラゴン)、インターセプター、レッドラム、スリケニスト、ブラックストライプス、サブシスタンス、ブルースクイッド、ディサイプル、デッドリーフ、タルピダイ、ナイトシェイド、アーセナル、ロングドゥア、ハオカー、サーガタナス
◆死亡した原作ニンジャ(ニチョーム)◆
アサガイ、アンダーエンジェル
・その他
作戦初期にニチョームに降下したニンジャは逆に分断の憂き目にあい袋叩きにされ、なすすべなく爆発四散を遂げた他、北部戦線でヤモト、サークル・シマナガシがハイデッカー部隊相手に奮戦。地下から侵入してくる部隊に対しても、サヴァイヴァー・ドージョーのトラップ戦術とシルバーキーのマインド攻撃が機能したため、一時は優勢を確保し、シマナガシとサヴァイヴァー・ドージョーの混成部隊によってスターゲイザーの弱点である衛星をハックするため通信中継車を狙う。しかしこれはスターゲイザー本人とドラゴンベイン、スワッシュバックラーにより阻止されフロッグマンとK1がこれにより死亡する結果に終わった。その後は再び、ヤグラ337で行われるナンシーとザイバツ電算室による電子攻撃によって指揮系統が乱れるのを待つも、スターゲイザーが討たれたためそのまま防衛を最後まで続けた。
◆死亡した原作ニンジャ(アマクダリ)◆
マジェスティ、ブラックロータス、メフィストフェレス、ジャスティス、マスターマインド、ヴァルキリー、フォースカインド、モナーク、カッツバルゲル、アドミラル、エクイテス、ペイバック、ガルーダ、ターボアサシン、アルバレスト、スパイカー、スコージ、ソードモンガー、メタルベイン、ヴュー、マスモーフ、ロングカット、スキピオ、ラクエリィ、バルバロス
◆死亡した原作ニンジャ(ニチョーム)◆
フロッグマン、K1、ストーカー
◆結果◆
ニチョームはニンジャ・モータルの連携で防衛された。アマクダリ・セクトは攻撃に失敗して多くの戦力を失い、ニンジャスレイヤーの攻撃により逆に幹部級ニンジャの大半を失ったうえ、秘匿サーバーアクセスとそれまでに得たさまざまな情報をすべて暴露されその存在と悪行を白日の下にさらされる結果となった。
◆トピック◆
・ニンジャスレイヤーによってアマクダリの12人の半数近くが死亡した。
・アマクダリ・セクトの情報が暴露された