年末調整が年々複雑化~所得金額調整控除って何?~

今年もあと1ヶ月。

会社勤めの方は年末調整の資料をもらって、控除証明書などの資料を集めているころではないでしょうか。

今年の年末調整から新様式がスタートしました。

その名も、

「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」

長いわ・・・

お客様には既にご案内を済ませましたが、説明するときにこのフル名称を一度も読み上げることはありませんでした。聞いてる方も嫌になってしまうと思うので。

なぜ、こんなに長い名称なのか?

「兼」で区切られているように、3つの控除を1枚にまとめてしまったためです。この中の1つが今年から新たに登場した控除です。他の2つと合わせて軽く解説します。

①基礎控除

昨年まで1人38万円の基礎控除がありました。

これを今年から48万円に引き上げたぞ!「減税だぁ⤴」

でも、年収が高い人は48万円から徐々に下げていき、最終的には控除を受けることができなくしたぞ!「増税だぁ⤵」

という制度。

基礎控除は48万円に上がったが、サラリーマンの概算経費でもある給与所得控除額が10万円引き下げられているので、実質±0というカラクリ。(年収850万円以上は原則増税となるが、そのお話しは③で)

②配偶者控除、配偶者特別控除

平成29年までは配偶者の収入が低ければ3万円~38万円までの控除を受けられていたが、平成30年からは控除を受ける本人の年収が高い人は38万円から徐々に下げていき、最終的には控除を受けることができなくしたぞ!「増税だぁ⤵」

という制度。

③所得金額調整控除~新設~

今年新たに誕生した制度。給与所得控除額の上限を220万円から195万円に引き下げ、さらに上限に達する対象年収も1,000万円から850万円に引き下げた。これにより、対象者が増加することが予想されたため、年収850万円を超える人で次のどれかに該当すれば、その増税分の影響を少なくしてあげるよという制度。

・本人が特別障碍者

・同一生計配偶者が特別障碍者

・扶養親族が特別障碍者

・扶養親族が年齢23歳未満

最後の「扶養親族が年齢23歳未満」。

これがとても勘違いしやすく間違いやすいので、もう少し突っ込んで解説します。

次のことに注意をして、受けられるはずだったのに・・・

ということがないように、正確に記載してしっかり会社に知らせよう。

<注意1>

「扶養親族」が要件のため、年収が103万円以下であれば、0歳~22歳までの間であれば何歳でも対象となる。

似た言葉で「扶養控除」というものがあるが、これは16歳以上でないと受けられない制度である。これと混同してしまうと、損をしてしまう可能性があるのでご注意を!

<注意2>

要件に該当する者(子)がいれば、その両親双方で控除を受けることができる!

似た言葉「扶養控除」は、共働きの場合であってもどちらか片方でしか控除を受けることはできない。しかし、この制度は双方で控除を受けることができるのだ。2人が重複して控除を受けられるというのは、税の世界では珍しいものなので、是非知っておこう。

以上、年々複雑化する年末調整の中でも今年変更があったものを中心にお送りしました。

おしまい。

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