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シフォンケーキはいかがですか?(猫ちゃんの話)

酪農家の我が家には、乳牛の他にいつも犬や猫などの動物たちがペットとして一緒に暮らしていた。私が生まれる前からうちで暮らしていた猫のチャコ。チャコはメスのミケ猫でどこから来たのかは私もわからない。ペットとはいえ、昔の酪農家の家で飼われていたペットたちは今のペットたちと比べてずっと自立していた。ペットフードなんて私はそんなものがあるなんていうことも知らなかったし、ペットの誕生日とか、ペットの服まで買える今のペット事情を考えると、あの頃のペットたちにちょっと申し訳なくなる。私が子供の頃は、ペットのお世話といっても、することは餌をあげることだけ。(しかも私たちの食べ残し)そして、春になるとよく子猫や子犬が生まれた。いつの間にかお腹が大きくなってきて、だいたい牛に食べさせる牧草を積み上げておく倉庫の片隅とか牛舎の二階で産むことが多かった。そんな子犬や子猫の小さな鳴き声を聞いた時の喜びと言ったら、もうこの上ないものだった。多分クリスマスと正月を合わせたよろこびにも匹敵するくらい。小学生の私にとっては新しいお友達がいっぺんにできたようなものだったから。

ある年、チャコの子猫たちがかなり大きくなってきた頃、私は子猫たちとのピクニックやかくれんぼにも 飽きてきていて、なにか新しい遊び方を考えていた。なにができるだろう、、、当たりを見回して気づいたのが使われていない古いトラックのタイヤ。牛舎の二階は倉庫として使われていたから、牧草の他にわけのわからないふるい農機具や、道具、古いタイヤなどが置かれていた。そのタイヤを使って何かできないかと考えていたらアイデアが思いついた。まず猫ちゃんたちをタイヤに入れる。そして私がグルグルタイヤを回す。そしたらどうなるかということまでは考えず、私はとりあえずやってみた。グルグル回して、「別にどうってことないなあ」と思ってグルグル回るのをやめた時、予想していなかったことが起こった。猫ちゃんたちが目を回してフラフラとタイヤから出てきたのである。「わー!猫ちゃんたち、目回ってる!」よろよろ歩いて四方八方に散っていく。これがすごく面白くて、このときからこの猫ちゃんたちとのタイヤグルグルが定番の猫ちゃんたちとの遊び方に加わったのでした。

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