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個別銘柄分析 No.10 山一電機

皆さん、こんにちは。
 銘柄分析を共有して少しでも皆さんの投資戦略の一助になればと思います。
個別銘柄分析の第10弾は証券コード 6941「山一電機」です。
 半導体検査用ソケットの大手で半導体検査工程で半導体の電気的特性を検査し、仕様を満たしているか等を確認する検査用ソケット等を製造・販売しています。

サマリー

・前期は減収・減益だったが今期は業績は持ち直す予定
・佐倉工場・フィリピン工場を増強しており、供給能力はUP
・クアルコム向けの売上が大きく、AI関連で半導体需要が回復すれば上昇余地あり

事業内容

 事業は3分野に分かれておりますが、売上比率が高いのは「テストソリューション事業」と「コネクタソリュージョン事業」の2つになります。

会社紹介資料より

 テストソリューション事業は半導体製造の検査工程において、耐久性テストや最終製品の機能や不良を検査するためのソケットを製造・販売しており、この分野におけるシェアは世界首位級とのことです。(みんかぶの記事(リンク)によると世界シェア約40%とのこと
 コネクタソリューション事業は信号や電力を伝送するための接続部品であるコネクタを製造・販売しており、データセンターへ接続している光ケーブルの光信号を電気信号に変換したり、車載市場におけるタッチスクリーンやEVにおける駆動用コネクタ等に山一電気のコネクタが使われています。
 この2つの事業で売上の90%以上を占めており、また、海外売上比率が8割を超えているグローバルニッチ企業となります。

業績推移

〇中長期の業績動向
 リーマンショック以降、横ばい傾向が続いておりましたが、2021年以降、売上・利益共に拡大しております。前期(2024年度)は半導体関連の投資が減少したこともあり、減収・減益でしたが、今期(2025年度)は売上・利益共に回復を予定しております。

〇直近の業績
 2024年3月期は期初当初より半導体市場の低迷、顧客の在庫調整等により、減収・減益予想でしたが、中間決算発表時に業績見通しの下方修正を行なっており、2023年3月期と比較して大幅な減益となっております。
 2025年3月期の予想は売上で前期比26%増、営業利益で2.6倍を予想しており、大きく低迷しておりましたスマートフォンを含むモバイル機器市場でのビジネス復調、コネクタソリューション事業での顧客の在庫調整の一巡により需要の回復を見込んでいます。

財務状況

 自己資本比率は74%、有利子負債は0.16%と財務は万全です。現預金も131億円と豊富にあるため、財務面での問題はありません。

kabutanより

今後の展開

①スマホ需要の回復

 半導体のテストソリューション事業がどこまで回復するか、が今後の業績を左右します。2024年3月期のテストソリューション事業の売上158億円のうち、83億円はアメリカのクアルコム(Qualcomm)社となっております。

有価証券報告書より

 クアルコム社の業績はコロナ禍の在宅勤務によるスマホ・電子機器需要の高まりの反動で2023年9月期は減収・減益となっておりますが、足元の四半期売上は回復傾向にあります。AIスマホによるスマホ買い替え需要、新型iPhoneもリリース予定のため、半導体需要の回復と共に山一電機のテストソリューション事業も伸長することが予想されます。

kabutanより

 また、2024年3月より佐倉事業所の第2棟、フィリピンの第3工場が稼働するため、生産能力の強化による業績の上振れが期待されます。

②データセンター需要

 生成AIブームもあり、日本全国でデータセンター需要が大きくなっております。空調整備やサブコン等の業績も絶好調ですが、データセンターが実際に稼働する際にはコネクタソリューション事業にも恩恵がありそうです。
 生成AIを含むデータセンタ向けを中心にDRAMの需要が増加が見込まれており、メモリ半導体向け需要の回復も見込まれます。

③株主還元

 中期経営計画にて配当性向30%以上、総還元性向40%以上を掲げており、5月には自社株買いも発表しています。また、2025年度に売上500億円・営業利益100億円を超えることを目指す、としており、今期の営業利益予想75億円に対して30%程度の増益を目指しております。
 中経の目標値はかなり高いですが、生成AIブームによるスマホ・DRAM需要が回復すれば、半導体のテストソリューションも拡大し、目標も達成できると考えております。

目標株価

 2024.7.7時点の株価は3,210円、PERは13.1倍・PBRは1.72倍となっており、株価に割安感はありません。今後の業績拡大に向けては半導体需要、大口の取引先であるクアルコムの業績の回復に注目しております。
 クアルコムの決算発表で売上がコンセンサスを大きく上回って入れば、山一電機の売上も大きく伸びている可能性があり、クアルコムの決算が7月末、山一電機の決算発表がおそらく8月の第1週となるため、クアルコムの決算を確認して強ければ山一電機にINしても面白そうです。
 想定以上に半導体需要が回復していれば、2023年3月期と同程度の利益水準(今期予想の30%超)は見込めると思いますので、年内に4,500円くらいまでは上昇する可能性があると考えております。

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