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静脈内鎮静法で親知らずを4本抜いた話(後編)

こちらの記事は上記の続きです。気になる方はこちらから読んでいただけますと幸いです。

いざ、抜歯!

いよいよこの時がやってきました。
いかついベッドかなんかでやるのかと思いきや、通されたのはごく普通の診察室でした。まちの歯医者さんのようにリクライニングチェアが何台かパーテーションで区切られていて、他にもおそらく抜歯中であろう方々がいらっしゃいました。1人の患者さんにつき、3〜4人ががりで処置をしている様子。先生×1、助手×2、モニターチェック×1という感じ。なんだか安心。
席に着き、まずわたしがおこなったのは『怖いアピール』。
おびえ、震え、あらかじめ異様な挙動を見せておくことで『少しでも意識戻りそうだったらすぐに追加でお薬流すからね、安心してね』という言葉をいただくことができました。

局所麻酔は意識がある状態で行います。麻酔の効きをチェックする必要があるためです。実は、処置の中でこれが一番嫌だったかもしれません。口中のあらゆるところに麻酔針を刺すので、歯医者嫌いとしては息が上がります。何度も『大丈夫ですか?』と心配されながらもなんとか完了。多分ですが、麻酔で歯茎たっぷんたっぷんになるくらいには打ち込まれました。
***
次気付いた時には、なんと右下の顎骨をガリガリやられている最中。麻酔が効いているのでもちろん痛みは皆無でしたが、覚醒した事実に恐怖し、目が覚めましたアピール。次の瞬間には全てが終わっていて病室のベッドの上でした。

抜歯直後の様子

正直ここまで意識がなくなるものとは思いませんでした。
ちゃんと効くのかな、効かない体質とかだったらどうしよう・・・と思っていたわりにカツーーンと飛んでて、笑えました。
そしてさらに驚いたのは、処置が終わってからしっかりと指示通り綿を噛み、自分で歩いてエレベーターに乗って病室に帰ったらしいのです。てっきり車椅子かなんかで眠ったまま運ばれたものだと思っていたのですが・・・

実はこの「静脈内鎮静法」健忘作用もあるので処置中はもちろん、前後の記憶がなくなることがあるそうです。そういえば、薬を流し始めますよーみたいなことを言われた記憶も全くない。(めちゃくちゃ怖がっていたのであえて何も言われなかったのかもしれませんが・・・真相は闇の中)

気付けば診察室に向かった時間から2時間半が経っていました。
壮絶なオペだったんだろうな〜なんて思いながらぼーっとしていると、鳴り止まぬLINE通知。おや?と思ったら、家族や友達から『お疲れ!』のメッセージ。なんでみんな終わったの知ってるんだろう、と不思議に思っていると。

わたし、めちゃくちゃみんなにLINEしてた

そう、そんな記憶もないんです。怖すぎる。なんか変なこと言ってるんじゃないか。そう思ってくまなく確認したものの、めちゃくちゃしっかりと報告をしていてドン引き。こんなのSFですやん。。。

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↑意識が完全に戻ってきてからinstaにあげたストーリーズ
様々な人を巻き込んでやってきたことがわかります。笑

口の中の出血も、血の味がするなあ程度でわりとすぐに慣れました。血が止まるのが人より早かったのもあるかと思います。(同じ病室の人たちは何回か噛んでる綿を交換されていたのですが、わたしは1回で終わりました)

麻酔が切れてからの痛み

驚くことに、痛み止めを点滴しているためかほぼなかったです。下の歯2本は埋伏歯でがっつり顎の骨を削っているのですが。ただ、翌日翌々日が地獄とも聞いていたので、油断することなく過ごそうと言い聞かせました。

術後の食事

絶食していたこともあり、さすがに腹ぺこ。楽しみにしていた夜ご飯はこちらです。

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なんか既視感。と思ったら、ちょっと前までの子供の離乳食でした。笑
いくら腹ぺこと言ってもさすがに術後。満足に食べることはできないのだろう。

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いや完食するんかい😊

それも、病室の誰よりも早く。
親知らずって普段使わない歯だもんね、ものを食べることに関してはそこまで干渉してこないもんなんだなと思いました。ただ、長時間口を開けていたこともあり、口がほぼ開かないのでそこだけ不便でした。

深夜からの発熱

ベッドが身体に合わなすぎる。硬くて、身体中が痛くて全く眠れない。比較的直近で入院経験もあり、人より病院のベッドに慣れているはずなのに・・・と思いながら、ほとんど寝てない状態で朝になっていました。
しばらくして、検温にきた看護師さんとびっくり。なんと39度近い熱が出ていました。笑 身体の痛みはベッドが合わない痛みではなく、よくある発熱による関節痛だったのです。感覚鈍すぎィ!
抜歯後熱が出ることはよくあるそうなのですが、ご時世がご時世なので、またまたPCR検査、そしてインフル検査も受けました。鼻の粘膜はげるどぉ。

無事に帰宅

いずれも検査結果に問題がなかったので、手術翌日に無事に退院できました。解熱鎮痛剤・抗生物質をいただき、極力安静にお風呂などもシャワーでささっと済ませました。顔が腫れることをわりと期待していたのですが全く腫れず、痛みも薬の効果かほぼなく、想像していた以上に普通の日常にもどりました。口の中は相変わらずちょっぴり血の味がしますが、グチュグチュと強くうがいをするのは抜歯後の穴を治癒させるかさぶた(血餅)をはがす原因になるので厳禁。どうしても気持ち悪い時は顔を左右にやさ〜しく倒してゆすぐのがおすすめです。

おわりに(+ちょっとお金の話)

静脈内鎮静法で親知らずを抜いて、率直な感想は・・・

現代に産まれて良かった!!!

ということ。医療の発達すごすぎ。本当にありがとう。この方法を編み出した方々に、心からの敬意と感謝をおくります。全く恐怖を感じることなくあっという間に、何年も気にしていた親知らずを抜くことができました。

親知らずは年齢を重ねれば重ねるほど骨が硬化して抜きにくくなるといいますし、その後の歯並びにも影響します。今この瞬間が一番若いということで、悩んでいるけど踏み出せない方はぜひこの方法を視野に入れてみてはいかがでしょうか。病院によっては日帰りできるところもあるそうですが、入院はアフターケアが充実しているので、無理して時間をつくってでもすることをおすすめします。止血の様子を逐一チェックしてもらえるし、痛み止めを点滴してくれるし、ご飯つくってもらえるし。わたしのように高熱出しちゃっても、すぐに処置してもらえます。これがもし日帰りだったら、コロナの発熱外来とかたらい回しにされるんだろうなあ、と。

ちなみに今回の入院でかかったお金は以下の通りです。

・術前検査:5,000円くらい ※PCR検査は病院負担でした
・手術費用:40,500円
・入院費用(食事含む):2,500円 ※トイレシャワーなし4人部屋

合計▶︎48,000円

案外安くないですか?この後、抜糸やら消毒やらで3回ほど通いますが、それぞれかかって数百円くらいです。
歯って生涯健康に関わることなのに、身体の中でもちょっとだけ後回しにしちゃう位置でした(わたしだけ?)。歯医者さんはとても怖いけれど、歯は一生もの。これを機に、今後も医療の発達を信じて、投資をして、お口の健康を守っていこうと決めました。そしてなにより、ずーっと頭の片隅にあった『親知らず、いつか抜かなきゃ・・・』からの解放、最高にストレスフリー!

おしまい

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