「てんかん」とわかった日の話

子供の頃から一瞬意識が飛び、記憶が無くなる事がよくあった。

小学校の授業中などに、ふと気付くと自分一人が立っていて皆の視線が自分に集中している。

状況的に何かを発表していたか発表し終わったかであろうと思うのだが、何一つ覚えてないのでどうしていいのかわからず、静まり返った教室で皆が見つめる中、無言で着席する。その瞬間、教室のあちらこちらからヒソヒソ声が聞こえ始める。


何かやらかした、、、よくわからない恥ずかしさでいっぱいになり、いたたまれなくなる。


そういう事が何度となくあった。

家庭の中では突然黙り込む私の事を、両親は「ただの度忘れだ」と言うのだが、子供ながらに「度忘れとは何かが違う」と感じてはいるものの、その違和感を言葉で上手く説明する事が出来ず、やがて中学生になった。

記憶が無くなる症状に加え、頭の中に霞が掛かったようにボーっとする事がや、理由もなく嫌な予感がして気分が沈む事が度々起こり始めた。

そういう時には部活を見学するので、先輩からは「さぼっているから上達しないんだ」と注意されたりして、何となく人間関係がギクシャクする時もあった。

友達と悩みを打ち明けあったりする中で、それまで「何となく自分は他の人と違う」と思っていたこれらの症状が、「何となく」ではなく「明らかに違う」と確信するに至った。

当時はまだインターネットは勿論、携帯も無かったし、こう言った症状の原因を調べる術を持っていなかったが、中学を卒業する頃には「高校生になったら精神科に行ってみよう」と考えていた。

どういう理由で「精神科」と考えたのかは思い出せないけれど、中学生の私が「親にも言えない恥ずかしい科」と考えてた事は間違いない。


そして高2の夏休みが終わる頃、意識消失とは無関係にメンタル面の不安定さで精神科を受診する事態になった。


初診の問診の時に、家族関係や学校での人間関係についてあれこれ聞かれた後、「実は、、、」と記憶が無くなる事を自分から話した。医師に促され幾つかのエピソードを話すと、脳波検査を受ける事になった。


「てんかん」だった。


幼い頃から抱えていた「他人とは明らかに違う、自分にだけ起こる症状」にやっと名前が付いた。


こうして私の「てんかん」は発見され、治療が始まった。

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