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診断されると

さて?診断されると何かが変わるのでしょうか?
どうでしょう?診断されて何かが変わりましたか?

○診断されても何も変わらない
診断されたからと言って、状態が変わるものではない。診断される前にできていたことは同じようにできます。診断される前に難しくなってきていたことへの、必要な支援の方法が見えるようになり、出来ることと出来ないことを見極めることができるようになると、生活がより楽になりますね。

○診断されて変わる世間の対応
頭痛とか腹痛とか、花粉症と診断されても、誰も対応は変わらないですよね。変わるとすれば、横になって休みましょうとか優しくなるくらいですね。
でも、認知症と診断された時の世間の対応はどうでしょう。
認知症と診断されただけで、外出を制限されてしまう。それでも出かけようとすれば止められて部屋に家に外から鍵をかけられちゃう。財布は取り上げられて、必要なモノが有れば買ってくるよ!と買い物にも自由に行けなくなっちゃう。

職場の対応はどうだろう。私は職場の対応という面では経験がないので、他の方から聞いた話をしてみましょうか。
職場では、今までの部署から外される。裏方の雑用に回される。配達業務ではなく事務所内での作業になり外へは行けなくなる。
他の部署へ回されても、出来ないことで、上司や職場の他の社員より、できないことで、こんな簡単なこともできないのか⁉︎と責められる。アホか‼︎と貶される。

そんなことが続く中で、自主退職へと導かれているのではないだろうか。

○診断される前の認知症観による
「診断される前に、認知症を知っている」
「診断される前に認知症ってなあに?と何も知らない」
その違いだけでも、認知症と診断された時の感情が大きく違います。

認知症を恍惚の人の映画や書籍で知っているという人の多くは、診断されるとひどく落ち込むと言われます。

医学書を学んできている人でも、介護士として学んできている方々では、認知症と診断されると、今まで介護してきた方々と比較して、ご自分の診断が間違っている!と怒りをあらわにされますね。

医学書を学ばれた医療関係者な方や研究者の方々では、認知症と診断されて初めて認知症を理解した!とも言われます。

○認知症と診断されたら
 もしバナ的に、あなたは病院の診察室に居ます。あなたの目の前の医師から「あなたの状態は認知症です。認知症という診断名になります」と診断されました。
その時、あなたはどうしますか?
という質問を投げかけてみました。

 認知症のキャラバンメイトとしても尊敬できて、支援者としても尊敬できる方でも、診断されるといろんなことを思い描いて、落ち込むと言われた言葉でびっくりしました。

落ち込んで、全国にいる認知症と診断された先輩の元を訪ねて、いっぱいお話をしたいです。と仰いました。

結婚をしていれば配偶者や子供、そして親のことを考えるだろう。自分が診断された時には、先ず病気のことよりも、自分が認知症になった時には、家族のことを第一に、思い浮かべ、考えるでしょう。残された家族のことを心配する。

治らない。今の医学ではまだ治療が出来ない病気と診断された時。やはり家族のことを第一に考えてしまいます。
そしてその後の身の置き方を考えるでしょう。

○悪いイメージ
 認知症に悪いイメージしかない人ではどうでしょう?
認知症になったら、家族に顔がわからなくなる。スーパーでお金を払うという概念が消え去り、商品を棚から取って食べてしまう。羞恥心がなくなり、女性の体を触りまくる。すぐに怒り暴言を吐く💢何もわからなくなり街を彷徨い歩く。そんな状態に認知症と診断されるとすぐになってしまうんだと思っている人たちはどうなりますでしょうか?

認知症と診断されたら、もう怖くて死にたい!と、恥ずかしくって生きてはいられないと、自死を選ぶのでしょうか?自暴自棄になり家の中に引きこもってしまうのでしょうか?その思い描いたイメージの人になってしまうのでしょうか?


そうなってしまわないように、先に認知症と診断されている先輩たちは、声を上げて、認知症予備軍な、まだ認知症とは診断されてはいない!あなたたちへ、認知症と診断されても日々の暮らしはすぐには変わらないんだよ!と教えてくれています。

私は認知症を知らなかったので、診断されてから、インターネットや図書館で調べました。今でもそうですが、インターネット上でも図書館でも、そこに書かれた情報の多くは、昭和な時代の認知症観で溢れています。

昭和な時代の認知症観とは、医学書に描かれている痴呆症の説明です。
医療へなんとか連れていって初診で、脳MRIを撮れば脳萎縮が進行して脳組織がひどく痩せている状態。
介護保険では、要介護3や4や5と認定される人が描かれた書物や情報なんですね。
そんな情報だけを見れば、落ち込むしか選択肢がないですよね。

私も落ち込みました。這い上がれないほど落ち込みました。もう死ぬしかないとも考えました。死がすぐそこに迫ってきているとすら感じましたね。

そんな時、ある研究者の動画を見ました。
「アルツハイマー病を研究している方が、前頭側頭葉変性症の研究費用が3千万円出ているとして、そんな時に、アルツハイマー病が治療できるかもしれない薬が発見されれば、その前頭側頭葉変性症の研究費用を全てアルツハイマー病の研究費用に回します」と言われていました。

当時前頭側頭葉変性症との診断名だったので、見捨てられた!と酷く落ち込みました。もう死ぬしかないんだ!と、死への階段を歩んでいくしかないと感じました。

その時、こんな自分でもココまで落ち込んで、死ぬことしか考えられない状態になるんだ!ということに気がつきました。自分が死しか考えれないように、同じように診断された方々も死を選んでしまうなら、そんな方々の力になりたい!そんな方々と悩みを打ち明けたり、一緒に這い上がっていく手助けができないだろうか?という思いが湧いてきました。

それからは、インターネットや本の情報だけではなく、認知症と診断された本人から話を聞くんだ!と、認知症カフェと言われる場へ行って参加してみたり、認知症フォーラム等の講演会へも積極的に参加しています。
そんな中で、多くの先輩たちと出逢える機会をいただき、そんな先輩方の手助けになればと協力させていただいています。

今、世界中の認知症と診断を受けた多くの先輩達が発信をしています。
昭和の時代の認知症観を令和の時代に即した認知症観に変えていただこうと、みんな頑張って発信しています。

そんな声に耳を傾けてください。中等度・重度な認知症の方だけが認知症ではないんだ!という事実を知ってください。

アルツハイマー病の終末期まで、アルツハイマー病だけで到達出来る人は、1割にも満たないという事実を知ってください。

治療法のまだない脳変性疾患を恐れて、認知症を拒むのではなく、

治療や予防もできる認知症の原因疾患を見落とすことを恐れてください。

認知症と診断されることを恐れないでください。

もしかしたら?と感じた時には、医師へ相談してください。

2022年6月13日

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