リカバリー

本日も前回の三重県ピアサポート研修から。

 リカバリーとは『障がいや病気のある者がありのままの自分らしく生きようとする』事です。

 アメリカのウィリアム・アンソニーは、この様に定義しています。

『個人の姿勢、価値観、感情、目的、技量、役割などの変化の(個人的な)過程である。疾患によりもたらされた制限を備えていても、満足感のある、希望に満ちた、人の役に立つ人生を生きることである。精神疾患の大きな影響を乗り越えて成長し、人生に新しい意味や目的を見出すことでもある』

この過程というのもポイントだと思います。


もう少し砕いていくと

・(病、障害が)完全に治っていなくて良い。
・薬を利用して良い。
・医療・福祉サービスを利用して良い。
・自立していなくて良い。
・悩みがあって良い。
・常に右肩上がりの順調な道のりでなくて良い。

という事です。


ピアに対してリカバリー経験を分かち合うことで期待されることとして、

・ピアがともに「希望」を見出す手助けをする
・ピアと「信頼関係」を築く手助けとなる
・ピアの「リカバリー」、少し先の未来を信じる原動力となる
※ピアサポーターの立場であるときのリカバリーストーリーは、利用者のためのものであり、意図的に体験を伝える必要があります。そのためには、自身のリカバリー経験に基づき、その構成要素や過程の言語化が必要があります。


まとめとして

・リカバリーとは、病気や障がいがあっても、未来を信じ希望を持って「自分なりの一度きりの人生」を歩むこと、ありのままの自分らしく生きようとすることです。
•ピアサポーターは、相手が少し先の未来(希望)をイメージ出来るよう手助けをし、ピア自身のリカバリーのきっかけ作りを目指します。
•自らのリカバリーストーリーを言語化して整理しておくこと(経験を振り返り言葉にしてみること)が、ピアサポーターの重要な専門性に繋がります。
•どんなリカバリーストーリーでも受け止めることが大事です。でも受け止められないときは、そんな自分に気付く事がピアサポーターとしての重要な資質です。



そして、ここから個人的な考察です。

リカバリーストーリーは、障害や病の話など、かなりセンシティブな事が多い可能性があります。
話す時には話し手も聞き手も負担に感じる事があると思います。
また、ピアサポートは、ピアとの距離感を一気に近づけることも出来ますが、全く同じ人間ではありません。バウンダリーを意識していくことが必要です。
さらに、ピアサポートは、インフォーマル的な要素が強かったですが、この研修を受けて働くということは、プロのピアサポーターとして、仕事として(フォーマル)ピアサポートを行うのです。

このように、ピアサポートは、様々な物事や捉え方の境界線をその時その時に感じ取りながら、とても高度なお仕事なのかもしれませんね。




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