見出し画像

プッチーニ作曲 「修道女アンジェリカ」

三部作の二つ目のオペラです。一つ目の「外套」が暗すぎる殺人事件だったのに対して、2作目のこのオペラは女性しか登場しないちょっと珍しい作品です(舞台裏に配置される合唱団を除いて)。原作の 時と場所は 17世紀末頃、とあるイタリアの修道院の中庭、季節は5月 とヨーロッパでは一番綺麗な時期。この修道院にいるアンジェリカをめぐる半日ほどの事件(自殺事件)を扱っています。外套と同じく人が死ぬということを扱っているオペラですから、悲劇ではありますが、このオペラの雰囲気は 「外套」とは全く異なり 私はこのオペラはハンカチなしでは観ることができません。ストーリーはよくわかっているのですが、どうしても最後のアンジェリカが自殺する場面では涙があふれてしまいます。この作品のストーリーはとてもシンプル。でも最後のシーンはとても劇的なので、演出でずいぶんと感じが変わります。この作品をご覧になるときには、ぜひ演出にもご注目ください。

超簡単なあらすじです。
薬草に詳しく、何かあると仲間の修道女たちに薬草を調合してあげて喜ばれている、物静かであまり目立たない修道女のアンジェリカは高貴な家の出身であるが、私生児を産んだ事を責められ、生まれたばかりの子供と引き離されて贖罪のために修道院へ送られた。彼女の生きる望みは生き別れた我が子の様子を知ること。でもその子が熱病で亡くなったことを知ったアンジェリカは絶望のあまり、理性を失い、天国で息子と再会するために薬草の知識を生かし毒薬を調合し服毒自殺を図る。でも毒薬を飲んだ後で彼女は自殺がキリスト教では大罪であったことに気づく。自殺をした者には天国の扉は閉ざされてしまう。このままでは天国にいる子どもに会えない。死の苦しみの中で祈るアンジェリカに奇跡が起こります。

もっとも有名なアリアは「母もなしで(Senza mamma)」ちょっと画質は悪いのですがとっても感情移入された熱演で私のお気に入りの映像です(泣けますよ)。サンフランシスコオペラ、アンジェリカはパトリシアラセットさん。ちなみにこの映像は最後のフィナーレまで見せてくれますのでお時間のある方はぜひご覧になってください。

こちらも「外套」でも紹介した モデルナの動画です。ありがたいことに英語の字幕が付いています。この録画の演出は比較的オーソドックスかなと思います。時間は1時間ほど。



https://youtu.be/OMSITaX6exU

この先はハンカチを交換したほうが良いかもしれません…。次に紹介するのは、アスミック・グリゴリアンさんのアンジェリカで最後のフィナーレの部分です手っ取り早く泣くにはやはり最後のフィナーレがわかりやすいです。ぜひこの方のアンジェリカをいつかは劇場で見てみたいです。いつこの動画を見るとついつい泣けてきてしまいます…

アンジェリカはアルバニアのソプラノエルモネラ・ヤオさん。ロイヤルオペラ、指揮はアントニオ・パッパーノ。ちょっと他と違う演出で、映像もきれいですし お楽しみいただけると思います。

さて、ちょっと怖い「外套」、かなり湿っぽい、いわゆる昼ドラ的な「修道女アンジェリカ」が来て、最後のトリが喜劇の「ジャンニ・スキッキ」です。こちらは1月末に「劇場へ行こう リモート」で取り上げたいと思います。
三作を一夜で見ると約3時間。休憩が入るので4時間も劇場で楽しめるプッチーニの「三部作」もしご覧いただけるチャンスがあればハンカチをもってトライをされてはいかがでしょうか?
そうそう、ハンカチと言えば、アン・ハサウェイとロバート・デニーロの「マイ・インターン」の中のデニーロ演ずるベンの名言「ハンカチは必需品だ。ハンカチを持ち歩く理由は女性が泣いている時にそっと貸すためさ」ぜひ、男性諸氏は彼女や奥さんを誘って劇場へ行きましょう。その時にはハンカチをお忘れなく!

By こばつね

ペテルで劇場へ行こう!』、ペコのサイトにぜひ遊びにきてくださいね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?