子どもの歯科治療で麻酔をすることについて


最近子供の歯科治療で、麻酔を使うことに対して躊躇うようなtweetを何件か目にしました。確かに部分的とはいえ体にお薬を入れるので何かしらのアクシデントが起こる可能性は0とは言えません。だからといって子供に対して麻酔を使うべきではない、と言ってしまうのはどうなのかなと思いました。

なぜ麻酔を使うのか、それはお子さんの歯科治療に対するストレスの一つである『痛み』
を取り除くことで治療中に起こる不快なことを一つでも減らすために行っています。
麻酔は注射なのでそれ自体が不快だ!というのも間違いではないです。しかし麻酔せずに処置をして半端じゃない痛みを与えてしまう方が拷問に近いのではないかと思います。注射は確かに痛いけど、麻酔が効けば処置中の痛みに関しては軽減させることができます。

少し古いですが、大学附属の小児歯科、開業している小児歯科の病院の患者さん4145名(そのうち90%が12歳以下)を対象に麻酔を使った時の調査をした報告があり、そのうち6名が副作用と疑われるような症状が出ましたが、いずれも重篤な状態でなかったとしています。

https://mol.medicalonline.jp/molws/pdf.php?aid=9&cid=3&gid=du8shoni/2012/005004/001/0275-0282&dt=20210929203326&hs=593115b9bd31fed22584a3007708a2d769aa9f0c

もちろん、重篤な状態へと移行する前段階の可能性もあるので、全く心配ご無用!とはいえません。
なので小児歯科に携わり、日々歯科治療で子供に対して麻酔を使用してる先生たちのほとんどは、事前にお子さんの体の状態や術中、術後の変化の有無は慎重に観察されていると思います。


歯科医師の方で、低年齢であればそもそも麻酔が必要な処置を行うことが難しい、子供に対して何かあった時の対応が不安である気持ちもわかります。そのような場合は専門の病院や歯科医院に紹介してもらっても構いません。地域によってはそれが困難な場合もあるかと思います。その場合は先生のご判断でどのような治療にするのかを決めてもらって良いと考えます。

一般の方でお子さんに麻酔が必要な処置をしなければならないけれど、未経験であったりお子さん自身にアレルギーがあって麻酔に対して不安である場合も同様です。麻酔のアレルギー検査もあるのですが、100%確実なものではないのです。(もちろん指標の一つにはなり得ます)

長くなりましたが私が言いたいことは

『小児に対して麻酔を使うことを全て否定せず、麻酔が必要であればしっかりとお子さんの体の状態を確認し管理することで、適切に使用できる』

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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