台湾政府による意見広告 2020.4.14 New York Times

直近の『ニューヨークタイムズ』に台湾政府による意見広告が掲載されていたそうです。

もちろんCOVID-19に関する台湾からの対外的なアピールで,一番の狙いはWHOと中国に対する一種の比較広告によって台湾の国際的な存在感を引き上げることでしょう。

トランプ大統領によるWHOへの牽制を背景に,たんに防疫面での台湾の先進性をアピールするだけではなく,中国をふくまない対ウイルス面での国際的な協力関係の構築に向けて一歩踏み出したいという姿勢の表現であるのは間違いありません。

*台湾とWHOの対立の現状についてはこちらの記事にくわしく述べられています。→時事ドットコムニュース

ボク自身は最終的にはWHOが健全に機能して,台湾とも実質的な協力をしてもらいたいと望みますが,それはそれとして,この『ニューヨークタイムズ』への意見広告の訴求力のすばらしさに感心せずにはいられません。

広告紙面のデザイン構成はとてもシンプルです。

上半分は真っ黒な塗りつぶしで現在の世界の闇の広がりを表現。そこにポッカリと明かりがともる空間を配置。

視線が下にスクロールすると,その明かりは青空のような色に変わり,それが台湾へとつづくものだと表現。

明と暗を左右にではなく上下に配置しているのはウェブ上で読まれることを意識しているからですね。

文面もとてもシンプル。台湾へと世界の希望の眼差しを集めることだけを意図した作文です。

*翻訳して引用してみます。

隔離の時代だからこそ私たちは連帯を選んでいます。

皆さんはひとりきりではありません。台湾があなたの味方です。

皆さんがいまどんな事態を経験されているのか私たちは理解しています。それがどれほど大変かも。

台湾は2003年のSARSの流行によって大きな打撃をうけたため,よくわかるのです。WHOから除外されているがゆえによくわかるのです。

そのため私たちは,感染症をどのようにして抑えこんできたのか,学校や企業を閉鎖せず全国民のためのマスクをどのようにして確保してきたのか,その情報を共有して世界中の皆さんの努力を支えようとしています。

過去数週間にわたって台湾は世界中の医療従事者を助けるため1,600万枚以上のマスクを提供してきており,COVID-19に対する最も進んだ高度なテストとワクチンの研究をアメリカやEUとともに進めてきました。

台湾を孤立させることができるとお思いですか?できるはずがありません。

なぜなら私たちは皆さんの助けとなるためにここにいるのですから。

#TaiwanCanHelp
#TaiwanIsHelping

ボクは今年の2月に台湾に旅行し,日本に欠けていて台湾が優れているのはどういう文化性なのだろう?COVID-19に対する台湾政府の秀逸な対応姿勢はどこから生まれてくるのだろう?と,この小さな国の先進性に非常に興味を持つようになりました。

これまでとは逆に日本が台湾に大きく学ぶべき点があるように思えるのですね。

安倍政権の失態が国際的にも報道されるいま,台湾が『ニューヨークタイムズ』に掲載した広告は,国としての哲学や戦略がとても大事だということをあらためて示していると思います。

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