ウルフルズが歌う「神様」

予想通りですが,今月末までの緊急事態宣言の延長が正式発表されました。

この延長はコロナ感染の現状を考えれば仕方ないこと。

とは言うものの,「外に出かけたい!」「ふだんみたいに仕事したい」「みんなと会ってワイワイやりたい!」という気持ちは消えずモヤモヤ。

ボクの知り合いの自転車仲間のあいだでもZwiftでのバーチャルサイクリングやweb飲み会など,なるべく<非日常>を<日常>に近づける工夫をしている人がどんどん増えていますが,やっぱり何だか物足りない。

「出かけるのをガマンするのがコロナ感染を終わらせる一番の近道だとはわかっているのだけど...」という<非日常>に耐えるガマンの気持ちと<日常>にもどりたい欲求の板ばさみがいつまで続くのか?

終わりがなかなか見えないことがモヤモヤを増幅していますよね。

そんなみんなの気持ちをウルフルズがパンチの効いた曲にして期間限定で動画公開してくれています。

勢いのあるリズムやメロディーはもちろんトータス松本の作詞が素晴らしい。みんなの気持ちに寄りそいつつ力強く背中を押してくれる曲ですね。

まあ聴いてみてください。

ねっ,出だしからイイでしょ?

おい どんな感じ?ってウマイなあ。英語だったらWhat's up, homie?って歌うんでしょうけど,もうこれだけでトータスがつくりだす温かい人の輪に呼び入れられて,そっか自分だけじゃないんだ,みんなモヤモヤしてるんだ,一緒にタタカおうぜっ!ってなりますよね。

ひとりひとりは弱い存在だけどみんなが手をつなげば大丈夫!というのは,ずっと彼の作詞のベースにある愛に満ちたメッセージですが,それを伝える言葉の選択が絶妙!

あるのは時間だけ
ならお前に会いたい
抱き合ってゆっくり話したい ♪

いつの間にか出だしとはトーンを変えて,ここはコロナで会えないひとりの恋人への呼びかけですが,それがいつのまにかさらに世界中で同じようにモヤモヤしている人たちとの共感と連帯のメッセージに変わってゆくのがさすがです。

コロナこわいなう
ビビるでビビるで
ビビるでなう
この気持ちは世界のどこでも誰でも人間みなおんなじちゃうのん!

そしてボクは次の一節のところでオヤッ!?ってなるんですね。

窓から空
空はカラッポ
神様の声
聞こえた気がした

彼がつくった曲の中でボクが好きな曲にはいつもどこかで彼の「神様」への祈りが聞こえると思ってきました。

あるときは救いを求めるように。あるときは誰にともなくつぶやくように。あるときはトータスらしい大声量で叫んで,この世とはちがう次元にある高い存在に向けて祈っているのが聞こえるんですよね。

あぁ 神様オレは 何様ですか
どうしていつも まちがえるのか

あぁ 胸が
暴れだす 暴れだす
誰かそばにいて    〜『暴れだす』から〜

そう,彼が歌う「神様」ソングにボクが心ひかれるのは,たぶん彼の歌がとりあげる<日常>の根っこにはいつも等身大の自分を冷静に見つめる内省があって,その内省を忘れず,けれどひるんだりもせず,「みんなで連帯しよう!」と歌うからなんです。

そして,今回の『タタカエエブリバディ』を聴いていてわかった気がしました。

彼が歌う「神様」って神秘的で不思議な存在ではなくて,実はまさにひとりひとりの内省とそれにもとづく連帯そのものなんですね。それも強くて英雄的な自我ではなくて非力で平凡でもろいボクらの自我の。

コロナウイルスによる病禍は一日もはやく終わってほしいですが,彼の「神様」ソングのおかげで,このコロナの時代を生きぬいて,ボクらが生きてゆくのに一番何が大切かを考えるきっかけが見えた気がします。

私は誰なのか?私の幸せって何なのか?そしてあなたと一緒に幸せになろう。

内省と連帯。

もしかすると21世紀の地球において,これほど深い価値観の転換期はあとにも先にもないのかもしれません。うん,なんだかこの転換はじわんと来そうだ。

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