ヒトメタニューモウイルスの話：Voicy文字起こし

2021年8月から週に3～4回、
音声メディア『Voicy』で放送をつづけています。
再生回数が多い回を中心に、
文字起こしをしています。

こんにちは。
このチャンネルでは、子どもやアレルギーの健康情報を5分程度でざっくりと解説をしてゆきます。それでは早速始めてまいりましょう。

今回は『ヒトメタニューモウイルス』というウイルス感染症に関してお話をさせていただきたいと思います。

ヒトメタニューモウイルスの話【RSウイルスと似たウイルスです】 | ほむほむ@アレルギー専門医「小児アレルギー専門医のほむラジオ」/ Voicy - 音声プラットフォーム

ヒトメタニューモウイルスって言っても、あまり馴染みのないウイルスかもしれません。しかし、RSウイルスっていうと、ああ聞いたことがあると思われる方も多いでしょう。

RSウイルス感染症とヒトメタニューモウイルスは、症状がかなり似通っているウイルス感染症です。しかし、少し異なる点もあります。

ですので、その違いを含めてお話をさせていただきたいと思います。

ヒトメタニューモウイルスとは

ヒトメタニューモウイルスは、2001年に発見されたウイルスで、比較的新しいウイルスです。子どものウイルス感染症の5%程度はこのウイルスによるとされています。

そして5歳までにほとんどの方が初回感染、初めての感染が終わっているとされています。しかし、何度も感染をするので、一回で終生免疫、感染しても症状が出ないよとはならないのです。

しかし、1回目よりも2回目のほうが、2回目よりも3回目のほうが、症状が軽くなりやすいのです。

昔は、3月から6月にヒトメタニューモウイルスが流行しやすかったのですが、今は一年中検出されます。ですので、季節性が必ずしもあるとはいえなくなっています。

ヒトメタニューモウイルスの症状とは

症状の多くは、咳や鼻水です。
けれども、RSウイルスと同じように気道の先の方まで炎症を起こし、ゼイゼイするような細気管支炎っていう症状をおこしたり、もしくはクループとうう声帯のあるあたりに炎症を起こしたり、肺炎などもおこすことがあります。
また、中耳炎も比較的起こしやすいので、気をつけておく必要性があるでしょう。

ヒトメタニューモウイルスが悪化しやすいケース

RSウイルスと同じように未熟児で生まれてこられた方であるとか、もしくは肺に大きな病気を持っておられる方とか、心臓に重い病気を持っておられる方が悪化しやすいということになります。

 ただし、多くの場合は一週間以内で、主な症状、強い症状は改善していくことも分っています。
ただ、RSウイルスはどちらかというと、1歳までに初めての感染を起こしやすいのですが、ヒトメタニューモウイルスはちょっと遅れて1歳から2歳に初めての感染を起こす点が異なります。

ですので、RSウイルスに比較して、少し年齢が高くてRSウイルスに似ているな、そしてRSウイルスではない場合は、ヒトメタニューモウイルスが隠れているケースが多いということになります。

ヒトメタニューモウイルスの検査

なお、RSウイルスの迅速検査、すなわち鼻に綿棒を入れて採取した鼻汁を使った検査は、基本的に外来では1歳未満でしか保険適用がありません。
しかし、ヒトメタニューモウイルス迅速診断のキットに関しては、2017年の1月から6歳未満のお子さんで、画像検査をレントゲン検査をして肺炎を疑う場合は保険適用となりました。さらに、2018年からレントゲン検査をしなくても、胸の音を聞いて肺炎らしいということであれば保険適用の検査となりました。

ただ、ヒトメタニューモウイルスは、風邪のウイルス全体の5%程度を占めるとお話したように、検査をすると、結構な頻度で検出されます。ですので、症状が重篤でない場合は必ずしも検査をしないといけないわけではありません。

ヒトメタニューモウイルスの治療

ヒトメタニューモウイルス感染症の治療は、RSウイルスと同じように、特別にこれっていうものは残念ながらありません。
脱水にならないように、例えば経口補水を少しずつ取らせてあげるとか、脱水が強くなった場合は点滴をする、もしくは体の酸素濃度が下がってくるような状況に陥れば、酸素を使わないといけないということです。

抗菌薬は、ヒトメタニューモウイルスそのものには効果はありません。

さて、今回は少し耳慣れないウイルスかもしれない、ヒトメタニューモウイルスに関して簡単に解説をさせていただきました。
これから寒くなるに従って様々なウイルス感染症が流行することが予想されます。

皆さんも、感染予防に関して少し見直してみていただけると幸いです。
それでは、今回はこれで終了させていただきます。さようなら。