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「みんなの権利」Allemansrätten


我が家の庭に生えていたキノコ 見るからに毒キノコっぽい

スウェーデンには「Allemansrätten」というものがある。
 
何時ごろからあるのかわからないほど古い伝統的な野外活動についての民間ルールである。
 
みんなの権利

・住んでいる人の家から邪魔をしないだけの距離があれば、他人の土地でも立ち入ってよい
・同じく、邪魔をしなければ、他人の土地の塀、石垣、木戸を通過してもよい
・きのこ、ベリー、花は保護植物でない限り、他人の土地でも採ってよい
・同じく、邪魔をしなければ、他人の土地でテントを張って、1、2泊なら泊まってもよい。ただし、キャラバンで宿泊する場合には、持ち主の承諾がいる。
・周囲を傷つけなければ焚き火をしてもよい
・森の中の小道は、他人の土地でもドライブしてよい
・ボートを他人の桟橋に止めてもよい。ただし、完全なプライベート桟橋(庭に続くような)はだめ
・同じく、邪魔をしなければ、他人の湖で泳いでもよい


他人の湖で泳いだよ

してはいけないこと

・住んでいる人の住居内が見えたり、話し声が聞こえたりするところに立ち入ってはいけない
・小麦など畑の植物は、とってはいけない。森の中でも育成しているような植物はとってはいけない。
・枝や葉っぱ、木の実を木から直接とってはいけない(落ちているのは良い)
・保護している植物をとってはいけない
・鳥の巣や、たまご、ひななどをとってはいけない
・誰かの土地を傷つける行為をしてはいけない
・他の人の所有する湖で、魚を釣ってはいけない
・森を歩くときは、犬にリード紐をつけること
・ゴミを捨ててはいけない

はまなすの実 いわゆるローズヒップね

 
つまり、まとめていうならば、他人の土地であろうと、居住空間の邪魔にならなければ、泊まったり、散歩をしたり、泳いだり、キノコ狩りをしたりしていいということである。
ただし、そのためには、土地を傷つけたり汚したりしないという暗黙の了解があるのだ。

犬を放さないというのも、森の小動物に危害を加えないためだそうだ。

他人の土地には一切入ってはいけないデンマークやドイツのツーリストが夏になるとバックパッカーとして、スウェーデンにやってきて、あちこちを泊まり歩くのも、この「みんなの権利」が保証されているからである。

自然は、基本的にみんなで分け合うものというスウェーデン人の思想がうかがわれて、私は、この民間ルール、いたく気に入っている。

それにしても、人里離れた土地を有刺鉄線で囲んでいる日本。それも醜悪だが、そこに大量の粗大ゴミを捨てていく人々も、本当に醜悪だ。茨城や多摩などの山奥に行くと、どうみても家庭のゴミとしか思えないような、洗濯機や、冷蔵庫、黒いビニールのゴミ袋、時には、ナンバーを外した乗用車まで捨ててあるのを見かける。

聞いた話によると、最初の一つが捨てられると、たちまちそこは、ゴミ捨て場と化すのだそうだ。

人口に差があるのはわかるけれど、自然の美しさを共有財産と考え、なおかつ、後世に残していく価値のあるものと考えている、そして実行しているスウェーデン人、もしかして、すご〜く、賢いのではないだろうか。

しかし、そのルールを知って以来、森の中を散歩する時、無意識のうちにベリーやキノコを探している私・・・得したい根性は、日本製?


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