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炎天下に立つ運転手

炎天下の新橋を歩いていたら、裏通りのビルの前で、黒塗りの車の外で運転手さんが直立不動で立っていた。
(画像はイメージ画像で、実物ではありません)

ビルの中に入っていった雇い主が出てくるのを待っている風情。
 
しかも、日向。
私が道の向こうから歩いてくる間ずっと、炎天下でしかもスーツ姿で立っている。
 
通り過ぎてからも、しばらくして振り返ると、まだ、立っている。
 
雇い主は、なかなか用事が終わらないらしい。
 
向田邦子のエッセイを思い出した。
   ****
外で待っているお抱えの運転手さんに訪れた家の人が気を遣っておやつとしてお煎餅をくれたのだろう。

大きなお煎餅をいただいたはいいけれど、どうしていいかわからず、でも、車を汚すわけにはいかず、窓から首を外に出して、かけらが車内に落ちないように気を使いながらお煎餅を食べていた。
プロの運転手としての気概を感じた。

確か、そんな内容だったように記憶している。
 
    *****
 
この新橋の炎天下で運転手さんを外で直立不動で待たせている雇い主はどんな人なのだろう?
 
この運転手さんが大尊敬する雇い主で、とても座って待ってなんかいられないのだろうか?
「俺が仕事をしているんだから、座って待っているのはけしからん」
という雇い主なのだろうか?
 
あれこれ妄想をかきたてられたのであった。

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