レディースものは、経年変化が楽しめない!

 ついこないだ、友人とイタリアンに行くのに、レディライクな7.5cmヒールのパンプスを履いてお出かけした時があった。友人と別れた後、家族と落ちあうまでの時間、ひとりカフェに入って一息ついた時。ふと気付いたのだ。

 どんな靴だって、履いて歩くからには避けては通れない履きジワやこすれによる色落ち。それらの経年に伴う表情が、レディライクでフェミニンなパンプスにおいては全く美しくないことに。
 美しくないどころか、くたっとシワが入り、履き慣れて革が伸びて、つま先が若干広がってきたその姿はみすぼらしく、おしゃれをしたはずが生活感満載。購入した時は、ピカピカ輝いて、ツンとおすましした美人さんだったのに!

 思えば、靴に限らずフェミニンで女性用アイテムって、経年変化、使用感が大の苦手ではないだろうか?経年変化、使用感が出た途端、“見窄らしい”“使い古した”感が満載になる。
ひらひらと柔らかく繊細なスカートやブラウスは、変なシワが入らないよう手入れに気を使うし、間違ってシルクのスカーフを洗濯機に入れてしまった時なんて、色落ちしてくすんだ姿にガックリする。革のバッグや財布だってそう。物を詰め込みすぎて形が崩れたり、うっかり何かで引っ掻いて細い傷をつけてしまったら、あーあ、とため息をつきたくなる。
そのくせ、それらを手入れによって蘇らせることはほぼ不可能に等しい。

 一方、男性的なアイテムというのは、経年変化が味になって、ますます深みや愛着を増していくものが多い気がする。例えばデニムは、履いていくうちに現れる色落ち感や使用感も楽しめる(最近は、販売前にあえて人が履いてもらい、そのヒストリーを付加価値として売っているデニムもあるとか!)し、靴や財布、鞄といった革製品も、使い込んで色が変わったり、自分に馴染んでくったりしていく様子を愛でることができる。実際、メンズ向け雑誌では、新品の商品のみならず、そのアイテムの経年変化を掲載していることもある。

 pd診断などを通じて自分をより素敵に見せてくれる装いについて色々と考えている中で、どうしてこれまで、似合ってもいないのに、せっせとメンズライクな服たちーー上質なコットンのバルカマーンコート、ボーイフレンドデニム、紳士な革靴ーーを集め、愛でてきたのだろう?と思っていた。その答えはここにあるような気がする。レディースものは、経年変化を楽しめない。購入したその瞬間からどんどん価値が下がっていくけど、メンズライクなアイテムは、購入した後も愛着が増していくのだ。

 しかし、“経年変化が楽しめない”っていうのは、なんだかそのまま今の女性たちにかけられた呪いのようで、皮肉満載な感じ…。やっぱり、傷つけないよう、シワをつけないよう細心の注意を払いながら使わないといけないアイテムより、自分に馴染んでくったりしてきたり、シワや傷も思い出と一緒に愛せるアイテムの方が私は好み。自分自身についても同じことで、シワが増えるから大口開けて笑わない、太陽の下には出ない…なんてのはイヤ。笑いたい時に笑って、燦々と太陽の光を浴びて、笑い皺が勲章になるような素敵マダムになりたい!

経年変化を楽しめるアイテム。これまでは、ザ・メンズ!みたいなアイテムしか見つけられなかったけど、これからは、自分を引き立てるかつ経年変化も楽しいアイテム選び、頑張って行きたい♡!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?