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赤道反流上でのフロート敷設作業

本ページに直接訪問された方は、このページが何を言わんとしているか、 すぐには理解しがたいかと思います。                       是非トップページ『Pec-cePについて』をご一読ください。https://note.com/pec_cep/n/n4026e0e1872e/

赤道反流上に設置するフロートやその周辺設備の機能は赤道上で得られる太陽光エネルギーを取り入れて運搬可能なエネルギーに形態変換を行なったうえでエネルギーの需要地に供給することにありますが、そのために絶対的に必要な条件はここで得られるエネルギーの生産量が需要国の産業構造を変え得るほどに莫大であり、需要地での脱炭素エネルギーの受け入れインフラ構築費用などを含めた生産コストが既存の化石エネルギーに比較して格段に低くなければならないことにあります。いくら赤道現地での生産コストが低くても、それをメタンやアンモニアに二次製品化するコストも抑えなければなりませんし、製品の輸送に費用がかかってはいけません。輸送を含めたコストが安くても、そのエネルギーをローコストで使える設備が必要です。  また、フロートでは持続可能なエネルギーの生産だけでなく、他の場所に排出されるCO2を膨大に貯留し、それを事業ベースとして成り立つ形でCO2以外のものに再生産することで世界中の課題である脱炭素のムーブメントにも貢献することができます。政府でも「脱炭素」の推進のために予算を組んでいるようですが、脱炭素の問題、すなわち地球の温暖化防止は2050年を一つの目途としているように息の長い活動です。仮に赤道反流利用事業に投資しても、東京五輪のようにいろんな人間や組織が開催に群がって税金を食い潰しておしまいというわけにはいかないのです。

CO2を排出している元凶が人類であることはわかっているので、他のことはともかく世界人口が減れば胃袋の数も減るのですから、人口を滑らかに減少させることができれば、今まで乱開発してしまった耕作地や放牧地が不要になって森林などが自然に戻り、植物の炭酸同化作用によってCO2排出問題は解決するはずです。しかし、先進国の多くが目先の高齢者社会の緩和と資本主義社会の消費需要と労働力を維持するために少子化対策(人口拡大政策)に力点を置いているようでは、途上国だけに人口を減らせというわけにもいかないでしょう。人口が減らないのであればたとえ人口増加率が緩やかになっても世界のエネルギー需要総量は増加する一方です。

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<赤道反流上でのフロート敷設作業>                 フロートの構造と設備についてはこちらをごらんください。             赤道反流の長さは赤道下の太平洋を横断してミンダナオ海から南米エクアドル沖まで10000㎞に及ぶ細長い海流です。世界地図で見れば一本の細い川にすぎませんが、地球の自転や季節風の影響などによって太平洋の西側に押し寄せられた海水が行き場を失って逆流するのが赤道反流ですから幅は20~30㎞、深さも平均で100メートル以上あり、その流量はアマゾンなどを遥かにしのぎます。赤道反流は太陽光発電など自然再生エネルギーを獲得するには世界でも最適な場所にありますが、反流の説明をしていると前に進まないので別ページをご覧ください。                       赤道反流が世界の自然再生エネルギーの供給センターになり得るのには理由があります。固定観念に基づいた洋上発電(風力であれ太陽光であれ)では、風車やソーラーパネルなどを置く洋上のフロートが潮流や風力で押し流されないようにするためにフロートをロープなどで海底の固定物に係留しなければなりません。洋上のフロートで大量の電力を得ようとすれば、その設備も巨大になります。巨大な設備を海底に係留するには莫大な費用がかかります。また発電した電力を陸上に運ぶまでの設備費用も掛かりますから、結局洋上とはいっても大洋上ではなく、大陸棚の浅い場所に作らざるを得ず、そうすれば巨大な設備を作るのに適したスペースは限られます。大陸棚はさまざまな生物が生息し、漁業も行われ、そこの環境が変化すれば沿岸の環境も変化します。自然再生エネルギーを獲得するために自然環境に影響を与えては元も子もありません。                           それに対して赤道反流上のフロートは反流の流れの中に浮かびながら、海底に係留することなく、一定の場所から(特に東西に)移動しないようにすることができます。赤道反流の特徴として、西から東に赤道の表層を流れる赤道反流の下には真逆の方向に流れる赤道海流(反流の北側は北赤道海流、南側は南赤道海流が流れている)があります。この上下になって相反する方向に流れる海水の自然の力を拮抗させることで人工的なエネルギーを消費することなくフロートを静止させることができます。(「静止させる」のは海底に対してですから、フロートは常に反流の流れに逆らっているためにフロートの上から見ればフロートは西に向かって動いているように見えます。) ここにフロートを敷設していくには、まず工事を簡単にするために反流の流速が遅くて水深が浅く、かつ真下の赤道海流が表層に近く流れているところを選ぶ必要があります。この条件に合致するのは反流の南北両側の細い流域になります。設置場所については漁船程度の船から水深400m程度までの下層海流の流速を測るだけで済みます。他でも述べているように、赤道反流の流れは毎年変化し、南北にも振動しますから、最初から厳密に計測する必要はありません。最善の場所ではなくても発電はできますし、海流の計測はフロートを敷設しながらでもできます。年々変わる海流を事前調査していたらそれだけで2050年になってしまいます。                            フロートは、ちょうど空中にタコを飛ばすように、下層を流れる赤道にフロートから強力なロープで繋がれたトロール船で用いられるような巨大な網を袋状にしたものを複数投げ入れることで静止させます。大規模な作業にはなりますが、すべて現在の技術で対応できます。フロートは巨大であるものの喫水線は浅く、排水量は見かけほどではありませんが、水面下にCO2の貯蔵庫を作るとその分の排水量はかなりになります。したがって、フロート自体の形状も単なる筏ではなく、水抵抗を減らすためのボディデザインの工夫も必要になります。

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トップダウンの強力な組織の存在が前提ですが、効率を念頭に置かないプロトタイプは一年もあればできるでしょう。フロートの設置場所を調査しながら、陸上でフロートの骨組みを作り貨物船で運べばいいだけの話だからです。このプロジェクトの強みは当初はすべて既存の技術と素材や製品によって敷設して稼働出来ることです。ソーラーパネルも電解設備、浮力保持用のエアバッグなども既製品を流用できます。フロートの躯体も鋼材、木材、竹材などを組み合わせて作るだけですから、バラックを作るより簡単です。 もちろん本格工事にはいろいろな作業が必要です。しかし重ねて言いますが、このプロジェクトの強みは既存の技術の応用ですべてが出来るということです。例えば、フロートにはフロートに付帯してメタン製造のための工場船を作ることが必要ですが、サバティエ方式によるH2とCO2からメタンを作る方法は需要がないから大規模なものがないというだけで、小規模な製品はすでに実用化されています。初めてのところは生産設備を船の中に置くということだけです。



フロートの敷設は技術的にも比較的易しいのですが、長さ数十㎞もあるフロートが反流上を浮遊させると、赤道を縦断する船舶の航行や付近で操業する漁船の邪魔になってしまうので、大型のフロートは浮かべづらくなります。冒頭に申し上げたフロートをその真下を流れる赤道海流の力を利用してフロートを地表に対して静止させる方法であればその問題を解消し、幅2㎞に対して長さ300㎞といった非常に細長いフロートを浮かべることが出来ます。(フロートがどこにあるか分かっていれば航行の邪魔にはなりません。というか、なるべくよく使われる航路を避けて設置することが出来ます。)赤道反流は季節やその他の条件によって流れそのものが南北に20キロメートルほど振動するとされていますが、この移動は問題ありません。フロートはその流れの中で流れと一緒に移動するからです。              フロートの形状が長細くなるのは、そこに数多くの工場船を接弦させたり、大気中の大量のCO2を吸入する設備のスペースを確保できることからも好都合だといえるでしょう。プカプカと浮かんでいるフロートに大型船舶を接弦させることは、その際の「うねり」を考えただけでも様々な補強工事が必要となり現実的ではありませんが、幸いなことにフロートから積み出す製品は液化ガスなどが多いので細長いフロートの横部分の水中に液化貯蔵タンクを作り、そこから数百メートル離れたところを並行して微速で航行する船にダクトを通じて荷積みすることは技術的に可能です。

フロート本体を敷設していくのはイメージ的には道路に20m×30メートルの巨大な格子(セルフロート)をほぼ一面に貼りつめていく作業を想像してください。(※この格子は巨大な上に多数になります。実証試験工事として想定している60km2(幅2㎞×長さ30㎞・最終目標の百分の一)の広さでも百万枚(1,000枚×1,000枚)敷設することになりますし、その上を覆うソーラーパネルも市販サイズ(1.0m×1.5m)で計算して一つのセルに400枚(4億枚=完成時には400億枚)必要になります。建設費用や工程の見積もりは別ページで掲載するとして、フロートの概要を先に述べると、フロートを稼動させてソーラーパネルで得られる電力で淡水化した海水を電解し、H2やH2キャリアの二次製品を作って需要地まで運ぶのにはソーラーパネル以外にもいろいろな機械設備が必要になります。                            (海上に設置する最も基本的な陸上設備との違いは、陸上であればソーラーパネルや風車で得られた電力をそのまま送電線を引いて需要地まで運べば済むのに、太平洋の真ん中からは送電線を引けないので得られた電力を使ってH2を作り、それを輸送するという二度手間をかけなければならないことです。)       

《兵聞拙速》 フロートの敷設は構想が巨大なだけで、敷設費用や敷設工程は驚くほど容易に建設が出来ると見込まれます。敷設するセルは基本的には陸上で同一規格のものを多数作り船舶で敷設場所まで運んで降ろして組み立てるだけだからです。(ヤッターマンに出て来るロボット犬「ヤッターワン」の口から出て来る今週のびっくりどっきりメカを想像してください。上陸用舟艇のような船からフロートが連続して吐き出される設備は難しくありません。フェリーボートの車の出し入れを無人化するだけの話です。)             工程だけでなく敷設費用も陸上に同規模の設備を作るよりずっと少なくて済みます。最大の理由は用地取得費や住民の立ち退きといった間接費用がかからないことにあります。                       また、敷設されるフロートは二段であり、陸上の建設物であれば屋根にあたる上段にはソーラーパネルを敷き詰めることが出来、床にあたる下段には一部を船の船腹のように水中に沈める形で機械設備や生活空間など諸々の必要資材を収めることが出来ます。さらに、陸上では地下室ということになるのでしょうが、フロートでは下段の下の水中にも浮力の保持を兼ねたCO2を貯留するエアバッグなどを設置することが出来ます。(別ページ参照)   つまりフロートには二段三層の使い道があるので、地上や溜池にメガソーラーだけを置くのとはわけが違います。しかも、敷設する骨格としてはセル・フロートの枠組みとソーラーパネルを支える支柱だけで充分であり、さまざまな制約のある陸上設備に比べれば驚くほど効率的にスペースを使うことが出来ます。フロートの骨格は必要最低限の強度で作ることが出来ます。何しろ山も谷もない、ましてや人家などまったくない、果てしない平面の海上に作るのですから建設の手間も費用もかかりません。フロートはその名のとおり浮遊する物体ですから、陸上の建設物と違って設備を地上に固定する基礎工事は不要です。それに、フロートが浮遊する海域は強風が吹きませんから、セルフロートの上に敷き詰めるソーラーパネルを固定する支柱も軽量で済みます。地震への備えは一切無用です。この海域はそもそも地震の発生する場所ではありません。沿岸で発生する地震による巨大な津波も、平均水深4000mのこの海域では「うねり」を検出するのでさえ精密な機械が必要なほどです。

もちろん、何の制約もないわけではありません。こんな大規模な敷設物がいくら公海上に筏を浮かべるだけだから国際海洋条約に縛られないといっても沿岸国との利害調整は必要でしょう。赤道反流を横切って航海する船は多くありませんが、オセアニア諸国の船が北半球に入ろうとすればどうしても赤道を越えます。そのときに長さ数十㎞とか数百㎞の筏は長大な壁になります。赤道反流は表層海流であり湧昇流がないために生態系は貧しく、東西端を除いては漁業への影響も少ないと思われます。影響がゼロのわけはありませんが、環境への影響が少ないということは環境対策のための建設費を安く済ませることにつながります。

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敷設するフロートは陸上である程度組み立てたものを赤道反流上まで運んで設置する流れになります。資材は費用と時間を最小にするためになるべく既製品を使います。フロートの枠組みは鋼材、木材、竹材を有効に組み合わせます。ソーラーパネルや電解槽も既製品を若干手直しして利用します。         フロートは出来たところから次の敷設に利用できます。例えば一部のソーラー発電機能が稼動すれば、セル・フロートを敷設するのにその電力を使ってクレーンなどの機材も使えるようになるとか、あるいは作業員が船に戻らずフロートの上で長期滞在できる生活空間を作れるとか、作業効率の向上に繋がります。

とは言え、フロートの敷設は技術的には容易ではあるものの、気が遠くなるほど膨大な資材と輸送力・労働力が必要になります。中国が南沙諸島を埋め立て、基地を作った手早さはかなりのものですが、工事規模から言えば児戯に等しいといえるでしょう。 なにしろ、最終的に2050年までには茨城県の広さ6,000k㎡にほぼ匹敵するフロートを作らなければならないのです。そう言うとだいそれた工事のように聞こえますが、オランダが今までに延々と人力で埋め立てた土地の広さは14,000㎢に達するそうです。フロートでは埋め立てる土砂も、溢れる水を汲みだす設備も要りません。

しかし、このフロートは時間をかけて作り、完成したときには時代遅れになっているというような心配はありません。高効率のソーラーパネルが開発されるかもしれませんが、それにだって敷設面積は必要です。倍の発電効率のソーラーパネルが出来れば、フロートのパネルを取り替えることで倍の発電能力を確保できるということです。フロートで生産されるメタンガスやアンモニアの輸送能力は重油燃料のタンカーをメタン動力のタンカーに改造するなどで強化させなければなりませんが、少なくとも核融合発電が実用化され普及するまでは、コストの安いCO2フリーの水素の需要がなくなることはありません。現在日本では1000億㎥(7000万トン)の天然ガスを輸入し、そのうち70%を発電に30%を燃料に使用しているそうですが、フロートでその全量を生産することも計算上は可能です。H2換算で言えば2000万トン弱の生産で間に合うからです。

<コンペティター>原子力発電はコスト的には赤道反流を利用したプラントの有力なライバルになります。原子力発電の場合夜間の余剰電力を利用した電気分解により容易にH2を得られるからです。原子炉は稼働させたら簡単に運転をしたり止めたりといった小回りが出来ませんが、そんな従来の欠点も水素を作ることによって効率化できます。原子力発電の場合放射性廃棄物は必然的に発生しますが、その問題は見て見ぬふりをするか、何があっても安全だと主張することで既成事実化することができます。そして何より、原発は今まで何兆円もの税金を注ぎ込んできた産業です。CO2の排出問題は原子力発電にとってまさに福音です。日本の場合、国内の総電力需要は大きく増えることは期待できませんが、石炭火力発電所を閉鎖するということになればその分の電力需要は原子力発電で賄うしかありません。赤道反流上でいろいろな可能性を追求するのにはお金も時間もかかります。おまけに日本も核武装をしなければと思っている人達からみれば核兵器の製造に必要なプルトニウムを吐き出す原子炉はなくてはならぬものです。                          H2の製造法についてはいろいろ研究されてマスコミで報道されたりしていますが「経済的に大量生産する」という観点からは取るに足りない話ばかりだと言っていいでしょう。たとえば、太陽光を電気分解することなく直接水素を取り出す技術が研究されているのでそのうちに実用化されるかもしれません。しかし、地球に降り注ぐ太陽光の密度は同じですから、ソーラーパネルや電気分解槽が要らなくなっても太陽光を吸収するための広大なスペースは必要です。

※ このページは「書きかけ」です。近日中に完成させます。




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