見出し画像

変異株覇権レース(3)

 厚労省の2023/12/28予定の定点観測平均患者数報告は、年末年始休日のこともあって年明けになったようです。自治体によっては、当日報告予定の平均患者数はそれぞれのホームページで掲載しているところが多く、それらを基にした2023/12/24識別データベースを表1として掲載します。未掲載県は分かり次第追加修正する予定です。比較に必要な前回2023/12/17識別データベース、関連した患者数推移、各期間の国内変異株数上位順推移等は、リンク先を表示しましたのでご利用頂ければと思います。

   表1:定点観測下の患者数・2023/12/24識別データベース

*左端列は都市規模別都道府県名、右端列はその平均患者数i、下端行は調査日の平均患者数。
*年末は帰省現象等で複雑な感染状況が推測され、年明けのデータベースで反映されます。
*第31週は、赤字圏と黒字圏の県が混じり合い、覇権レースは活況です。
*5週は2週目との増減ですが、3,4週目資料が分かり次第訂正します。

 表1 C の赤色域は、図1の棒矢印「新な変異株覇権レース」の右側部分と時期的に対応し、その時点の変異株数の上位は表2の30週~が先行していることになります。第31週患者数は、大都市圏では増加率は下がったものの増加傾向は持続し、中小都市圏では患者数減少の黒色域県増加が目立ちます。表1、図1は、患者数が急激な上昇から横ばい状態となり、全体的には覇権レースの均衡状態が推測されます。
 表1では、北海道、長野県、山梨県での患者数増が目立っていますが、その背景については尚不詳です。

       図1:変異株エリスとその後の患者数経過

スケールは左右で等しくなります。左右で変異株順が逆転することに御注意ください。
*図1の左右グラフ右端の上昇部分が、表1の C 部分の赤色域を表します。
*変異株エリス収束後、棒矢印右の波形上昇部分が新たな覇権争いを示しています。

 覇権レースは、出入りが均衡状態にありながら尚続いていると思われます。表2の変異株上位5種構成を見ますと、30週~は、入れ替わりが激しく混沌とした現状を表しているようです。表1 C 領域で黒色域県が増えたのは、30週に続くその出入りの激しさ故と推測しています。年末年始を過ぎてから覇権レースの行方は絞られていくと思われます。

       表2:各期間の国内変異株数上位順の推移

*30週~に見る変異株数変動が、覇権レースの現状を物語っています。

  変異株の世界分布状況を見ますと(都健安研センター)、欧米圏では BA.2.86.1型は JN.1.型にとって代わり、中国では HK.3型 は HK.3.2 に変異株数首位の座を譲り欧州系の JN.1型が3位に侵入しています。
 日本では HK.3.2 が変異株5位に侵入し、首位のHK.3 と共に中国系が影響力を持続し、欧州系のピロラ型も2~3位に上昇して勢力を強めています。表2の 30週~ の変異株を見ますと、日本は中国系、欧州系、旧エリス系の3型が入り乱れつつ均衡状態を保っている感じです。
 世界的傾向を考慮しますと、 強力なHK.3型系は日本ではやがて後退し、変異株多頭体制から JN.1型 単独支配へ移行する気配が濃厚です。

 当シリーズとしては、表1、図1、表2の三者を連ねることでコロナ感染現況を見ることに努めています。
 短期的見通しとしては、年明けて表1の黒色域は減少して赤色域が増え、図1ではハリス波形に続いてピロラ波形が明らかとなり、表2では変異株首座にJN.1型を見る経過が予測されます。
 長期的には、エリスの単独変異株支配がピロラに続けば、不幸中の幸いと思えなくもありません。なにしろコロナ感染現況は、変異株溜まり水の渦中であり(都健安研センター)、変異株多頭支配はその具現的表型と思われ、変異株単独支配は、渦中脱却の前駆と思えなくもないからです。グラフ上の変化として、ピロラがエリスより患者数で劣ることを願ってますが、もしピロラが勝れば、変異株湧出を促す可能性があるワクチンへの、過剰信仰を見直す時期と思わざるを得ません。

                           2024/1/04
                        精神科 木暮龍雄        


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?