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ブルース名盤紹介18 THE GREAT BLUES VOCAL AND GUITAR OF~/T-BONE WALKER

Tボーンウォーカー。

CD屋に頻繁に出入りするようになった
ティーンエイジャーの頃から、
遭遇する率の高かったCD。

それだけに、
「また買えるからいいか」
と先送りされて、
はやウン十年。

マーケットの小さなジャンルの音楽では、
CD屋に行っても、
欲しいCDに出会えるとは限らず、
つい1番聴きたいものではなく、
1番珍しいものを買いがちです。

ここ数回のnote投稿では、
1アーティスト1名盤スタイルで
紹介する流れになってきたので、
今回新しい記事を書く為、という理由で
ついに購入に至りました。

このCDは1942年から47年までの
録音からピックアップされた1枚です。

そんなTボーンの生い立ちについて。

1910年5月28日、テキサス生まれ。
音楽一家だった事もあり、
Tボーンの継父は、同じくテキサス出身の
ブラインド・レモン・ジェファーソンと
親交があったそうです。

そんな彼ですが、
演奏スタイルに関しては
ロニー・ジョンソンの影響を受けた、
メロディアスな単音プレイが特徴です。

バンドを率いて、
ギターソロを弾くタイプの
ブルースギタリストとしては、
かなりジャズよりな印象です。

ギターの音色もジャズっぽい。
聴いていると、
チャーリー・クリスチャンや
ケニー・バレルを思い出します。

その耳あたりのジャズっぽさが、
ブルースにプリミティヴで、
野生味ある、荒々しさを求める
ロック愛好家たちに
「熱狂的には」愛されなかった
理由かもしれません。

しかし、都会的で、
実に洗練されたブルースを演奏した彼ですが、
ステージでのパフォーマンスにおいては、
ロックのミュージシャンに大きな影響を与えました。

ギターを上向きにして弾いたり、背中で弾いたり、
足を滑らせながら、股いっぱいまで開脚して弾いたり。

そのパフォーマンスは、何と
ロックンロール・ギターの神様、
チャック・ベリー、
そして、ロックギターの最最最高峰、
ジミ・ヘンドリックスへと、
受け継がれていきます。

もちろんブルースの世界では、
パフォーマンスではなく、
演奏スタイルにおいて
B.B.キングがTボーンのスタイルの
継承者となりました。

チャックベリー、ジミヘン、B.Bと来たら、
もうエレキギター界の神様ですからね。

↓の動画では、彼の演奏する様子がみられます。
(後ろにディジー・ガレスピーが!)

さて、アルバム収録曲、いきましょう。

”Got A Break Baby”
極上のスローブルースからスタート。
メジャーレーベル、
キャピトルなだけに、
かなり良い録音です。

代表曲の”Call It Stormy Monday But Tuesday Is Just As Bad”
長いタイトルですよね。
(全く余談ですが、タイトルの付け方に
Duke Ellingtonの”I Got It Bad And That Ain't Good”
を思い出しました。)

ここでは重厚なバンドサウンドに
Tボーンのボーカルとギターが
光ります。

"Don't Leave Me Baby"
バックの演奏のスゥイング具合は
まさにジャズブルースですが、
ギターの演奏は、ジャズギタリストとは違う。
ブルース・ギタリストのフレージング。

この感覚が他では聴けない
Tボーンだけの持ち味ですね。

ラストに収録された、ラテンっぽいアレンジのブルース。
”Plain Old Down Home Blues”

この変化球もまた、
チャックベリーやB.Bへの影響を感じます。

そういえばB.Bの”Live At The Regal”のラストも
同じような変化球的ラストでしたが、
このアルバムの影響でしょうか。

この締め方は、個人的には大好きです。
このあたりのポップ感覚、
さすが大都会L.A。
さすがキャピトル・レコード。
キャピトルとブルースの
異色の組み合わせの名盤。
他にはない、不思議な手触りがあります。

今日は以上です。

ありがとうございました。


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