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ブルース名盤紹介16 house of the BLUES/JOHN LEE HOOKER

出ました。
ジョンリーフッカー。

待ちに待った登場です。

基本的に
「なんだこれは!?」的作品が、
ブルースにおいては頻発します。

一聴して
そういった衝撃が大きければ
大きいほど良いというのが
ブルースの世界。

「なんだこれ!?」
というのは、
「なにこれ?大丈夫?合ってるの?」

みたいなニュアンスも含みます。

そういう点では
ハウリン・ウルフも
マディ・ウォーターズも
凄かった。

しかし、
ジョンリーフッカーのこの作品
”House Of The Blues”を聴くと、

マディやウルフと言えども
その音楽は正統的に感じることでしょう。

それぐらい、
ジョンリーフッカーはぶっ飛んでます。

彼のギターは
ジャッキ、ジャッキ
ガコッ、ガコッ
パシンパシン
とパーカッシブな叩き方、
もとい弾き方。
それでいて、耳に心地いいから不思議。

さらに特徴的なのが、
足踏みでリズムを刻みながら
床を叩く、靴の音です。

1曲目の
”Walkin' The Boogie”

何と、1人多重録音による作品で、
テープ速度を変えて録音したり、
得意技の足踏みを効果的に使っています。

テープ速度を変えた、
キョキョキョキョイン、キョイン
という音色の落ち着きのなさ。
まるで羽虫が飛ぶ音のような
せわしなさです。

そこへ、「ドドン」と多重録音された
太鼓か、ハンマーのような音。

そして刻まれる足音。

それらがフェイドインしてきて、
いよいよ歌が始まります。

すると、なんと歌も
二重に重ねて録音されているではないですか。
それがまたいい具合にズレていて、
不思議なサウンド。

まさに「なんだこれ!」の連続です。

しかし、明らかにあるイメージを持って、
それを表現しようと作られたのでは、
と考えるようになりました。

酒場での大騒ぎ、労働における日々の騒音など、
ジョンリーの潜在意識に刻まれた音。

意識的であるか、直感的であるかはさておき、
その音のイメージを、ギターと足と声だけで
コラージュしたようなこのアレンジ。

この取り組みは、
ジミ・ヘンドリックスの音楽にも、
つながっていくように感じます。
とても意欲的な作品です。

さて、このアルバム、
まさに全曲がハイライト。
「なんだこれ!」の連続です。

2曲目”Love Blues”
では、「ウ〜ベイビ〜」と歌う、
ぬぅ〜っとした雰囲気の、
深い低音ボーカル。


“Union Station Blues”
ドライに足元で刻まれるリズム。
力強いけど、耳に心地よいギター。

後半は、Eddie Kirklandという
ギタリストを加えてのデュオの曲が出てきます。

11曲目の
”High Prided Woman”
の奔放さはすごいです。

コードチェンジとか、
小節の変わり方とか、
ルール無視の無法地帯です。

セカンドギタリストも
よく止まらずに演奏しきったなあ、
と思いますね。
すごいです。

エンディングもすごい。
「そこで終わるんかい!」

と思わずつっこんでしまいます。

いやー、ジョンリー、
ぶっ飛んでます。
最高。
圧巻です。


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