東京オリンピック2020男子マラソンのランナー4人から学んだこと

今回は、東京オリンピック2020マラソンランナー4人から学んだことをまとめました。

・熱中症に陥った服部勇馬選手から学ぶ

服部勇馬選手は、気力でゴールして73位。ゴール後、車いすで運ばれていきました。原因は重度の熱中症。

マラソン入賞を目指した服部勇馬は熱中症で後退し73位『また五輪の舞台に帰ってきたい』
https://www.rikujyokyogi.co.jp/archives/42117

暑くなるのは分かっていたはず。

暑熱順化トレーニングや暑熱対策をしていなかったのでしょうか?

この事例から学んだこと。

1.慎重に暑熱順化トレーニングを行う。

以前、紹介した非侵襲型深部体温センサーCORE等が一般向けに手に入る時代。実業団ならもっと高度なもしくは精密なセンサーを用意したり、シミュレーションできる環境を用意できたはず。

できることをなぜしないのか? まったくもって不思議です。

COREチームから到着した情熱的なメールを紹介」https://note.com/peakexp/n/n062222bfbf8c

2.ランニングする前に暑さ指数を確認。走れる時間帯に春秋よりも短時間・低強度で走る。

ロング走を行う時は水分補給必須。

3.調子が悪いと思ったらすぐ帰宅し、体を冷やすといった暑熱対策を行う。なので、近所周回をお勧めします。

意識を失って道路で倒れたら取り返しがつきません。

「自分だけはそうならない」と思わず、「自分もそうならないように予防・対策をしよう」の精神で走りましょう。

・故障からケア不十分だった中村匠吾選手から学ぶ

中村匠吾選手は、故障からのケアが上手くいかなかったのでしょうか? それとも暑さにやられたのでしょうか? 62位でゴール。

五輪代表が内定してからは故障もあり、苦悩の日々が続いた。コロナ禍の中でうまく調整ができない部分もあったという
https://www.rikujyokyogi.co.jp/archives/42130

この事例から学んだこと。

1.故障しないトレーニングを計画・実行する。ほとんどがセルフコーチの市民ランナーにとって一番大事。

市民ランナーならまだしも、そもそも監督やコーチがいる実業団で、故障するというのは理解できません。

2.故障してしまったら、専門家の診断を仰いで適切な処置をする。十分休養する。必要ならメンタル面でも支援を仰ぐ。

3.大会が延期になってしまった時は、トレーニング計画を立て直し。また、有酸素能力の土台作りに励む。

・30kmまでトップ集団について6位入賞した大迫傑選手から学ぶ

『決戦前のランニングノート 大迫傑が考案したランニングノート付』(大迫傑、文芸春秋、2021/7/27)を事前に読了。

トレーニング目標はあるものの、その時々の調子によって自分にできる範囲でトレーニングしているという印象。

東京オリンピック2020。ウォーミングアップといわれる30kmまで、トップ集団についていけたのは上記の2人を含めて3人中、大迫傑選手だけでした。

エイド毎に氷を仕込んだアシックスのキャップを交換。暑熱対策もバッチリ。

私もこのキャップを欲しくなりました。

https://twitter.com/EKIDEN_News/status/1425056814312267778

その後も粘って落ちてくる2人の外国人選手を抜いて6位入賞。

素晴らしい結果です。

マラソン・大迫傑 現役ラストランで見せた『100点満点の頑張りができた』
https://www.rikujyokyogi.co.jp/archives/42126

この事例で学べること。

1.楽でもなく無茶でもなく、その時々で自分に適切な量と質でトレーニングする。

2.上記1を行うにあたって、試行錯誤しながらデータ収集と分析を行う

3.本番では背伸びせず、自分の勝ちパターンで走る。

・東京オリンピック2020で2冠達成したエリウド・キプチョゲ選手から学ぶ

エリウド・キプチョゲ選手が顔色一つ変えない好走で、五輪2冠達成。

しかも36歳。

フルマラソンは準備がすべてといわれます。

キプチョゲ選手は、15戦13勝。

きっと必勝パターンというか、再現性があるトレーニングを確立しているのでしょう。

服部勇馬選手や中村匠吾選手選手よりも格段に高い質のスタッフにも恵まれていると容易に想像できます。

五輪連覇のキプチョゲ 札幌のコースに不満なし『同じ状況でフェア それが競技』
https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2021/08/08/kiji/20210808s00057000280000c.html

この事例から学んだこと。

1.ケニアやエチオピアのランニングを学ぶ。

書籍や論文といった豊富な資料を収集して、徹底的にケニアやエチオピアのランナーがどんなランニングをしているのか、調べましょう。

2.1で抽出した結果を基にモデリングする。

これはキプチョゲ選手と同じペースで走ることを意味しません。

1を理解した上で、アスファルトやコンクリートといった舗装路でしか走れない場合、田中猛雄氏考案の疲労抜きジョグを中心にしたトレーニングを勧めます。

3.2でモデリングした結果と、故障しない安全なトレーニングを計画し、実施する。

トレーニング計画については、マフェトン理論、リディアードのランニング・トレーニング、80/20ランニング等も参考になるでしょう。

最終的には練習ごとの一時のがんばりを評価するのではなく、自分を知るということに尽きます。

そして、本番で再現性のある自分の勝ちパターンを得られればよいのではないでしょうか。

例えば故障なく、何度もサブスリーできるとか。

・まとめ

今回は東京オリンピック男子マラソンを走った4人のランナーから学べることをまとめました。

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