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春の山

<アルペンルート開通に合わせて>
立山黒部アルペンルートは、長野側は扇沢、富山側は富山地鉄立山駅を起点とする山岳観光ルート。今年は4月15日に開通した。冬の間ゲートが閉ざされている信濃大町から扇沢の県道がこの日の朝開くので、それに合わせてまず柏原新道登山口から爺ヶ岳南尾根を上がって爺ヶ岳、さらに鹿島槍ヶ岳へ昇る山行を実施した。

春の山は楽しい。ほんの半月前まで、厳冬期の山々は白い鎧を纏って容易には人を寄せ付けない。4月の声を聞くと、その白き峰々は少しだけ表情を和らげてくれる。

4月16日朝、7時半に登山口に集合した。今回のメンバーはおなじみのお客様ばかり女性3名。うち2名は、一昨年、昨年に同じルートで鹿島槍に挑戦して途中敗退しているので、リベンジ山行だ。天気は申し分なかった。雪の状態もまあまあで、順調に急登を上がっていく。標高1700m付近で夏道から春道である樹林帯の尾根に乗る。夏道は西斜面のトラバースが続くので、積雪期は通行できない。


今回は、リベンジ山行でもあったので、2泊3日で確実に鹿島槍ヶ岳を落とす作戦だった。が、初日に予定していたアルペンルート開通日の4月15日は雨予報。やむなく1泊2日での入山となった。冷池山荘の冬季小屋が閉鎖されているのでテント持参だ。


<爺ヶ岳南尾根>
標高1350mの柏原新道登山口から忠実に尾根をたどり、標高2650mの爺ヶ岳南峰へ。爺ヶ岳南尾根ルートは、雪崩の危険を避けるための積雪期のルート。標高差は1300mで、登山口から標高2320mのジャンクションピークまでは、南尾根の枝尾根の樹林帯とその脇の雪壁を登る。ジャンクションピークで深林限界を越え、爺ヶ岳南尾根に乗る。ジャンクションピークからは展望も開け、標高2400m付近から最後の急登になる。

どれくらい時間がかかるかは、その年の積雪状況によるが、南尾根に乗る前の樹林帯では雪の踏み抜きと木の根っこととの格闘になる場合が多い。ルートには赤テープのマーキングと、ところどころに扇沢の斜面に入り込まないように注意喚起の道標がある。踏み跡は明瞭で忠実に尾根に沿っているが、積雪が多い場合は、歩き易さを求めて扇沢側に少し降ったところにトレースがついている時もある。途中から樹林帯のクライマーズライト側に張り出した雪庇のような急な雪面を直登する。ジャンクションピークで南尾根に乗ると視界が開け、岩子屋沢から針ノ木岳、蓮華岳まで一望できる。

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