農業日本一、茨城県鉾田市の高校生との取組

茨城県鉾田市には二つの高校がある。一つ目は普通科を中心とする鉾田第一高等学校であり、野球好きの方なら分かると思うが元読売巨人軍のピッチャーの東野峻さんが卒業生にいる。鉾田第二高等学校は茨城県内では珍しい総合学科を設置しており、農業から商業まで幅広く学べる学校で、卒業生にはタレントの磯山さやかさんがいる。2018年度からは鉾田第二高等学校(以下、鉾田二高)との連携を開始し、高校生が地域の課題や可能性と向き合い、地域内外の方へPRする活動をしてきた。

鉾田二高はお世辞にも進学校とは言えず、偏差値を調べてみても44と正直低い。大学に進学する生徒も少数で、高校卒業後の進路を尋ねると専門学校か就職という答えがほとんど。とりあえず高校に行っとくか?という感じで通っている生徒がほとんどの高校だと思う。(完全に個人の感想です)

そんな鉾田二高の生徒たちと大学生の連携の取り組みは2018年から始まった。前回投稿したnoteでも書いたけど、僕は大学生と地域を繋ぐまち冒険という事業を展開しているので、そのフィールドとして鉾田市から依頼を受け、プログラムの中で地元高校と連携をしましょうという流れでスタートした。

今だから言えることだが、最初は正直不安しかなかった。というのも、高校生たちは授業の一環で取り組むプログラムなので絶対にだるいはず。地域を活性化しよう!とか言ってる大人は胡散臭いに決まってるし、地域に興味なんてないはず。将来を考えよう!とか言われてもうるせぇし。という感じというのが確信に近い感じで分かっていたので、超不安だった。

案の定、プログラムスタートの初日は超アウェイ。高校生たちの好奇に満ちた視線に晒されながら、小手先のテクニックは使わずに大人としてではなく、一人の人間として向き合いながら授業を重ねていった。すると、最初は僕の事を疑いの目で見ていた生徒の目付きが変わり始めていく。表面上のコミュニケーションをせずに、自分自身の可能性に目を逸らすなと伝え続けると想いは伝わるんだなと実感した。

事前研修という形で3回、高校生に授業を行った後に大学生が関わる取材フィールドワークを実施することになるのだが、僕は毎回大学生パワーに感謝することになる。高校生と年齢が近いことと、進学校ではないので大学生との接点がほとんどない生徒たちにとって、彼らは憧れの対象になる。フィールドワークの初日の自己紹介から取材中、まとめワーク、発表まで大学生が高校生と連携を取ってくれ最強のチームビルディングを行い、高校生の成長を加速させてくれる。もちろん、大学生にとっても成長に繋がる時間になるのだと思うが、たった数日を共にしたとは思えないほど関係性も良好になるし、人間として成長する。

さらに、地域で想いを持って活動する大人への取材を行うので、自分の将来のロールモデルに出会う高校生も多い。今まで接する事のなかった地域の大人たち。地元にはカッコいい人がいるはずなんて無いと勝手に思い込んでいた高校生たちは、身近に存在する一生懸命に生きる大人たちのようになることが目標に変わっていく瞬間が見れるのもプログラムの特徴である。

生徒たちから将来やりたいことがなかったけど見つかったという話や、大学に進学するつもりは無かったけど大学生のようになりたいから大学に行きたいという話を多く聞くようになるので、その度僕はジーンと目頭が熱くなる。

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