「つくね小隊、応答せよ、」(七)
夏の真夜中。
密林。
這って進む渡邉の耳には、誰かが小声で言い争って、そしてそれを誰かがなだめているような、そんな声が微かに聞こえている。離れた場所なので、何の話をしているのかはわからない。
やがて、声のすぐそばまで近づいてきた。清水や、仲村のいる場所からは、50メートルほど離れているだろうか。人影は見えないが、茂みの向こうで、最低でも三人が話をしている。ふたりが言い争い、そして小声でひとりが仲裁し、なだめているようだ。
外国の言葉のようにも聴こえるし、日本語のようにも