真夜中の一気飲み
「あぁ、泣いている、、起きろ、私、起きるんだぁ!」
毎晩、私が寝ている最中に起こされる、夜間の授乳。
自分を奮い立たせないと、起きられない。
やっとこさ起きて、膝の上に我が子を抱いて、授乳し始めても、私の目は閉じたまま。
早く終われと焦る気持ちを出すと、赤ちゃんが察知して、余計に長くなるという話を聞いたことがあるので、赤ちゃんが満腹になるまでひたすら目を閉じて待つ。
目を開けているよりも、閉じたほうがエネルギーを温存できる気がする。
片方の授乳が終わり、もう片方の授乳をする。
あぁ、あと少しで温かい布団に潜って、もう一度寝られるぞぉ〜と、ゴールが近づくので頑張れる。
よし、もう片方もお腹いっぱいのようだから、そっと外して、赤ちゃんを布団に下ろした。
いつもなら、赤ちゃんはこのまますーっと眠りに落ちていくのだが、なぜか、今日はキャッキャッと笑い声。
ま、ま、まさか。
全身の毛がよだつほどの恐怖がきた。
おぉ、寝返りして、ハイハイして動き出してしまった!
あぁ!これ、私は小一時間寝れないの確定!
ハイハイした赤ちゃんを捕まえ、また布団に寝かせ、最終兵器の添い乳をし始めた。
これだけでは、眠りに誘えないかもしれないので、トントンも追加する。
トントンというのは、優しく体を叩くのだが、これは5歳になる姪も未だに寝る前に、「トントンして〜」と要求する眠りに落ちやすくする必殺技なのだ。
片方の添い乳をしているが、まだ脚がぶんぶん動いてる。
全然眠くなさそう。
や、やべぇ。
トントンする手も力強くなってはいけないのに、寝ろ〜と怨念のように気持ちがこもる。
片方の添い乳が終了した時点でも、まだハイハイしてどこかに行こうとするくらい目が冴えているようだ。
こっちが泣きたくなる。
もう起き上がる元気もなく、最後の片方の授乳に望みをかける。
布団をかけて、温かくしたら寝やすいかなと、赤ちゃんを動かさないよう足を使って布団を引っ張ってくる。
そんなことしながら、添い乳をしていると、「ゴキュゴキュゴキュゴキュゴキュゴキュ」と大きな音を立てながら、一気飲みの我が子。
母乳を出してる側としては、さっきの授乳で飲んでるからそんなに出ないんじゃないかなと思いながらも、実際どんなけ出るかもわからない。
もう生気も、若さも、元気さも私の全てを吸い取っていくんじゃないかと思う勢い。
あなたの若さと引き換えに、私は老いていくの。
なーんて、私はやつれながらも、力強く生きる赤ちゃんのパワーに圧倒される。
ええ、そうです。
あなたが沢山飲むので、私の体重は過去最低になっている。
私もお腹が空くので食べる量が多い。
朝がきて、朝ごはんが待ち遠しい。
あなたの身体は私でできていると言っても過言ではない。
でも、この授乳という行為も何年も続かない。
そのうち卒乳がきて、このしんどかったことが懐かしい、少し寂しい気持ちになるのだろう。
成長は嬉しいが、どこか甘酸っぱい、切ない気持ちもある。
とにかく、1日1日を、遊んで、オムツを替えて、授乳して、寝かせて、また遊んでを繰り返し、大切に過ごそう。