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学術会議問題 おさまらない抗議と批判、声明は90以上=あきれ、驚きの声 海外でも

 日本学術会議が推薦した会員候補105人のうち6人を、首相に就いた菅氏が任命しなかった問題。その抗議と批判の声は、各界に大きく広がり続けている。朝日新聞は10月8日付で、同紙のまとめでは「8日までに90以上の学会や大学、市民団体などが抗議の声明を出している」と報じた。

【おすすめレポート】戦争への道はごめんだ!~「日本学術会議への人事介入」反対行動に700人(レイバーネット)

・日本学術会議への人事介入に抗議する #1006官邸前緊急行動

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政治が学術を支配しようとすれば学術は滅ぶ
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 板垣雄三・東大名誉教授(歴史学)は、6日付の朝日新聞で、「6人の問題では全くない」と指摘している。「政治が学術を支配しようとすれば学術は滅ぶ、というのが世界の常識。表立ってそんなことをしたら世界中から軽蔑される。独裁者の国のアカデミーでも、別の口実でやってきたものです」
 記事は、板垣氏の以下のような指摘を紹介している。大事なことばかりだ。
■どんな国でも「我が国の学術は独立している」と名誉にかけて言うのが普通です。内向きに平気でこういうことをやっていると、日本はどんどん落ち目になる。
■米国ではいまプリンストン大やコロンビア大の研究者らが「民主主義を擁護するために科学者は立ち上がるべきだ」と声をあげ、有力学者たちが署名しています。日本学術会議の問題は強い関心で眺められているでしょう。
■学術会議が首相の下(もと)にある機関と強調すれば、世界中がガリレオ・ガリレイいじめのローマ教皇や、昔々の王立アカデミーを連想するでしょう。公人の公人たる政治の最高指導者に国をおとしめる過ちを犯させてはなりません。

いまの自民党の常識は世界の非常識

  つまりいまの自民党の常識は世界の非常識ということが、ここでもまたバレてしまったということになる。小さく内向きに凝り固まった日本会議勢はそれでいいのかもしれないが、ネットワークを世界に広げている公明党の支持母体の創価学会は、この体たらくをどうとらえているのか。自民党がもはや変われないのであれば、自公連立の枠組みもゼロから見直すべき時ではないのか。
 前首相の安倍は世界の民族主義や排外思想の台頭に助けられた感もあるが、それでも実態は7、8周の周回遅れの時代錯誤にほかならなかった。私はそう思っている。広告代理店が駆使しそうな数々のイメージ操作で延命を図り続けたものの、成果の乏しさは覆せず、覆い隠せないまま終わった。数々の「事件」や「犯罪」の存在を思わせる煙を幾筋も立ち上らせたまま、結局はまともな首相交代もできなかった。
 その安倍が残した幾筋もの煙の処理も含めて、菅は首相を引き継いだわけだが、最初からビジョンもなにもない。「携帯」や「デジタル」といったところで、空疎に響いて通り過ぎてゆくだけだ。過去の総務省経験がベースとはいえ、首相としては軽率が過ぎるのではないか。 (JUNZO_KOWASHI)

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 報道されている通り、日本学術会議は10月2日付で下記の要望書を総理大臣宛、提出している。

第25期新規会員任命に関する要望書
                 令和2年10月2日

内閣総理大臣 菅 義偉 殿

               日本学術会議第181回総会

 第25期新規会員任命に関して、次の2点を要望する。
 1.2020年9月30日付で山極 壽一前会長がお願いしたとおり、推薦した会員候補者が任命されない理由を説明いただきたい。
 2.2020年8月31日付で推薦した会員候補者のうち、任命されていない方について、速やかに任命していただきたい

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*菅政権の日本学術会議に対する人事介入について、各地各界から反対声明が続々と出されています。ここでは下記の三つをご案内します。

■立憲デモクラシーの会、日本マスコミ文化情報労組会議、法政大学総長■

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■ 立憲デモクラシーの会 ■
https://bit.ly/34vfbbQ

菅義偉首相による日本学術会議会員の任命に関する声明
2020.10.6

 10月1日、菅義偉首相は、日本学術会議の新会員の候補者105名のうち、6名を除外して任命した。除外の理由は示されていない。2004年の法改正で日本学術会議が候補者を推薦する方式がとられて以来、同会議の推薦した候補者を首相が任命しないのは初めてのことである。

 日本学術会議法は、同会議は210名の会員で組織され、会員は、同会議が「優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し・・・内閣総理大臣に推薦する」ものとする(同法17条)。会員の任命権者は内閣総理大臣であるが、任命は日本学術会議の「推薦に基づいて」行われることとされている(同法7条2項)。

 一般に、「何々に基づいて」という文言は、行政機関の権限行使を強く拘束するものと理解されている。しかも、日本学術会議法は、同会議が「独立して」その職務を行うものとしており(同法3条)、同会議の政府からの独立性を尊重すべき旨を明確にしている。会議による会員候補者の推薦は、内閣総理大臣の任命権の行使をとりわけ強く拘束するものと理解することができる。

 今回の首相の行動は、現政権が学問の自由を掘りくずそうとしているのではないかとの強い懸念を与える。学問の自由は、一般国民の学問研究の自由を保障するだけでなく、大学の教員を中心とする高等研究教育機関の構成員の権利をとくに保障している。

 学問の自由は、研究の内容および手続につき、研究者間での相互批判と検証を可能とするべく研究の内容および手続について厳しく規律が課される点で、表現の自由や思想・良心の自由などの他の精神的自由権とは大きく異なる。研究の内容および手続に関する厳密な規律があってはじめて,社会全体の中長期的な利益に大きく貢献する研究業績を生み出すことができる。学問の自由の意味は、こうした規律があくまで、大学をはじめとする学術機関や各分野の研究者集団の自律に委ねられるべき点に存する。

 学問研究の成果が、しばしば社会の既成の価値観やその時々の政府の政策への批判やその変革をもたらすこと、そのために社会や政治部門の側からの敵対的反応を招きがちであることから、外部の政治的・経済的・社会的圧力に抗して各学問分野の自律性を保護すべき必要性もそれだけ大きい。日本国憲法が学問の自由を保障する条項を特別に設けているのもそのためであるし、また、日本学術会議法が、会員の人事について同会議の独立性・自律性を強く認めているのも、科学者集団の自律性が保障されてはじめて、同会議の目的である、わが国の「科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させる」ことが可能となるからである。

 今回の6名の候補者の除外について、加藤勝信官房長官は、政府が日本学術会議に対して、「会員の人事などを通じて、一定の監督権を行使することは法律上可能になっている。直ちに学問の自由の侵害にはつながらないと考えている」と述べ、さらに「専門領域での業績にとらわれない広い視野に立って・・・しっかりと精査していくのは当然のこと」と述べたと伝えられているが、これまで説明してきたように、こうした権限行使がそもそも「法律上可能になっている」とは言いがたいし、各専門領域での研究者による評価を政府が「広い視野」という名目に基づいて覆すことは、学問の自由の侵害そのものである。

 首相は今回の権限行使を直ちに撤回し、6名の候補者を会員に任命すべきである。過ちを改めるについて憚りがあるべきではない。

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■ 日本マスコミ文化情報労組会議(MIC) ■
https://bit.ly/2SwjFZY

政府による日本学術会議会員の任命除外に抗議し、撤回を求める
2020年10月3日

 菅義偉首相は2020年9月28日、政府から独立した立場で政策提言をする科学者の代表機関「日本学術会議」が推薦した新会員候補105人のうち、6人を除外し、任命しませんでした。日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)は、日本学術会議の独立性を尊重し、一部の新会員候補に対する任命除外について抗議するとともに、ただちに撤回するよう、政府に強く求めます。

 報道によると、「学者の国会」と呼ばれる同会議が推薦した候補者のうち、任命が除外された東京大学教授の宇野重規氏や加藤陽子氏らは、政治や憲法、行政学などの研究者で、政府は除外理由を明らかにしていません。除外された6人の中には、安全保障関連法や「共謀罪」法(組織的犯罪処罰法)の問題点を指摘し、批判してきた学者が複数名含まれていました。政府は官房長官会見(10月1日)で、「会員の人事を通じて、一定の監督権を行使することは法律上可能。直ちに学問の自由の侵害ということにはつながらない」と、見解を示しています。

 同会議は、第二次世界大戦での反省を踏まえ、科学が文化国家の基礎であるという確信の下、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として、1949年に政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立されました。内閣総理大臣の所管だが、政府からの独立性を保つため、会員選任については、日本学術会議法で「優れた研究または業績がある科学者のうちから会員候補者を選考し首相に推薦するものとする」と定められています。さらに、この推薦に基づいて首相による会員の任命が定められています。今回政府は会議の推薦内容の一部を無視し、政府には「監督権」があると主張しました。これは、重要な設立趣旨である同会議の独立性を政府自らが否定しているといえます。

 また、1983年、それまで選挙によって行われてきた日本学術会議会員の選出制度に代わって、学術団体による推薦制度が導入された際の国会で、政府は「推薦された者をそのまま任命する」と答弁しています。今回の政府の任命除外は、この国会答弁(公権解釈)と食い違うものです。その後、2018年に内閣府と内閣法制局の間で、法解釈について協議していたことが報道されており、政府は解釈の変更に関して説明責任があります。

 さらに、今回の任命除外は、憲法で保障されている「学問の自由」(第23条)を脅かし、「法の下の平等」(第14条)、「思想及び良心の自由」(第19条)、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」(第21条)の侵害にもつながりかねません。公権力による、政府と異なる意見を表明する一部の研究者に対する選別や排除は、研究者全体の発言や研究テーマの選択が萎縮を招いてしまうことを懸念し、研究者にとどまらず、社会全体を萎縮させかねません。結果としてそれぞれの立場を尊重せず、多様な意見を交えた活発な議論が失われていけば、民主主義の基盤が崩れてしまいます。

 研究者は、メディア労働者にとって、読者・視聴者に最新の科学的知見を伝え、市民社会に議論を提起、醸成させる大切なパートナーです。今回の事態に対し、日本学術会議は10月2日、任命しなかった理由を明らかにするとともに、除外された6人の任命を行うことを首相に求めました。私たちMICも首相が同会議の推薦通り、研究者の任命を行うことを強く求めます。

日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)
新聞労連、民放労連、出版労連、全印総連、映演労連、
映演共闘、広告労協、音楽ユニオン、電算労

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菅総理大臣の出身大学も総長メッセージを出しました

■ 法政大学 ■
【総長メッセージ】
https://www.hosei.ac.jp/info/article-20201005112305/

日本学術会議会員任命拒否に関して
2020年10月05日

 日本学術会議が新会員として推薦した105名の研究者のうち6名が、内閣総理大臣により任命されなかったことが明らかになりました。日本学術会議は10月2日に総会を開き、任命しなかった理由の開示と、6名を改めて任命するよう求める要望書を10月3日、内閣総理大臣に提出しました。

 日本学術会議は、戦時下における科学者の戦争協力への反省から、「科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与する」(日本学術会議法前文)ことを使命として設立されました。内閣総理大臣の所轄でありながら、「独立して」(日本学術会議法第3条)職務を行う機関であり、その独立性、自律性を日本政府および歴代の首相も認めてきました。現在、日本学術会議の会員は、ノーベル物理学賞受賞者である現会長はじめ、各分野における国内でもっともすぐれた研究者であり、学術の発展において大きな役割を果たしています。内閣総理大臣が研究の「質」によって任命判断をするのは不可能です。

 また、日本国憲法は、その研究内容にかかわりなく学問の自由を保障しています。学術研究は政府から自律していることによって多様な角度から真理を追究することが可能となり、その発展につながるからであり、それがひいては社会全体の利益につながるからです。したがってこの任命拒否は、憲法23条が保障する学問の自由に違反する行為であり、全国の大学および研究機関にとって、極めて大きな問題であるとともに、最終的には国民の利益をそこなうものです。しかも、学術会議法の改正時に、政府は「推薦制は形だけの推薦制であって、学会の方から推薦いただいたものは拒否しない」と国会で答弁しており、その時の説明を一方的に反故にするものです。さらに、この任命拒否については理由が示されておらず、行政に不可欠な説明責任を果たしておりません。

 本学は2018年5月16日、国会議員によって本学の研究者になされた、検証や根拠の提示のない非難、恫喝や圧力と受け取れる言動に対し、「データを集め、分析と検証を経て、積極的にその知見を表明し、世論の深化や社会の問題解決に寄与することは、研究者たるものの責任」であること、それに対し、「適切な反証なく圧力によって研究者のデータや言論をねじふせるようなことがあれば、断じてそれを許してはなりません」との声明を出しました。そして「互いの自由を認めあい、十全に貢献をなしうる闊達な言論・表現空間を、これからもつくり続けます」と、総長メッセージで約束いたしました。

 その約束を守るために、この問題を見過ごすことはできません。

 任命拒否された研究者は本学の教員ではありませんが、この問題を座視するならば、いずれは本学の教員の学問の自由も侵されることになります。また、研究者の研究内容がたとえ私の考えと異なり対立するものであっても、学問の自由を守るために、私は同じ声明を出します。今回の任命拒否の理由は明らかにされていませんが、もし研究内容によって学問の自由を保障しあるいは侵害する、といった公正を欠く行為があったのだとしたら、断じて許してはなりません。

 このメッセージに留まらず、大学人、学術関係者はもとより、幅広い国内外のネットワークと連携し、今回の出来事の問題性を問い続けていきます。

2020年10月5日

法政大学総長 田中優子

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< 行 動 要 請 >
10・19国会議員会館前行動( #1019議員会館前行動
日時:10月19日(月)18:30~19:15
場所:衆議院第2議員会館前を中心に
http://www.kyodo-center.jp/?cat=3
http://sogakari.com/?p=4850

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([PEACE_FLASH]2020/10/07 2644号より)
■[PEACE_FLASH]note版■


#学術会議問題 #人事介入 #政治の学術支配で国滅ぶ #学問の自由 #学術機関や各分野の研究者集団の自律 #政府が勝手に任命除外 #民主主義を擁護するために科学者は立ち上がるべきだ




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