ふと立ち寄った店先に、ペンギンのキーホルダーが並んでいた。 いいなあ、と思う。 この“いいなあ”は、“欲しい”という単純な購買意欲ではなく、 “憧れ”や“諦め”、“現実”みたいな感情がちょっとずつ混ざっていて、 とても面倒くさい話なのだが、ふと手を伸ばしてそれを自分で買うことにはなんの幸福もないのだ。 小さいときに読んだある漫画の中で、 裕福な家庭に生まれ少々世間知らずに育った可愛らしい女の子の主人公が、 ある青年と恋に落ち、水族館で安物のイルカのペンダントを買ってもらい