突撃となりのレジデントデイ #10岡山家庭医療センター(岡山県)

※本記事は2021年4月13日に配信されたメルマガの転記となります。

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文責:川口満理奈(岡山家庭医療センター 専攻医新3年目)

岡山家庭医療センターでは、クリニック及び病院の休診枠である木曜日の午後に勉強会を開催 しています。普段3つのクリニックと1つの病院に分かれて診療している指導医・専攻医が一堂に会 する機会であり、コロナ禍の前までは日常診療の情報共有、コミュニケーションの場ともなっていま した。会の内容によっては併設されているプライマリ・ケア認定薬剤師プログラムに属する薬剤師も 参加します。ポートフォリオ項目に関する指導医からのレクチャーをはじめとして、医療面接、ビデ オレビュー、OSCEなど実技面の勉強会や、ポートフォリオ発表会、家庭医療カンファレンスといっ た症例を深める勉強会など内容は多岐にわたります。指導医の振り返りや、当プログラム責任者で ある松下明先生の日常診療のビデオレビューなど、指導医が自身の診療や近況を報告する会もあ ります。下記に一部ピックアップして詳細を記載してみました。

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◎ポートフォリオデイ&ポートフォリオ発表会 ポートフォリオ発表会は、年に3回程度開催されるプログラム内でポートフォリオを持ち寄って検討 する会です。専攻医は毎回1-2例、とりあえず書き上げて提出するというのが習わしです。事前に ポートフォリオデイといってポートフォリオになりそうな症例を検討する日があり、担当指導医とともに ポートフォリオを作成。発表会当日は指導医・専攻医が混ざったグループで一つ一つのポートフォ リオを読み込み、より良いポートフォリオとするためのディスカッションを行います。時には厳しい意 見も飛び交うことがあり、毎回ポートフォリオを作るということも大変ではありますが、この発表会を通 して症例を振り返ることで、更に深めた診療を行うことができると感じています。

◎家庭医療カンファレンス 専攻医が研修中にもやもやとした症例を持ち込んで、ディスカッションを行う会です。もやもやとし た部分はプロフェッショナリズムに関することだったり、倫理的な内容だったり、コミュニケーションに ついてだったりと、明確な答えの出ないものがほとんどです。例えば最近では、「外来で根拠なくダ メ医者だと決めつけられ怒りを抱いた症例」や「専門医との連携の仕方に悩んだ症例」などを扱い ました。最大の特徴は提示した専攻医に対して「こう対応すればよかった」という答えを提示するカ ンファレンスではなく、参加者が今後同じような問題に直面した時に参考にできるようなtipsを持ち 帰るためのカンファレンスであるという点です。症例提示者の実際の対応や、参加者の意見を決し て否定しない・批判しないというのがグラウンド・ルールです。

◎ビデオレビュー 日常診療の一コマをビデオ撮影し、専攻医・指導医からフィードバックをもらうという勉強会で す。主なフィードバック対象は表情・態度・言葉遣いといったコミュニケーションの部分にあるはずで すが、もちろん、診察手技、診療内容まですべて見えてしまうため、最も緊張する勉強会の一つで はないでしょうか。因みに撮影の際には必ず患者さんから許可を得ますが、「先生方はそんなこと までされているのねぇ~」と好意的な反応をしてくださる患者さんがほとんどで、勉強する環境として 非常に恵まれていると感じます。

◎乳児健診・整形外科OSCE 文字通り、乳児健診や整形外科診察手技についてのOSCEが開催されます。OSCEとは言います が、一通り診察をやってみて、できていないところ、よくわからないところなどを皆で共有するのが目 的です。乳児健診ではぬいぐるみを赤ちゃんに見立て、親として迫真の演技を行う指導医の先生 方からの質問攻めがかなり堪えますが、とても楽しい会です。今年はコロナの影響を最も受けた勉 強会でしょうか。オンラインで共有できるように、指導医の先生方が診察手技ビデオを作成してくだ さり、とても分かりやすかったのですが、皆でにぎやかにワイワイとやるのが楽しい勉強会の一つで はないかと思っています。

◎専攻医振り返り 当プログラム勉強会の大部分を占めるのがこの専攻医振り返りです。2か月に一度、全専攻医が 思い思いに振り返りを行い、指導医や他の専攻医、院内スタッフなどに対して発表します。半年振 り返り、1年振り返りもあります。特徴は発表の様式指定が一切ないこと。年間目標に沿って達成度 を発表する専攻医もいれば、印象に残った患者さんを紹介する専攻医、紙芝居形式や、動画を 作った専攻医もいます。かつては自身の婚活状況を報告していた先生もいたとかいないとか・・・。 研修内容に留まらず、身の回りで起きていることを立ち止まって振り返り、まとめて発表する。省察 的実践家の第一歩です。

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上記とは別にCommon disease勉強会(日常診療のバイオ面の疑問を議論する会)や患者中心 の医療の方法(原著)輪読会、家族志向のプライマリ・ケア輪読会(監訳者の松下先生とともに)な ど課外活動的な勉強会も自由に開催されます。日常診療の振り返りの場として毎日診療後に行わ れる、指導医による全例カルテチェックも当プログラムの特徴でしょうか。

また、毎月1回、木曜勉強会の後にはレジデント会議といって、レジデントのみが参加し情報共 有や愚痴などを言い合う場があります。勉強会自体が有意義であったか、改善点があるかどうか、 専攻医から指導医に対してフィードバックを行うシステムも確立されています。2020年度はコロナ禍 でほとんどの勉強会がオンラインとなり、に直接ディスカッションをしたり、実技指導を受けたりする 機会が無くなってしまい、非常に寂しく感じましたが、そんな中でも指導医の先生方が創意工夫し て勉強会をセッティングしてくださいました。レジデント会議の意見を受けて、今年のオンライン勉 強会が更にブラッシュアップされることを楽しみにしています。

長くなりましたが、以上、当プログラムレジデントデイの紹介でした。興味を持たれた方がおられ ましたら、是非ご連絡ください。お待ちしています!! 岡山家庭医療センター(info@fpcokayama.com)
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文責:岡本雄太郎(専攻医部会 総務部門)
2022/05/11転記

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