家庭医療のコア #4教育

本記事は2020年4月28日に配信されたメルマガの転記となります。

☆今月のポートフォリオ☆
今月のテーマは「教育」です。
家庭医療専門医(Ver.2)では「教育」、総合診療専門医では「研究と教育」としてエント リーに設定されています。

ルーブリック(家庭医療専門医Ver.2)は「何らかの教育実践について、必要性、教育目 標、教育方略とその選択理由、【学習者評価、プログラム評価】が記述され、【複数 回繰り返す中で、継続的に改善】されている」となっています(【●●】が優とボーダー ラインの差異)。

つまり、教育実践(個別教育、集団教育)を、何らかの枠組みを用いて、ニーズ調査→目標 設定→方略設定→評価(学習者・プログラム)→次の実践という形式で行うことが大切で す。そのため、「ニーズから評価まで」の一貫性があるとポートフォリオとしても伝わりや すく、実践自体もブレにくくなります。

考察に有用な枠組みとしては、カリキュラム開発/Instructional Designには、ADDIEモデ ル、ARCSモデル、Kernの6step approachなどが有名どころです。学習者評価/プログラム評価としては、大枠としてはBloom’s taxonomy、Millerのピラミッド、Kirkpatrickの4段階など が利用できるでしょう。また、学習の目標、法略、評価を一貫性あるものとするためには、 目標がBloom's taxonomyでいう「知識/認知」「情意/態度」「精神運動/技術」のどの領域に あるかを明確にし、認知であれば外来でのSNAPPSやfive-step microskillsを用いたプリセプ ティング、態度であればroll-modelingやビデオレビュー、技術であればシミュレーション教 育やビデオレビューといったように適切な教育方略と評価方法を用いることが重要です。さ らに、これらの学習について、成人学習のポイントを踏まえて考察されていることも、教育 ポートフォリオでは重要です。

参考図書
・日本プライマリ・ケア連合学会基本研修ハンドブック
 →大西先生の「ポートフォリオに関連した教育理論」がまとまっています
・新・総合診療医学 診療所総合診療医学編
 →藤沼先生らの「家庭医と医学教育」は診療所における教育のイメージが湧きます。
・家庭医療のエッセンス
 →診療所での外来教育について、とてもわかりやすく書いてあります。
・「学び」の教科書 中原淳
 →成人学習について面白く学べる本です。大人の学習の有名な実践者の方です。

//////////////////////////////////////////////////////////////////////////
文責:岡本雄太郎(専攻医部会 総務部門)
2022/05/11転記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?