家庭医療のコア #3家族志向型ケア

※本記事は2020年3月24日に配信されたメルマガの転記となります。

☆今月のポートフォリオ☆
今日のテーマは「家族志向型ケア」についてです。

PC 学会のルーブリックでの家族志向型ケアの項目をみると、「家族も巻き込んだ形で複雑か つ困難な事例において、患者や家族の情報収集をし、分析につなげている。家族や関係者 の間で意見調節がなされ、全員がある程度満足できる結果となっている」と書かれています。 しかしながら、具体的な実践方法をイメージしにくいという方は多いのではないでしょうか。

そんなときは、「複雑かつ困難な症例」に対して、家族図を書いてみることから始めてみては いかがでしょうか。家族図を書くことは家族について情報収集する際に非常に重要です。家 族図には構造だけでなく、年齢や役割、関係性や健康状態なども描き込んでいきます。家族 図を作る過程で、家族それぞれの役割や強みなどを把握することにつながり、問題解決の糸口になるかもしれません。

いきなり家族図と描くのに抵抗がある場合は、家族情報を聞きながら、患者さんと一緒に描い ていくのもおすすめです。家族図という共同作業をすることで、医師ー患者関係づくりにも役 立ちます。いざポートフォリオを作成しようとおもったとき、家族図を書くための情報が足りな い、なんてことにならないように、毎回の外来で少しずつ情報を集めておくのも良いかもしれ ません。 入院症例でも、家族面談を通じた介入で問題解決に繋げた症例なども、ポートフォリオにはよ い題材です。例えば、脳卒中の中年患者でケア問題をどうするか、糖尿病の管理不十分で入 院になった患者、癌終末期、小児の喘息患者などなど、身近な症例にポートフォリオの種は 潜んでいるかもしれません。

2020 年 1 月の南山堂「治療」では、家族志向型ケアについて特集が組まれています。入門 書としても、知識を深めるためにもとても勉強になると思います。是非ご一読ください!(利益 相反はありません!)。

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文責:岡本雄太郎(専攻医部会 総務部門)
2022/05/11転記

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