先史時代3 四大河文明

今回は、四大河文明の概要を、解説したいと思います。

今回学習する暗記語句は、

四大河文明

青銅器

鉄器

メソポタミア文明

エジプト文明

インダス文明

中国文明

です。

さて、本動画は中学歴史教科書に登場する語句を覚えることを前提としているため、四大河文明を取り扱いますが、大いに議論がある言葉であることを覚えておくといいと思います。

そもそも、四大河文明、世界四大文明、という考え方は、世界的な基準では存在していません。

なんなら、その上位概念である「文明」という定義すら議論があるため、「何を持って四大河文明と言っているのか?」という問いに答えられる人はいないでしょう。

そもそも、英語には「四大河文明」に相当する言葉はありません。

これを教えているのは「日本の歴史教科書」くらいで、海外の人は全く知らない概念です。

四大河文明が発展していた頃、世界にはもっと沢山の独自発展をした文明が存在していたことは分かっています。近年の研究では、日本の縄文時代も、これら四大文明に劣らない独自の文化を持っていたことが分かっています。

しかし、「だから四大河文明なんて無駄だ。」と言うつもりはありません。

四大河文明を学習することで、人類の歩みと各地の文化の違いを知ることは、知的な好奇心をくすぐる、大変良い勉強だと私は思います。


四大河文明とは、

チグリス・ユーフラテス川流域に発達したメソポタミア文明

ナイル川流域~河口付近に発達したエジプト文明

インダス川周辺のインダス文明

黄河、長江周辺の中国文明

です。

中国文明は、以前、黄河文明と呼ばれていましたが、後に長江周辺でより古い独自文化の遺跡が発見されました。現在はこれらをまとめて「中国文明」と呼ぶようになりました。

ちなみに国際的な標準として、「文明のゆりかご」という言葉があります。

これには、上記の四大河文明の他に、南米大陸のアンデス文明、北米大陸のマヤ文明、アステカ文明などをまとめた、メソアメリカ文明を含んでいます。


これら、大文明の共通点と言える大きなポイントは、

人口の増加と都市化、農耕による安定した食料生産、文字の発達

と言えます。


人類が今の私達と同じように、「なんとなく」で動くのではなく「論理的に行動」したと考えるなら、古代文明で起こったことも、比較的楽に理解できるのではないかと思います。


先史時代の人類は、主に硬い木の実を食べていました。運良く大型のケモノを捕らえた場合、当然一度に全部は食べきれないため、乾燥させ、乾燥肉として保存しました。普段は硬い乾燥肉を食べることがほとんどだったでしょう。

動物が、硬い食品からエネルギーを取り出すには、長い時間休憩する必要がありました。消化に費やす時間がとても長かったのです。当時の人類は今の人類よりも長い腸をもっていたことが分かっています。

火を利用する以前の人類は、起床している時間のほとんどを「食べ物を探すこと」、「消化すること」に費やさざるを得ませんでした。

動物園の動物達は、ほとんどの時間をダラダラ過ごしていますが、これも同じ理由です。


しかし、火の利用によって人類は大幅な生活改善をしました。

火で煮炊きすることによって食べ物は柔らかくなります。柔らかいものを食べることで、消化に費やす時間が大幅に削減されました。

木の実や穀物の生育を観察することで、生態を知ったのでしょう。実を成らせる木を栽培したり、一年草の穀物を栽培したりする、「農耕」が発達します。

食べ物の心配、消化のための時間などが無くなることで、人類は大きな時間的余裕を手に入れたのです。

人類の腸の長さも短く変化しています。


「ヒマな時間が出来たから、文明つくりました」とも言えるでしょうね。

我々人類の祖先は、集団にまとまることで外敵への対応力が高まることを知っていました。

この頃の外敵とは、野生動物だけでなく、他の集団の人類自身も含んでいます。

安全性、利便性の面からも小さな集落は大型化、都市化していきます。エジプトの最大都市メンフィスには、紀元前3千年ころ、3万人もの人が住んでいたと推定されます。

集団になることによって、外敵、戦争への備えは強くなったことでしょう。

しかし、多人数になると、それを支える食料と、蓄えはとても重要になります。農業の効率化、分業化が必要になります。

効率的な穀物生産には、大きな川が必要だったはずです。水を畑に供給するための灌漑施設が作られ、畑を耕すためには、鉄器が便利だったでしょう。製造するだけでなく、農具をメンテナンスする鍛冶屋もいたかもしれません。

農耕の効率を上げ、安定生産をするために重要な要素には暦、つまりカレンダーの概念も必要です。暦を正確に把握するためには、天文観察が必要だと当時の人が知っていたことを考えると、「古代人」などと馬鹿にする事はできませんね。

そして暦を多くの人に伝えるためには、文字の概念、数字の概念が必要になります。

生活に必要なエネルギーを得るために、あるいは加工しやすい木材を得るために、都市の近くには森などもあったに違いありません。大河沿いに発展しているので、木材などは、川の流れを利用したかもしれませんね。

また、多人数をまとめる、精神的な支柱を得るため宗教が必要だったのかもしれません。

自分たちの街を守るために軍のようなものが組織されれば、国家のような概念が作られていったことが想像されます。


「風が吹けば桶屋が儲かる。」じゃないですけど、こういった連想ゲームもなかなか楽しいものです。

次回は、それぞれ独自に発展した四大河文明の、特徴や違いについて詳細に学習していこうと思います。

この動画での学習はこれで終わりです。

今回覚えた語句は、

四大河文明

メソポタミア文明

エジプト文明

インダス文明

中国文明

でした。しっかり覚えられましたか?

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