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期せずして「コンチキ号」と化したヨットで漂う4人のむくつけき男たち。

ノルウェーの人類学者ハイエルダールが1947年4月にバルサで組んだいかだでペルーを出発した。いかだと言っても全長14m全幅5.5mの堂々とした大きさだし、小屋や帆を備えた立派なものだ。これでもって人類がどうやって太平洋の島々に展開していったのかを実証したかったのだ。現在ではポリネシア人はアジアのあたりから航海してきたと言う説が主流のようだが、「コンチキ号漂流記」は楽しい冒険譚でしかも実際にあったノンフィクションとして小学生の私を夢中せしめた。
昨日観た「アバンダンド 太平洋ディザスター119日」の話をしよう。アバンダンド=Abandonedで「見捨てられた」ということらしく、オリジナルタイトルはそのままなのだが、邦題は「太平洋ディザスター119日」と言う余計なサブタイトルを与えてネタバレまでしている。アマゾンプライムでこの絵とタイトルを見たら多くの人はしょぼいCGを多用したB級映画だと思うだろう。しかしながらこれは実話を基にしたとてもきちんとした作品で、4人のむくつけき男たちが罵り合い、絶望し、歌うのである。心ならずもコンティキ号になってしまうお話なのである。しかもコンティキ号の漂流102日を二週間も上回っているなんて。4人の中にはいつも冷静だけどいわゆる「正常バイアス」な人、何でも他人のせいにする人、すぐに絶望する人、それらをなだめるけど特に意見を言わない人がおり、これまた目下の状況を煮詰めたようである。


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