あのミットに向かって2nd 7話(67話)
両チーム譲らず0ー0のまま6回に入っていた
拓:今日の大谷は調子がいい。
これなら大丈夫だ
あとは、俺たちが点を取るのみ
抑えて次の回、うちは2番からという好打順
そこで絶対大谷を援護したい
〇〇:今日は出番ないかな
二宮:そうだね。今日の健吾君は打たれないよ
〇〇:健吾よりも心配なのは他の1年達だ
二宮:何で?
〇〇:気づかないのかよ。それは試合を見てなさすぎる。キャッチャーならより観ておかないと
二宮:ごめん
〇〇:特に真ちゃんと春いっち、あの2人は…
二宮:そんなに
〇〇:あの2人が打たないと御幸先輩がいい状態で打席に立てない
二宮:そうだね。
〇〇:でも、俺が言うことじゃないから
だって俺打てないし。
2人が自分で解決しないと一生抜け出せない
二宮:敵は己の中にあり…
〇〇:?
それって誰が言ったの?
二宮:これは誰が言ったかわかんないんだけど親からよく言われてた。
〇〇:それってどう言う意味かわかる?
二宮:
「自分の中にこそうまくいかない原因がある」
人って、つい誰かのせいにしがちだけどよく考えてみると誰かではなく自分である場合が多くて、見つめ直すことの重要性を言ってると思うよ
〇〇:それ、いい言葉だな
(俺も、正直なところ甲子園から成長したと思えない。口では達者にものを言うけど、心は嘘をつけない。マウンドが怖いと思っている。己を超えるか…)
二のっち!ありがとう
二宮:あ、うん
大:ふー
あの決勝はこんなものじゃなかった
"足りない…"
何もかも
俺はまだ上に行ける
ドン
ジュッ
ゴゥ
ビューーン
ズドン!!
観客:空振り三振!
これで三振何個目だよ
8個だよ
成:へぇ〜
吉川:やっぱり大谷すげぇな
神城マ:俺たちもあれを打たないとね
成:でも、いくらピッチャーが良くてもバッターが打たないと意味ないんだよね
(拓也、こんなんじゃ俺たちには勝てないよ)
菊地:厳しいね
成:ここで打てないならそこまでなんだよ
神城ナ:(最近まで死んでたくせに…)
成:何だよ
神城ナ:何も😕
ウ:6回の裏、雷道高校の攻撃は、
2番、センター、高津君
高津:ここまでの2打席完全に抑えられている
太陽:今日は今までで一番調子がいい
まだいけるな
ジュッ
ギューーーン
高津:ん!
カキーン
ファール
まだ固い…
俺は中学生のころ、4番で活躍していた…
カキーン!
観客:また打った
あの子よく打つよね
将来が楽しみだ
高津:俺は周りから期待される選手だった
それは自分でもよくわかっていた
しかしある日を境に自分に変化が起きる
お前、俺と勝負しろよ
俺にそう言ってきたのは
今、敵対している日向太陽だ
太陽:1打席勝負して勝ったほうがこのチームの主軸。2度と前に出るなよ
高津:俺にそれを受ける価値が全くない。
嫌だね。
太陽:また逃げるんだ…
高津:!?
また?
俺がいつ逃げた!!
太陽:この前の地区大会の決勝、最後の打席相手の投手にびびってたでしょ!
高津:!?
太陽:ほらね、結局あの時はフォアボールになって結果それが決勝点となったけどあれは審判のミス
あれは見逃し三振だよ
手が出なかったんでしょ?
向こうのピッチャーに気圧されたんでしょ
それがウチの4番とは…
全国では勝てないね
高津:💢
ふざけんじゃねぇよ!
ガシッ
太陽:あの時のようにまた逃げんの?
高津:!?
勝負してやるよ
今思うと、あの時点で俺はもう負けていたんだと思う
"野球全てにおいて"
結果は言わずもがな俺の負け
それからは太陽がこのチームの主となった
俺は野球が怖くなった…
でも、雷道に加入して数日後の紅白戦
相手は上級生
その中で俺はまた逃げてしまった
それに比べて〇〇、健吾、春一は野球を楽しんでいるように感じた
結果、あの3人は地区予選でも甲子園でも輝いていた
それを応援席で観て、同級生ながら憧れてしまった
"俺もアイツらとあそこへ"
それから逃げないように自分を見つめ直し野球に取り組んだ。
そして、今!
それを変える時がきた
これは俺の心の中との闘いだ
相手が太陽だからじゃない
自分がいちばんの敵だ
"己に勝て"
〇〇:真一郎!!!!
高津:!?
〇〇:👊(自分に打ち勝ってこいよ)
高津:ふふっ
ふー
集中…
〇〇ありがとな
太陽:目つきが変わった
これでこそお前だよ
楽しくなってきた
高津:さぁ勝負だ
太陽:厳しく…
尚弥:このバッターインコースに弱い
真っ直ぐで
太陽:コク
ジュッ
ビューーン
カン!
ファール
監:いい状態だ…
高津:太陽は俺が苦手なところを知ってる
今でも、苦手だ
太陽なら必ずそこに投げるはず
太陽:実はコイツの苦手はインコースじゃない
ビューーン
スパン
審:ボール!
シュッ
ギューーーン
高津:!?
バシッ
審:ボール
観客:よく見たな
太陽:今のは振ってくると思った
シュッ
ギューーーン
スカッ
バシッ
審:ストライク!
2and2
高津:同じコースに同じ球とは負けず嫌いだな
ふーーーぅ
高津:次絶対来る…
高津・太陽:アウトコースの"真っ直ぐ"
これでアウトだ
シュッ
シュルルルルルー
高津:俺が苦手をそのままにするわけないだろ
ニヤッ
太陽:!?
ドン(脚を踏み込む)
バットのヘッドの位置はそのままに
引きつけてから逆らわず上から叩く!
イメージはショートの頭
カキーン
松田:届くか…
くっ!
観客:越えた〜
高津:しゃらぁああああああ!
〇〇:ナイスバッチ真ちゃん!
高津:👊
監:俺は1・2番で点を取れるような攻撃的な2番を求めていた。
高津は足も速いし、バッティングもいい。そこで高津がなってくれたら打線に厚みが生まれる
ようやく自分らしいパッティングができたな
ウ:3番、セカンド、町田君
春:今の凄いな…
監:町田!
春:はい!
監:俺は3番にお前を置いた理由は御幸の前で点を取れる打線をつくりたかった
俺は兄の智博のようになれとは思わない
潜在能力は兄より優れていると俺は思う
春一にしか出来ない春一だけの打撃像を作ってみろ
春:僕にしか出来ない僕唯一のもの…
監:俺は春一にバントの指示は出さないと言ったのを覚えているか?
智博には今の状況バントの指示を出す
春:!?
監:まだ本気のお前を見ていない。
俺に見せてくれないか?
春:………
わかりました
監:俺の期待に応えてみろ
甲子園に借りがあるんだろ?
春:!?
監:なら、こんなところでつまずいていいのか?
春:行ってきます…
スタ…スタ…
春:お願いします
尚弥:何だこの雰囲気
春:ふー
(僕の僕だけのもの…)
太陽:シュッ
スパーン
審:ボール
尚弥:今の見逃しは嫌だな
太陽:何だよ。何があった?
シュッ
ギューーーン
バシッ
審:ボール
春:………
尚弥:びくともしない
太陽:インコースでのけ反れ!
ビューーー
スパーン
審:ボール
尚弥:スレスレでも見向きもしない
この後は、4番
1・2塁で回すのと1塁で回すのでは雲泥の差がある
"何を狙ってる?"
〇〇:あの春一怖いな
大:あれは僕達の知ってる春一じゃない
春:甲子園での三振。今まで野球をしてきた中で一番悔しかった
僕は振るであろうボール球を平然と見逃す、捕手から嫌われるバッターになりたい
投手よりも捕手に考えさせる
少しでも思考にズレが生じればそれは投手にも伝わる
〇〇:あの構え…
拓:春一…
太陽:ゾクッ
審:ボールフォア
観客:あぁ勿体無い
拓:今のは完全に春一の空気に呑まれたな
と言うか、春一オーラありすぎだろ
下手したら俺よりあるな
監:あれは予想以上だ
麻:本当ですね
あの構えを解禁したのにはびっくりしました
中学でも一度だけあの構えをしたとは智博君から聞いてはいましたが…
監:それがアイツの覚悟ということだ
麻:これからが楽しみですね
監:あぁ
春:御幸先輩頼みます…
ウ:4番、キャッチャー、御幸君
拓:これは凄いプレッシャーだな
尚弥:ここをゲッツー取れたら最高
ここだぞ、太陽
太陽:やってくれるよ
このヒリヒリ感を求めていた
拓:1打席目は打ち損じ。
2打席目は詰まりながらライト前
イメージは出来てる
まだスクリューもないから
でも、成宮のチェンジアップを見てるから想定内だと思う
尚弥:どこでスクリューを投げるか…
観客:ここで勝敗が決まるかもな
太陽:ンァ!
ビュン
ズバン
審:ットライク!
尚弥:ナイスボール!シュッ
太陽:バシッ
拓:ギアを上げてきたか‥
拓:必ず帰す
成:拓也が打てばこの試合は雷道の勝ち
打てなかったら負け
拓:甲子園後から俺はキャプテンになり
そして4番。
とても自分には務まると思っていない
でも…
結:最近見てて思うよ
お前を主将に推薦して良かったって
拓:他にもいた筈ですよ
世那とか疾風だって
結:いや、このチームはお前が引っ張れ
拓:哲さんみたいに務まるとは思いません
結:俺も最初はそうだったな
ただただ毎日必死だった。バット振ることしかなかったからな。
それに監督に謝りに行ったくらいだからな
拓:えっ?
(監:お前には多くを求めない。お前はプレーで全員を引っ張れ、それだけでいい。そうすれば周りは自然とお前についてくる)
拓:!?
結:御幸はピッチャーをまとめて尚且つ主軸で4番。周りからのプレッシャー、求められるものは俺の比なんかじゃないだろう。
それでも今のキャプテンはお前だ御幸。
いざとなれば周りがお前を必ず支えてくれる
あと俺もな
お前の好きなようにやればいい
お前の
"チーム"
だ
拓:哲さんに言われ心が楽になった気がした
現に今、後輩が試合を作っている
先輩はそれに負けないよう頑張るしかない
後輩に託された想いを全て背負って…
背中で魅せるしかない
これが今のキャプテンだと…
カキーン!!
〇〇:うわ…
観客:は…入った〜〜〜
うぁああああああああああ
雷道ナ:らぁああーー
佑美:よし!
遥香:キャプテンが打ちましたよ
さくら:最高だね
美月:ようやく…
監督は小さく拳を握りしめた
麻:これからだわ御幸君
拓:打てて良かった
春:ナイスバッチです。御幸先輩
高津:流石っすね!
〇〇:これがウチの主将です。
太陽:初見のスクリューを完璧に…
尚弥:これが甲子園準優勝するチームなんだよ
太陽。壁は高いな
太陽:逆にスッキリしました。
まだまだということも分かりましたし、試合はまだ終わってませんから
尚弥:俺たちが追いついてやるからな
その後は抑えたが、7回にもう一点取られ、4ー0
帝西は8回に1点は取り返したものの今日の大谷からはそれが限界だった。それ程に内容が良かった。
大谷は最後まで投げ抜き、
9回、108球、3安打、3四球、12三振、1失点
という内容だった
ゲームセット!
ウ〜〜
審:雷道高校 vs 帝西高校
4ー1
で雷道高校の勝ち!
礼!
ありがとうございました!
観客:パチパチ👏
成:楽しくなりそうじゃん
さぁみんな帰ろ〜〜
今日勝ったそれぞれのチームが明日の試合に向けて帰る
果たして明日の試合はどうなるのか
神城との再戦はできるのか
To be continued…
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