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あのミットに向かって 50話

生田:クラスのみんな〜バスに戻りますよ

全員:はーい

生田:バスに乗る前にトイレに行く人は行っといてね!先生は外で待ってるからね

全員:はーい

スタスタスタ……

西:〇〇早くしろ!次の試合のチームが来るぞ!

〇〇:すみません

正宗:森田〇〇!

〇〇:また貴方ですか?
何か用ですか?
早くしないと怒られるんですよ

正宗:決勝進出おめでとう

〇〇:ありがとうございます

正宗:やっぱりお前に目をつけて良かったよ
決勝で投げ合えることを楽しみにしてるよ

〇〇:まず準決勝ですよね?
そんなに先を見据えてていいんですか?
足掬われますよ

正宗:いや、俺は負けないから

〇〇:💢

正宗:次の試合観てればわかるよ
この意味が…

〇〇:わかりました
先輩ですけどこれだけは言わせて貰いますね
絶対なんて事はこの世には無いんですから
後輩である俺が教えてやりますよ
それでは…ペコ
スタスタスタスタ…

正宗:「教えてやる」か…
楽しくなってきた

西:遅い!

〇〇:ちょっとありまして

拓:何かあったのか?

〇〇:いや、何も

拓:ふ〜ん(絶対何かあったな)

〇〇:すみません!
トイレ行ってきてもいいですか?

結:わかった
俺たちは一塁側スタンドにいるからな

〇〇:わかりました
終わったらそこに行きます!

ダダダダ〜

大:〇〇、次の試合の藤巻高校の人と話してたよね?

春:そうだね
何話してたんだろう?

拓:その話聞かせてくれないか?

春:先程、〇〇が藤巻高校の人と何か話してて
背番号見たら1でした。

拓:(藤巻の背番号1と言ったら全国で1番有名で去年の優勝投手、一条正宗)
それで内容は?

春:すみません、そこまでは…
でも、〇〇君少し怒ってたような気がします

拓:これは何か言われたな
後で聞いてみるか


〇〇:トイレ♪トイレ♪トイレット♪〜

〇〇:ん?飛鳥っち!

飛鳥:おう!〇ちゃん!

由伸:君が〇〇君か!

〇〇:すみません!どちら様で…

由伸:自己紹介がまだだったね
私は飛鳥の父の山本由伸だよ

〇〇:あ!これは失礼なことをしました!
ごめんなさい🙇‍♂️

由伸:いやいいよ
さっきの2人の投げ合いを〇〇君のお父さんと見せてもらったよ

〇〇:!?

由伸:熱い試合だったな

〇〇:ありがとうございます
というか、俺のお父さんと面識あるんですか?

由伸:いつもお世話になってるよ

〇〇:えっ!?

由伸:私も君たちと同じ投手をしてるからね、〇〇君のお父さんにはアメリカに居た時、トレーナーとして帯同して頂いたんだ

〇〇:だからアメリカ行ったんだ
そういえば、お父さんの仕事内容初めて聞いたかも

飛鳥:本当に?

〇〇:あまり興味ないからね
トレーナーしてるっていうくらいしか

飛鳥:やっぱり〇ちゃん凄いね

もうちょっと興味持ってくれたら嬉しいんだけどなぁ…

〇〇:?
あ、お父さんか…

◯父:何だよ、嫌だったか?

〇〇:別に

◯父:飛鳥君これからも〇〇をよろしくね

飛鳥:こちらこそよろしくお願いします

由伸:明日、決勝頑張れよ

〇〇:絶対勝ちます!

由伸:そしたら〇〇君、またどこかで逢おう!
その時はキャッチボールでもしようか?

〇〇:ありがとうございます

由伸:ではまた!◯父さんも
飛鳥行くぞ

飛鳥:はいよ!

◯父:また連絡します

〇〇:お父さん、あの人凄いの?

◯父:あの人はプロ野球のオリックスというチームにいて投手部門で6冠に輝いた人だよ
今は、メジャーで活躍してる野球してる人なら目指す人だよ

〇〇:へぇ〜凄い人なんだ
あ!トイレ!

◯父:本当に〇〇って奴は…

あの言葉は言わないでおくか…
(由伸:〇〇君はこれからの日本を支える投手になりますね!楽しみです)

〇〇:ふ〜終わった〜気持ちよかった!

◯父:お父さんも行くからな!お母さん待たせてるし、長く待たせると怒られるから

〇〇:そうだね!お母さんは待つの嫌いだから

◯父:今日のピッチングは観てて楽しかったぞ!
明日も楽しみにしてるからな

〇〇:おう!優勝するよ

◯父:ふふっ スタスタスタスタ〜

〇〇:さぁ俺もスタンドに行くとするか

あの〜もしかして〇〇選手ですか?

〇〇:???
(この声の掛け方はもしかしてサインパターン!?)
どうかしましたか…ニコッ


って史緒里じゃねーか!

史:何よ!悪かったわね
サイン求められると思ったでしょ!

〇〇:いや、全然思ってねぇ〜し

史:素直じゃないんだから

〇〇:本当に思ってないから!

史:はいはい、わかりました。

〇〇:(何で負けてんだ)
で、試合どうだったよ?

史:!?
本人の前で言わせる?

〇〇:中々聞けないから

史:貴方がLINEを返さないからでしょ!
この前の試合もテレビで見たからLINEで送ったわよ!

〇〇:ギクッ!?
お…う…そうだったね…

史:もしかしてLINE見てないって事はないよね?

〇〇:そんな事ないじゃないじゃないですか〜

史:どっちよ!今ので見てないことがわかったわ!

〇〇:いや、これはその〜

史:何?

〇〇:すみませんでした!🙇

史:まぁいいわ、でも、あまりにも返さなかったらどうなるかわかってるよね?
次はないから

〇〇:ゾクゾクゾク
わかりました。

史:カッコよかったよ!

〇〇:!?

史:今までの中で一番良かったと思うよニコッ

〇〇:6回の表の時、史緒里が来てくれなかったら打たれてたと思うよ
ありがとう

史:急になに?

〇〇:感謝を伝えとこうと思ったから

史:あ、そういう事ね

〇〇:何で顔真っ赤にしてんの?

史:うるさい!
明日の決勝、見に行くこと出来ないけどテレビの前で応援してるから!楽しみにしてるから!

〇〇:わかった!テレビの前で応援しといてくれ!
ヤバくなったら、あのポーズやるから

史:うん!見てる!

〇〇:気をつけて帰れよ!
史緒里またな!
スタスタスタスタ〜


素直じゃないんだから〜

史:梅!

梅:何であんなこと言っちゃうかな?
素直に抱きつけばいいのに…

史:いや無理無理無理!

梅:あんなに泣いてたのに…

史:それは…

梅:私から言おうかなぁ〜史緒里号泣してたよって

史:絶対ダメェ〜〜
(揺らす)

梅:わかった。わかったから揺らさないで

史:ごめん!

梅:もう本当に〇〇の事になると可笑しくなるんだから

早くバスに行くよ!置いて行かれてしまう

史:あ!ダダダダダダ〜

1塁側スタンド
〇〇:遅くなりました!

西:どんだけ長いんだよ!

〇〇:う〇こでした!

西:汚な!!

〇〇:汚くない!人間の生理現象!

大:言わなくていいから
春:ホントそう

〇〇:ごめんって🙏

拓:〇〇ちょっと…

〇〇:御幸先輩なんですか?

拓:ちょっと隣座れ

〇〇:はい…

拓:お前、さっき一条正宗と何話してた?

〇〇:なぜそれを…

拓:話せない事なのか?

〇〇:全然大丈夫なんですけど
3回戦の試合前のベンチで初めて話しかけられました。

拓:そんな前からで、しかも向こうからとは

〇〇:その時、いきなり自己紹介されて、「2回戦のピッチング見た!楽しみにしてる」
と言われました。

拓:(〇〇に興味を示すとは…)

〇〇:先程は挑発されたので少し言い返しました

拓:なんて言われた?

〇〇:「決勝で投げ合えることを楽しみにしてる」
「俺は、誰にも負けない」と…
「次の試合見れば、この意味がわかる」
って言われました。
準決勝も終わってないのに決勝を見据えている事に少しイラついたので
「この世に絶対って事は無いですから」って伝えました。

拓:そういう事か…
でも、お前は何も間違ってないよ
もし向こうが決勝に勝ち上がってきたらこれは俺たちが叩き潰さないといけないな

〇〇:そうですね

拓:それも聞きたかったんだけど、本題は
今日の6回の表のピッチング、〇〇自身どう感じた?

〇〇:ぶっちゃけ、あの感覚は初めてでした。
負ける気がしないというか
抑えられると…

拓:実際あの3番の人に投げた真カットボール
あれは別球種だったからな

〇〇:えっ?


To be continued…
ごめんなさい🙏
特別編は次回に回させてください

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