あのミットに向かって2nd 6話(66話)
ウ:第4試合、雷道高校 対 帝西高校の試合を始めます
スターティングメンバーのご紹介をいたします。
まずは雷道高校
1番、ショート、西野疾風
2番、センター、高津真一郎
3番、セカンド、町田春一
4番、キャッチャー、御幸拓也
5番、ライト、橋本静哉
6番、ピッチャー、大谷健吾
7番、ファースト、小笠原世那
8番、レフト、後藤優
9番、サード、村上和真
監督、片岡剛喜
記録員、若月佑美
続きまして帝西高校
1番、ファースト、小川正志
2番、センター、加藤興毅
3番、ライト、澤部義久
4番、キャッチャー、乾尚弥
5番、サード、岩井川隼太郎
6番、レフト、高井戸遼
7番、ショート、松田迅
8番、セカンド、中野天
9番、ピッチャー、日向太陽
監督、前澤貴信
記録員、向井葉月
先攻は帝西高校、後攻が雷道高校となります。
ザッ、ザッ
審:行くぞ
両チーム:しゃあーー
ダダダダダダダダ
パチパチ👏
審:雷道高校対帝西高校の試合を始めます
礼!
両チーム:お願いしゃーっす
帝西監:先発は大谷君か…
予選では投げてないそうじゃないか
向井:そうですね
甲子園後から投げてないと思われます。
帝西監:そう言えば、怪我してたもんな
復帰明けチャンスあるぞ
初回よくボール見ていけ!
帝西ナ:はい!
ウ:1回の表、帝西高校の攻撃は、
1番、ファースト、小川君
小川:ペコ
拓:ペコ
大:久しぶりのマウンド
ザーッ、ザッ
戻って来れた
この怪我の期間取り組んできた体幹、制球力、そして、新しい変化球…
拓:さぁ見せて貰おうか
夏の成果を…
お前の全てでねじ伏せろ!
大:コク
もうあのような想いはしない!
ンァ!
ビューーン
小川:真っ直ぐ…
カン…
小川:えっ?
西:ヒャッハー、シュッ
小笠原:バシ
審:アウト!
拓:ナイスボール
〇〇:初球から…
大:今のは良かった
小川:スライダーじゃないよな?
芯を外された
ウ:2番、センター、加藤君
加藤:しゃっす
拓:この回は徹底して…
大:コク
ンァ!
ゴゥ
ギューーーン
加藤:!?
ドッ
審:ットライク!
帝西ナ:!?
拓:オッケー
大:うんうん
加藤:この速さで
真っ直ぐだよな?
いや、違うのか?
ビューーン
グイ
パァーン
加藤:縦スラ…
審:ストライク2
〇〇:今日キレてんなぁ
拓:さぁラスト…
ザーッ
〇〇からの助言
〇〇:カットは無理に曲げたら意味がない
打者の手元で曲がるようにして、手を出させるために使う変化球なんだ
大:へぇ〜
〇〇:聞いてねぇだろ!?
大:聴いてるよ
〇〇:俺がお前見ててよく思うのは
バットに綺麗に当てられたら飛ぶなって
大:誰でもそうでしょ
拓:いや、それは違うぞ
大:えっ?
〇〇:お前の球は速い。ムカつくほどにな!
でも、金属バットだからこそ当たればボールはより遠くに飛んでいく。
拓:甲子園、余りゴロがなかったはずだ
大:言われてみれば確かに…
拓:言わば0か100なんだよ
三振か安打か
それだといづれ限界が来る
〇〇:わざとバットに当てさせるってことも大事なんだよ
大:………
〇〇:だから御幸先輩はカットを提案したんだよ
拓:ま、そうだな
握りは真っ直ぐの握りから少し縫い目を外せ
で、縦スラみたいに手首は立てなくていい
大:いいんですか?
拓:〇〇が言ったじゃねぇか
〇〇:やっぱり聞いてなかった
拓:無理に曲げたらスライダーになるぞ
大:そうか
拓:投げる瞬間に薬指と小指を曲げるんだ
すると…
大:おう!
拓:自然と曲げるような形になっただろ?
そのイメージで投げてみろ
大:はい!
リリースする時に小指と薬指を曲げる!
ビューーン
大:あれ?イマイチかな?
ギュン
拓:パァーン!!!
大:!?
拓:ナイスボール
そのスピードでこの小さい曲がりはバッターは困惑するはずだ
試しに先輩相手に投げてみろよ
拓:世那!
小笠原:どうした?
拓:ちょっと打席に立ってくれないか?
小笠原:いいぞ
拓:大谷が投げたいらしいんだよ
小笠原:ぶっ飛ばしてやるからな
大:ザーッ
ドン
ゴゥ
ビューーン
小笠原:もらった!
ギュン
小笠原:え?
カン、コロコロコロ
拓:はい、サードゴロ
小笠原:何や今の?真っ直ぐと思って振ったら芯外されたで
拓:な?言っただろ?大谷?
大:凄い…
拓:初見じゃ捕らえられないから
大:ありがとうございました
拓:俺じゃなくて〇〇に言えよ
〇〇:ドン
ほら、言えよ
大:えっ?
〇〇:ほら
大:アリガト…
〇〇:小さい!聞こえない
大:アリガ…
〇〇:もっと小さくなってじゃねぇか!
大:ありがとうございましたっ!!!!!!
〇〇:うるさっ!!
耳元で言うなよ
大:だって大きな声でって言うから
〇〇:加減知らないのかよ
拓:何やってんだよ
小笠原:俺の打ち取られた気持ちはどうしたらいいねん!
拓:それはごめん
小笠原:だぁああああー
シート行ってくる!
大:打者の手元で曲げるイメージ…
ビューーー
ギュン
カン
バットの先
春:スタタッタッタッ
パシッ
シュッ
小笠原:バシ
審:アウト!!
雷道ナ:ナイスボールだ大谷!
ツーアウト!
あと一つ
帝西監:まさかカットボール!?
はじめて観た。
甲子園では投げていなかったはず
ということは、終わってから
しかも、予選は怪我で出てないとすると…
この数日でカスタムしてきたってことか…
これは誤算だった
ウ:3番、ライト、澤部君
澤部:結局カットは真っ直ぐと変わんないだろ?
どっちがこようが叩けばいい
ビュン
ストン
澤部:!?
パシッ
審:ストライク!
澤部:スプリット…
澤部:それじゃない
真っ直ぐこいよ
大:ンァ!
ゴゥ
グイ
カン
澤部:!?
村上:パシ、シュッ
小笠原:パシッ
審:アウト!
雷道ナ:らぁああああああ
観客:あの大谷が全部ゴロ?
調子悪いのか?
拓:逆だよ
大谷!ナイスボール
大:ありがとうございます
感触良かったです。
監:このまま頼むぞ
大:はい!
太陽:尚弥さん今日もよろしくです
尚弥:太陽いけるな?
太陽:当たり前じゃないですか
この為に夏頑張ったんですから
尚弥:そうだな
監:向こうの投手は制球力を売りにしてる投手だ
そういうピッチャーには渋とくくらいついて行け
甘く入った球は見逃すなよ
投げさせればボロは出るはず
全員:はい!
ウ:1回の裏、雷道高校の攻撃は、
1番、ショート、西野君
西:シャッ
尚弥:このバッター、セーフティあるぞ
岩井川:コク
太陽:ザーッ、ザッ
ふー
中学の頃はエースで全国に出た。
でも、それは高校(ココ)では何の意味もなさなかった…
夏の大会
帝西 vs 凪
太陽:ンァ!
カキーン
太陽:!?
実況:これで6点目
日向、今日は制球が定まらず
まさかの6失点
太陽:はぁはぁ
太陽:俺は俺自身に酔っていた
俺が投げれば勝てると…
それからというもの、俺はもう一度自分の野球を見つめ直し、また1から野球をし始めた
もうあんな想いは絶対にしない
西:どんな球でも喰らいつく
太陽:ンァ!
シュッ
ビュン
スパーン
審:ットライク!
シュッ
西:うわ!
バシッ
審:ボール
西:あっぶねぇなぁ
太陽:ニヤ
ビュン
スパーン
審:ストライク!
西:アウトコースギリギリ
すげぇ遠いな
シュッ
シューーー
西:いや、ボール…
クイ
西:!?
スパーン
審:ットライク!バッターアウト!
西:やられた
尚弥:ナイスボールだ太陽
太陽:へっ!今のは手が出ないだろ
西:すみません
監:どうだった?
西:スピードは森田より少し速いくらいですが、内と外の使い方が非常に上手いです
球数を気にせず投げてくるかもしれません
監:そうか…
ありがとう…
ウ:2番、センター、高津君
高津:お願いします
太陽:真一郎か…
久しぶりだな…
高津:来いよ
太陽:どっちが凄くなったか勝負しようか
ンァ!
ギューーーン
スパーン
審:ストライク!
高津:この曲がり方…
中学の時より鋭くなってる
尚弥:今日はキレてる
高津:これがゾーンに入るのか…
太陽:そんなもんかよ
これはどうかな?
ジュッ
ビューーン
高津:!?
ズバン
審:ストライク2
高津:インコース
今、コイツ当てる気できてた
太陽:バット振んないなら
置いときなよ
高津:コイツは本気で俺を倒そうとしている
なら俺はどうだ?
逃げてばかりじゃないのか?
あの頃と同じように…
太陽:ンァ!
ギュン
ブン!!
パシッ
審:ストライク!バッターアウト!
太陽:だぁああああああ!
観客:2者連続三振
これは投手戦になるか?
高津:今のは完全に負けだった…
くそっ…
打席であれなら立たないほうがいい
何の為に野球をやってる
監:高津!まだ固いぞ
打席で集中出来てない
それでは打てるボールも打てないぞ
お前を2番に置いた理由を考えろ
高津:はい!
俺が2番…
ウ:3番、セカンド、町田君
〇〇:春いっち!
ぶちかませ〜
太陽:甲子園で代打で出場してたやつか
春:新チームになって打てていない
春一は甲子園決勝での三振からスランプに陥っていた
予選、11打数1安打1失策
何が足りない?あの打席何がダメだった?
考えれば考えるだけ沼にハマっていく…
バットは振ってる。でも振れば振るだけボロが出てくるように感じる
今の俺がこのチームのクリーンナップを任せてもらえてることが不思議なくらいだ
今、バッターボックスに立つと地面に沈んでいくように感じる
甲子園から健吾君は一皮剥けたように感じる
前の回のあのピッチング
後ろを守っていて楽しかった
次は俺が応えるべきではないのか?
どんどん2人と離されていってる気がする
カン!
太陽:セカン!
中野:バシッ、シュッ
小川:バシッ
審:アウト!
太陽:しゃぁあ!
観客:初回両チーム0点
面白くなりそうだ!
春一はヘルメットを取り悔しそうな表情を浮かべていた
春:くっ
〇〇:春いっち…
To be continued…
次回、決着
2人の1年がそれぞれの敵と闘う
高津の過去とは一体
果たして春一はスランプから抜け出せるのか
雷道は2回戦に進めるのか
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