グロース株?バリュー株?ってどんな株?
株式投資をかじってみると、ネットや雑誌などで「グロース株」と「バリュー株」という言葉を見かけることがよくあると思います。グロース株投資、バリュー株投資という言葉でもよく語られますが、今回はそれぞれの特徴についてみていきましょう。
グロース株とバリュー株
「グロース株」とは、売上や利益の成長率が高く、今後も成長が続くことが見込まれ、株価の上昇が期待できる株式のことを言い、「成長株」とも呼ばれます。Amazonやアルファベット(グーグル)などのFANGと呼ばれる企業や電気自動車メーカーのテスラなどを想像して頂ければ、いいでしょう。業種的には、ハイテク株や医薬に属する企業が多いです。
米国では、FRBが金融緩和を開始した昨年秋から大型グロース株の上昇が目立っており、2020年10月6日時点で、Amazonの株価が約80%、アップルは過去1年で約100%、テスラに至っては770%もの上昇となっています。
一方、「バリュー株」とは、売上や利益の伸びがあまり期待できないなどの理由から、その企業の価値に比べて、株価が割安になっている株式のことを言い、「割安株」とも呼ばれます。バリュー株の中には、すでに成熟している市場に身を置いている場合もあり、有名企業も多くあります。例えば、自動車メーカーのGMやたばこ大手のアルトリア・グループ、大手金融機関のJPモルガンチェースなどが挙げられます。業種的には、製造業や銀行、小売りなどに属する企業が多いです。
IBMなどがバリュー株に入りますが、過去1年でみると、株価は約12%の下落、JPモルガンチェースも約12%の下落となっています。
バリュー株の強み
こうしてみると、「バリュー株」は、マーケットが成熟し成長の余地が少なく、株価も下落しており、いいところがないように見えます。しかし、必ずしもそうとばかりは言えません。株式投資の基本は、「安く買って、高く売る」です。その意味では、割安に放置されている株というのは、悪くはないです(問題は、いつ株価が上昇するかですが)。次に、成熟した市場に身を置きながらも、利益を出し続けているとすれば、企業体質として強いとみることも出来ます。そして、グロース株の中には、成長のために株主還元を後回しする企業もみられますが、バリュー株では、投資家の資金を集めるため、株主還元を積極的に行っている企業が多くあります。
株価の評価のなかに、配当利回りというものがあります。これは、購入した株価に対し、1年間でどれだけの配当を受けることができるかを表したものです。主要企業の配当利回りをみると、Amazonは成長分野への投資を積極的に行っていることもあり無配当、ゼロ%です。マイクロソフトなどでも1%前後となります。一方、IBMの配当利回りは約5.4%、アルトリア・グループは約8.8%もの配当利回りとなります。もちろん、それ以上、株価が下落してしまえば、意味はないですが、長期投資という観点でみると魅力的です。
グロース株からバリュー株へ
たしかに、いまの米国株市場をけん引しているのは、FANGなどのグロース株です。コロナ禍が続くなか、超低金利政策を続くでしょうし、ジャブジャブのお金は、グロース株に集まる状況は、まだしばらく続きそうです。ただ、6日、米下院司法委員会が、グーグルやフェイスブックなど巨大IT企業に対する反トラスト法調査の報告書をまとめ、分割を含む規制の強化を求めるなど、経営基盤に重大な影響を及ぼす事案が出てきました。
また、この1カ月の米主要株価指数の上昇率をみると、バリュー株が集まるダウ平均株価が0.48%の上昇に対し、グロース株が中心のナスダックは0.21%の上昇、S&P500は0.24%の下落となっています。採用銘柄数が違くので、一概に比較はできませんし、一過性の動きかもしれませんが、これまで一極集中的に買われてきた一部の大型グロース株から、バリュー株に投資資金が少し動き出している気配がみられます。こういった潮目の変化は、次の相場に入るサインになることもあるので、そろそろバリュー株に目を向けてもいいのかもしれませんね。
記事作成:2020年10月
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