見出し画像

STAX SRS-310 使用所感

お久しぶりです。私です。
突然ですが皆さん、STAXというメーカーをご存知でしょうか?

STAXとは

STAXは日本のオーディオメーカーです。
ヘッドホン(STAXではイヤースピーカーと呼んでいますので、ここから先はイヤースピーカーと表現します)を取り扱っているメーカーです。

こちらのイヤースピーカー、なにが特徴かというと、その駆動方式にあります。
大半のヘッドホンがダイナミック型というコイルを利用した磁気回路を利用して音を出しているのに対して、STAXのイヤースピーカーは「静電気の持つ特異性」を利用した静電型となっています。
詳しい原理は私もよくわかってないので、皆さん各自検索して調べていただきたいのですが、その特異性と扱いづらさから、静電型はほとんど採用されていません。

そんな中でSTAXは日本ならず世界でも、この静電型の草分け的存在です。
販売しているイヤースピーカーは全て静電型という潔さ。
それでも創業60年とかなり伝統のあるメーカーです。

メチャクチャ欲しいと思った

そんなレアな駆動方式のSTAXのイヤースピーカー。
逆張りオタクである私が食いつかないはずがありません。
メチャクチャ欲しいと前から思っておりました。
しかし、2点の問題から二の足を踏んでしまっていました。

  • 専用アンプが必要

  • 高価

専用アンプが必要な点は非常にデメリットです。
接続が煩雑になります。もちろん有線しかありません。
ワイヤレスヘッドホンの魅力に取り憑かれていた私としては、どうにも受け入れられないデメリットでした。
二つ目の高価という点はもう皆さん共通の悩みだと思います。STAXのイヤースピーカーは単体でも20万前後、アンプも合わせれば30万程度の出費は覚悟しなければなりません。
エントリーセットとして、6〜7万円台の(今回購入に至った)イヤースピーカーとアンプがセットになったSRS-310があるのですが、それでもヘッドホンとしてはかなり割高。

そう言った部分から興味はあれども、手を出せずにいたわけです。

そんな中、ある商品が発売された

そうしてもんやりしている折、とあるニュース記事が舞い込んできました。
STAXの親会社であるEdifierから「STAX SPIRIT S3」なる製品が発売されるとのこと。(公式ページに行き当たらなかったため、アマゾンリンクです)

STAXの名を冠したワイヤレスヘッドホン。駆動方式こそ平面磁界型と、本物のSTAXとは違うものの、そこまでいうなら音質が素晴らしいものに違いないと、即購入を決めました。

早速聞いてみる。しかし……

早速聞いてみると、まず高音の響きに驚きます。
これがSTAXか、と思いました。
しかし、聴いていくにつれて違和感を感じるようになりました。

なんか物足りないなぁ。

そう、低音が圧倒的に物足りないのです。
イコライザ等で底上げしてあげても、足りないくらい。
うーん、こんなもんかぁ。と残念に思いました。
これならば他のワイヤレスヘッドホンで十分だなぁ。と思いました。
2日間聴き込みましたが、一度ついてしまった印象は払拭できず、すぐに売りに出すことになりました。

せっかくだし、本物にも触れてみるか

売却は秋葉原のeイヤホンさんで行ったのですが、わざわざ秋葉原まで出てきたんだし、他の製品も見てみるかと、店内をうろうろ。すると、STAXのSRS-3100の実機が置いてあるではありませんか!

しかし、 S3の影響であまりいい印象を持っていない私。
それでも、本場を経験せずに判断するのは勿体無い。
そう考え、思い切って試聴させてくださいと頼みました。

実際のSRS-3100のイヤースピーカーSR-L300、見せてもらうとまず耳に当てる部分の大きさが目をひきます。iPhoneよりでかいです。多分iPhone Pro Maxと同様くらいの大きさがあるのではないでしょうか。しかし全体にプラスチック製なため思ったより軽く、耳がすっぽりおさまってヘッドバンドでしっかり支えてくれるので、着けていて負担はなさそうだな、と思いました。

そして、どきどきしながらの視聴。
その時は映画『天気の子』の『グランドエスケープ』を聴いたのですが、まず最初のピアノの音が澄み渡っていることにすぐに気がつきました。ここは S3と同様。いや、それ以上。ボーカルも乗ってくるにつれて、その音ははっきりとしていて透明感を持っていることがわかります。
曲はゆっくりと盛り上がっていきます。そして、一番気になっていた低音の迫力。
ドラムのドンドンという音が響いてきます。
しっかり聞こえます。いわゆる低音に振っているイヤホン・ヘッドホン程の迫力があるかと問われればそれは否ですが、 S3で感じた物足りなさは無く、しっかりと全部の音が鳴ってくれています。
そしてやはり高音域の美しさは筆舌に尽くし難いものがあります。
シャリッとした感じもなく、本当に澄んだ音という表現がぴったりだと思えました。
曲を聴き終えた後、こんなにいいヘッドホンが世の中に有るのか、と感動しました。完全にSTAXの虜になっていたのです。
早速店員さんに購入の意思と、どうやって普段聴いている環境(PC)との接続するのかを尋ねました。すると、別にDACが必要とのこと。正直予算ギリギリだということを伝えると、iFi audioのZEN DACをオススメしてくれました。

全部合わせて10万円くらい。予算いっぱいですが、購入を決めました。
以前お前「DAC置くスペースないって言ってなかったっけ?」って言われそうですが、全力で片付けました。このためだけに全力を捧げました。

そして、無事STAXのSRS-310をお迎えした次第です。

STAX SRS-310使用所感

家に帰って数週間、家にいる時はほとんどこれで音楽を聴き続けています。
いろんな楽曲を聴いてみましたが、とても良い。花丸です。
まずなんと言っても高音の鳴りが綺麗です。ピアノの高音とか女性ボーカルがはっきりくっきり聞こえます。そして低音も先ほど述べた通り、ドンシャリが好きって人以外には問題ないというか、結構良い音を出していると思います。
あと、音の広がりは大きなイヤー部だけあって、相応の広がりがあります。特別音の分離感がはっきりしているというわけではないですが、ちゃんと左右から音が鳴ってくれます。

ただし、悪い点もいくつか挙げておきましょう。
まずは取り回しですね。コードがぶっといきしめん2本分みたいなのがイヤースピーカーとアンプを繋いでいます。でも持ち運ぶわけではないし、絡んだりしないからそれはそれで良いかなと思います。あとはアンプとDACに繋がないと音を鳴らせないので、それなりに配線は複雑になります。家の中をしょっちゅう歩き回ったり、飲み物取りに行く時にも音楽聴いていたいという人にはもちろん向きません。
もう一つは、これはSTAX特有というわけではなく、開放型ヘッドホン全てに言えることですが、遮音性は皆無です。私の場合、同居人に「寝てる間は使わないで」と言われるくらいには音漏れしてました。そして、音漏れするということは、外から音もほぼ素通しです。割と静かな環境がないと音楽に集中できないという方は、購入を控えた方が良いです。
あとはやはり7万円台の価格はSTAX内では破格とはいえ、普通にヘッドホンを買おうと思っている人には高価だと思います。DACも別途必要になりますし、結局10万程度の予算は見積もっておかなければいけません。

逆にいえば、これらの問題をクリアできる人は、一度ご試聴されるのをお勧めします。STAX特有のサウンドを体験したというのは話のタネにもなりますし、気に入る人はとことん好きだと思います。

最後に

逆張り精神から始まったSTAXとの邂逅。私にとっては貴重な経験でした。
今では家にいてこのイヤースピーカーで音楽を聴く時間が凄く楽しみです。そして、STAXの他の製品にも興味が湧いてきました。ただ、どれも高額なので、コツコツ貯蓄しながら、いつか買える日を夢見て労働に励もうと思います。

そんなわけでSTAXのSRS-310使用所感でした。
是非お近くに試聴可能店舗がある方は足を運んでみてください。
それでは。また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?