買い物待ちの車の中
時間は有限なのだ。今何をするのか、限られた中から選ばなくてはならない。
駄目だったからと、リセットしてやり直すことはできない。
今、車の中で妻の買い物を待っている。その、数分、いや、数字数十分。何をしたら一番自分にとって良いのか。悩んでいたら、もったいない。
とにかく、思いついたこと、手に触れたものを、片っ端から行なっている。
ぼんやりと、何もせず、車の中で惚けるのも一つの選択だが、貧乏性なので何かしないとおられない。
しかし、自分の人生、それも、残り少ないそれを、有意義にするものを一つ選べなんて、難題解けそうにない。
解けるなら、今や名だたる企業のCEOになり、御殿のような家に住んで、高笑いでワインをたしなんでいるだろう。
解けないなら、とにかく片っ端からと言うのが、一番気が紛れる。効果の程はわからずとも、不安は誤魔化せる。
iPhoneに入れた映画を数分、Kindleで数分ごとあれこれと気分で本を入れ替わり立ち替わり。
そして、挙げ句の果てにこうして思いついた雑念を書いている。
いつもながら、一つのことに決められない。何をやっても安心できない。この悪癖とは生涯付き合わないといけないようだ。
ぼんやりした時間を、ゆったりと満足して過ごす。そんな、有能で完全な生き方をしたいものだ。
たかが、買い物の間の時間、こんな余計な妄想など必要ないのに、人生には。
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