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中学生にまで忍び寄るドラッグの魔の手

覚せい剤を所持していたとして、田代まさし容疑者が逮捕されました。逮捕状を持って田代容疑者と都内で接触した際、別の覚せい剤を持っていたため現行犯逮捕したといいます。田代容疑者は逮捕されるしばらく前まで、薬物依存症のリハビリ施設「ダルク」の職員として働いていました。

「またか」とこのニュースを聞いて、田代まさしという人間にがっかりした人も多かったと思います。しかし、繰り返してしまう恐ろしさが覚せい剤にはあることを改めて浮き彫りにしました。田代容疑者は何度も何度も多くの人に助けられ、支援者もいて、本人も薬物依存症のリハビリ施設で薬物の危険性を訴えてきたわけです。にも関わらず、彼はそんな大事な仕事や人を裏切ったのです。そんな人たちを裏切ってしまうほど、覚せい剤には恐ろしさがあるという裏返しでもあります。

現代はストレス社会であり、日々多くの人に精神的な苦痛が待っています。「ストレスを忘れられる高揚感」「嫌なことを思い出さなくていい」人によっては、覚せい剤を使うと感覚が鋭くなった気がしたり、爽快な気分になる人もいます。本人としては、薬のせいでとても気分が良くなっているように見えますが、周囲から見れば、落ち着きがなく多弁、異常なハイテンションな様子に見えるのです。そして、覚せい剤による興奮効果はわずか数時間で切れます。その後は激しい疲労感、抑うつ感、強い不快感が襲ってきます。現代人はストレス耐性が弱く、強い刺激に弱い傾向があります。こうした薬物、危険ドラッグに染まりやすい心理が眠っています。

2016年、横浜市教育委員会が行った調査は衝撃でした。脱法ハーブを含む危険ドラッグや覚せい剤などの薬物については、小中学生ともに9割以上が「健康に悪い」「使用や所持は犯罪である」と回答しました。一定の認識は広がっています。その一方で危険ドラッグ等に接する場面があると思うかを聞くと、4人に1人が「ある」と認識。危険ドラッグ等の入手については、小学生の70.6%、中学生の84.9%が「簡単に手に入ると思う」または「少し苦労するが、なんとか手に入ると思う」と回答していました。子供たちは身近なところにドラッグがあると認識しています。

ドラッグに詳しい医療関係者に取材をすると、今、ドラッグのターゲットは中学生だと言います。かわいいラムネのようなお菓子に偽装したり、簡単に痩せる薬として判断力の弱い中学生を陥れようとしているそうです。また、子供にストレスがないと考えるのも誤解です。精神的な疲労感は子供達の間まで広がりを見せています。子供達が狙われているのです。また、微細な子供の変化に気付けない親の問題もあります。明らかにおかしくなってから親が気づいても手遅れです。また高額なドラッグを買えるほど、今の中学生はお金がある、もしくは調達経路があるというのも恐ろしい話です。

こうした現状を理解して、社会全体で子供たちを守っていく取り組みをしていく必要があるでしょう。「中学生にドラッグなんてあり得ない」こうした思い込みを持つととても危険だと思います。危険は私たちのすぐ近くまでやってきています。「何が何でも子供を守る」「意地でも守る」そんな強い思いがないと通用しないでしょう。子供に対しての無関心という隙を犯罪者は見逃しません。


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