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高まる損失回避性の傾向

人には得をしたいと思うより、損をしたくないと考える損失回避性という性質があります。多くの人は得をしたときに得る喜びの感情よりも、損をしたときに感じる感情のほうがより大きいのです。この損失回避性は私たちの経済活動をはじめ様々な生活シーンで見ることがあります。たとえば毎回、ランチで同じ店に行き、同じメニューを頼んでしまうのも損失回避性の影響と考えられます。コンビニで700円以上でクジを引けるというときに、600円の買い物をしたらあと一品買ってくじを引きたくなる心理も損失回避性の影響と考えられます。損失回避性は意識をしていなくても、私たちに大きな影響を与えています。

この損失回避性は以前から年々高まっていると推測しています。そこでこんな調査をしてみました。

コインを投げた目によってお金をやりとりするゲームをおこないましょう。コインの裏が出たらあなたは1,000円払わなくてはいけません。逆に表が出たら○○円もらえます。あなたはいくらもらえたならこのゲームに参加しますか?

コインの出る確率は1/2です。コインの裏が出たらあなたは1,000円払わなくてはいけないなら、表が出たら1,000円もらえるのが公平な賭けです。しかし、人は損失回避性が強いので、1,000円の支払に対して、報酬が1,000円では同じものと考えにくくあります。この同一条件では掛けをしたくないと考える人がほとんどです。2014年に594人を対象にこの質問をしたところ、全員の平均金額は2,499円になりました。約2.5倍のリターンがないとやりたいと思わなかったのです。これは1,000円を失う悲しみは、2,499円の期待する感情と同一であることを表しています。

そして2021年、7年後にどのように損失回避性が変化しているかを確かめるために、ツイッターでこのような質問をしました。

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アンケート形式で自由に答えてもらった結果とは異なりますから、単純な比較はできません。しかし平均値からその傾向は見て取れると思います。金額でもっとも高かったのは3,500円と回答した方でした。平均値を求めると2,730円となり7年前よりも高くなっている可能性を感じました。この調査から損失回避性は高くなっている可能性はあります。現在は大掛かりな調査ができにくい状況下ではありますが、継続して調査していきたいと思います。

またこの調査では「損する可能性があるならやらない」という方が最も多くいました。ここには「怪しい賭けなのでやらない」という方も含まれているとは思いますが、この部分を見ても損をしたくないという感情は高まっている可能性を感じます(条件が曖昧な部分もあるので、この数字をそのまま受け取ることはできません)。

人の「損失回避性」についてはこちらでも詳しく解説しています↓ご興味がある方はぜひ読んでみてください。様々なものに応用できます。

損失回避性を知らないと個人だけでなく、企業は大きな損害やチャンスロスを作ることになります。ぜひ、人の損失を回避する性質について注目してみてください。

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