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世界史漫才再構築版59:レーニン編

微苦:ども、微苦笑問題です。
 苦:今回はロシア革命を成功させ、ソヴィエト連邦を作ったレーニンです。
 微:今をときめく白井聡のメジャーデビューが『未完のレーニン』だったな(遠い目)。
 苦:柄谷行人に朝日新聞の書評でこき下ろされてました。そして、あの中沢新一も『始まりのレーニン』を書いていました(遠い目)。
 微:関わると不幸になるオッサンだな。現存する銅像は二宮金次郎より少ないだろうし。
 苦:撤去される場面、『グッバイ・レーニン!』でも映ってましたね。ある意味、20世紀を作ったというか、石井規衛先生言うところの「初期現代」を生み出した革命家ですから超大物です。
 微:とりあえず、世界史で最も有名なハゲとして押さえておいていいのか?
 苦:まあ、ソ連・ロシア史のハゲ・フサの「両統迭立」は有名ですがね。ニコライ2世(フサ)→レーニン(ハゲ)→スターリン(フサ)→フルシチョフ(ハゲ)→ブレジネフ(フサ)→アンドロポフ(ハゲ)→チェルネンコ(フサ)→ゴルバチョフ(ハゲ)→エリツィン(フサ)→プーチン(ハゲ)→メドヴェージェフ(フサ)→再度プーチンと見事です。
 微:最近はプーチンの後ろには誰もいないから、永久政権を目指しているように思えて。
 苦:仲間もいそうにないですしね、ウクライナ侵略以後。さて、レーニンは「レナ川の人」を意味するペンネームで、本名はウラジーミル・イリイチ・ウリヤノフです。
 微:まあ、ボリシェヴィキ第一世代はスターリンまで含めて偽名だからな。横山ノックとか。
 苦:それは芸名だろ!! 1870年に父イリヤ・ニコラエヴィチ・ウリヤノフ、母マリア・アレクサンドロヴナ・ブランクの子として生まれます。父はアストラハン出身のタタール系物理学者でした。
 微:アストラハン・ハン国があったところだな。「さかなくん」さんみたいなおかしさがあった。
 苦:レーニンは一応「貴族の出」なんですが、父イリヤが著名な教育者で、その功績から1882年に世襲貴族に列せられたんです。
 微:ジョチ・ウルスに遡る名門モンゴル系貴族だったら、ある意味、理解しやすいが違ったか。
 苦:1886年に父が死んだ後は兄アレクサンドルともども極端な性格になりました。
 微:時津風部屋に入門を願ったそうです。
 苦:把瑠都かよ!! 兄は皇帝アレクサンドル3世暗殺に関与し、絞首刑となりました。レーニンも1887年にカザン大学に入学しますが、学生運動参加と暴動行為により放校処分を受けました。
 微:ロシア版「花山院の出家」か。
 苦:意味が全然違います。母の尽力で大学修了資格を得るため、なんとロシア最高峰のサンクトペテルブルク大学の修了試験を受けました。
 微:ほんで全科目で満点をとり、試験官の推薦により修了証明書を与えられたんだろ。「どんだけロシアの大学のレベルが低いだよ!!」と疑われるようなエピソード。
 苦:放校に加えて帝国内務省によって辺鄙な農村に流刑となりますが、そこでレーニンは書物を読み漁り、逆にパワーアップしました。
 微:たっぷりオンライン・ソシャゲーやれる時間ができたのでステータスも上がり、その時の仲間でボリシェヴィキを結成したそうです。
 苦:そんなものに熱中したら廃人になってるよ!! 母の尽力で1889年にカザンに帰還します。
 微:マルクス主義に接近しなかったら「こどおじ」になってるな。
 苦:敵を増やさないそうに。1893年にペテルブルクに移って労働運動に参加し、革命のためにスイスのロシア人亡命マルクス主義組織「労働解放団」に接近することを決意します。
 微:なんか失業者の集団なのか、高等遊民なのかよくわからない響きだな。
 苦:スイスでプレハーノフとアクセリロードに会い、帰国後はロシア各地を巡り、国外から大量に持ち帰った非合法出版物を当地のストライキ労働者に配りました。
 微:その時に無修正の画像の入った出版物が混ざっていて猥褻物頒布罪で捕まりました。
 苦:「墨塗り」してなかったらそうなるかもね。1895年秋、レーニンはペテルブルクのマルクス主義労働者グループを統合して「労働者階級解放闘争同盟」を結成します。
 微:あかん、「連合」臭がしてくる。
 苦:大丈夫です。非合法機関紙『ラボーチェエ・デーロ』の発行に関与し、他39人の活動家と共に逮捕され、扇動罪でシベリアのシュシェンスコエ村に流刑となりました。
 微:江戸時代の八丈島かよ! あそこにも普通の住民がいたよな。
 苦:1898年5月、レーニンは流刑地でクルプスカヤと再会します。彼女の流刑先はウファだったのに、自分とレーニンが婚約していると主張してシュシェンスコエ村に移送されたんです。
 微:押しかけ女房と「愛の流刑地」か。で、革命運動の苦楽をともにしたんで村は苦楽園に改名されたんだな。
 苦:西宮ローカルネタはいいです。なお、二人が「結婚」した1898年頃、ドイツではベルンシュタインら修正主義者が台頭し、マルクス主義者間でイデオロギー対立が起きていました。
 微:地下出版のレーニンは無修正派だろ?
 苦:ベルンシュタインは黒塗り派かよ! 文脈が違っているだろ!! レーニンは流刑中でも暴力革命を強力に支持し続け、偽名でロシアの経済発展に対するマルクス主義的分析を提示しました。
 微:でも評価は低かったんだろ。
 苦:まあ、そうです。1900年1月に刑期が終了したレーニンは7月にスイスへ亡命します。すぐにミュンヘンに移住し、12月にロシア社会民主労働党の機関紙『イスクラ』を創刊しました。
 微:マルトフ、ポトレソフ、プレハーノフ、アクセリロード、ザスーリチ、かつてのゲーム仲間ね。
 苦:ソシャゲから離れろ!! 彼らは「イスクラ派」と呼ばれ、『イスクラ』には西欧の著名なマルクス主義者も寄稿したため、ロシア帝国へと密輸された地下出版物で最も成功したものでした。
 微:日本でいうとコミケの同人誌みたいなもんか。プロの漫画家でもコミケ収入の方が大きい。
 苦:150の偽名を使い分けたウラジーミル・ウリヤノフが初めて筆名「レーニン」を使用したのは1901年末で、翌1902年にこの名で『なにをなすべきか?』を出版しました。
 微:そりゃ革命家だからプロレタリア革命に決まっているだろ。
 苦:その中で「社会主義意識は、プロレタリアートの階級闘争のなかへ外部からもちこまれたあるもの」というカウツキーの言葉を引用しました。
 微:労働者は自分では社会主義を生み出せないということ?
 苦:はい。この考え方は「外部注入論」と呼ばれ、要するに外から労働者階級に革命意識を注入する専門の革命家、つまり前衛政党である共産党が必要だということです。結晶化させる一撃。
 微:つまり労働者は、自力では未来も解放への展望も持ち得ないと。
 苦:自らを解放する労働者は革命の担い手だけど、革命のやり方を知らないからです。「労働者階級の力は組織である。大衆を組織しなければプロレタリアートは無である」とも言ってます。
 微:要するに労働者はバカだと。
 苦:金持ちや二世政治家でもバカはバカです、勉強できる環境も文化資本もあるのに。そしてイスクラ派主導で1903年に社会民主労働党第二回党大会が開かれました。
 微:ああ、福島瑞穂臭さが漂い始めた・・・。
 苦:結局、ボリシェヴィキとメンシェヴィキに分裂します。「イスクラ」幹部6名のうち、レーニン以外の5名はメンシェヴィキに行ったので、レーニンはボリシェヴィキで無双状態です。
 微:戦隊チーム組むには一人多いもんな。まあ、レーニンも途中出場だからぴったりか。
 苦:無視ね。1914年に始まった第一次世界大戦については、レーニンはこれを帝国主義戦争と規定し、交戦国のいずれも支持すべきでないと主張しました。
 微:ドイツ社会民主党(SPD)が「祖国防衛」に足下を掬われたことを考えると妥当だな。
 苦:第二インターナショナルに参加していた各国の社会主義政党とは逆に、レーニンは革命を容易にするために自国政府の敗北を推進しようとしたわけです。
 微:マルクスは内部解体説、レーニンが共倒れ説=連鎖倒産説だったよな。
 苦:「帝国主義戦争を内乱へ転化せよ」です。そして1916年の『帝国主義論』で、資本主義は独占段階へ進んだこと、それが列強諸国による植民地の奪い合い激化の原因であることを指摘します。
 微:ロシアは16世紀から帝国主義じゃないのか? シビル=ハン国併合からずっと。
 苦:それは帝国化です。「ある意味では、帝国主義は資本主義から社会主義への過渡的な一段階である。資本主義は死滅しつつあるが、死滅し去ったのではない」とも言ってます。
 微:お前、いつ北朝鮮の金日成大学に留学したんだ? 社会主義用語ペラペラじゃねえか。
 苦:1917年に三月革命が勃発すると、レーニンらはドイツ政府が用意した封印列車でペトログラードに送り返されます。帰国後、「四月テーゼ」で「すべての権力をソヴィエトへ」と訴えます。
 微:アマゾンの「置き配」だな。しかもプライムで。
 苦:しかし、臨時政府の弾圧が強まったため、一旦はフィンランドへ逃れますが、8月に右派のコルニーロフ将軍の反革命反乱が起こるとレーニンたちは臨時政府を支援しました。
 微:三つ巴だと呉と蜀の同盟もあり得るな。
 苦:反革命との闘争を通じてボリシェヴィキが労働者・兵士ソヴィエトの支持を伸ばします。レーニンだけが即時武装蜂起を主張し、大多数の慎重派を押し切って十月革命を実現させたのです。
 微:今なら「ロシアの橋下知事」って呼ばれるな。
 苦:民営化やダム建設とはレベルが違います。1917年11月7日、レーニンはペトログラード労働者・兵士代表ソヴィエト軍事革命委員会の名で以 下の声明を発表します。
  「臨時政府は打倒された。国家権力は、ペトログラード労働者・兵士代表ソヴィエトの機関−ペトログラードのプロレタリアートおよび守備隊の先頭に立つ軍事革命委員会−の手に移った」
 微:カッコいいな、日本でも一度こういう声明を聞きたいな。意味不明な答弁拒否に飽きたし。
 苦:翌日、全ロシア労働者・兵士代表ソヴィエト第2回大会において「平和に関する布告」を発表し、大戦の講和方式に無併合・無賠償の講和を提議します。
 微:コルゲン氏が読み上げたそうです。
 苦:言うと思った。同時に「土地に関する布告」で地主の土地没収を発表しました。臨時政府=人民委員会議が設立され、レーニンは人民委員会議議長に選ばれます。
 微:まだ理想が輝いていた時期だな。もうすぐ両手が血みどろになるけど。
 苦:一方、ソヴィエト政府は12月に秘密警察チェカを創設して反革命勢力に加え、投機・サボタージュを弾圧し始めます。翌年1月19日にはボリシェヴィキ自身が開催を求めていたはずの憲法制定会議を開会直後に武力解散させました。「目的によって手段は正当化される」と開き直って。
 微:オマエ、小林麻耶とか松野明美と同じ薬を注射されただろ? それだけしゃべれるなんて。
 苦:人聞きの悪いこと言わないように。「平和に関する布告」と同時にロシア関連のイギリスやフランスも関係した秘密条約も暴露したこともあって、すべての交戦国に講和を拒否されます。
 微:ヘンリー王子とメーガン妃もこれを参考にしたそうです。
 苦:それでもドイツとの講和交渉が1917年12月に始まります。ドイツは広大な領土割譲と多額の賠償金を要求し、交渉決裂後にはドイツ軍はロシア国内に侵入を始めました。
 微:その時に占領されたのがベラルーシとウクライナなんだよな。
 苦:ソヴィエト政府は穀倉地帯を失って都市労働者に供給する穀物不足に悩み、それが戦時共産主義につながります。ウラル以東に行って穀物や家畜の強制挑発です。
 微:共産党員が農村にライフル持っていって「隠している穀物を出せ!」強盗をやったんだよな。
 苦:最終的に不利な条件で1918年3月にブレスト・リトフスク条約に署名します。レーニンはローザ=ルクセンブルクらが呼応してドイツ革命を起こすまで、生き残ることを優先したわけです。
 微:君は生き延びることができるか、だな。
 苦:ガンダムネタも2022年にウクライナのジャベリンが対戦車戦で活躍してますから許します。国内の反革命勢力は十分残っているし、1918年から英米仏日の革命干渉戦争は始まるし。
 微:チェコ軍団救出名目ね。
 苦:1919年にはクン=ベラのハンガリー・ソヴィエト革命は崩壊するし、ローザ=ルクセンブルクたちのスパルタクス団の蜂起は鎮圧されてからが、本気でやばかったんです。
 微:その時、「無関心は権力者、統治者への静かな支持である」と嫌みを言ったんだな。
 苦:文脈が違います。 挫けず、1919年に国際共産主義革命組織=コミンテルンを結成し、は翌年の第二回大会では「帝国主義打倒は植民地解放から」と、アジアの民族運動に接近します。
 微:そして独立したらモンゴルみたいに「おいしくいただく」訳だな。
 苦:1922年にはベラ=ルーシ、ウクライナ、ザカフカースを誘ってソ連を結成します。
 微:火事場泥棒だな。単に食糧基地として併合しただけだろ。ザカフカースはバクー油田目的で。
 苦:干渉戦争や内戦により、ボリシェヴィキ政権は戦時共産主義を強いられます。内戦終了後、レーニンは新経済政策(ネップ)を打ち出したことになってますが、介入を諦めて放任したんです。
 微:「戦略なき革命運動はありえない」とかほざいていたのに、どの口がいうか。
 苦:ある意味、大阪維新なんですよ。幸か不幸か、ネップで経済が持ち直します。レーニンはこれを労農同盟の再建として解説する一方、ロシアの現状では資本主義も一歩前進だと主張しました。
 微:さすが「繰り返される虚構こそが、受け容れられる真実となる」とほざいただけはある。
 苦:激動の生涯を送ったレーニンも1923年3月の三度目の発作からは何もしゃべれない、ほとんど廃人状態に陥り、1924年1月21日に四度目の発作を起こし死去しました。
 微:まあ、国家が消滅するだの、人民は圧政から解放されるだの、夢というかウソばかり言ってから、黙るわな。しかし、口先三寸で世界を変えたのは凄い。
 苦:社会主義ソ連の現実を描いた映画『ドクトル・ジバゴ』、ジョン・リードの挫折を描いた『レッズ』、ポーランドの悲惨を描いた『大理石の男』は見て欲しいですね。
 微:オレは『007 ロシアより愛をこめて』だな。あの阿蘇山にスペクターの秘密基地があるという荒唐無稽さは、「堂々とつくウソはバレない」をよく現している。
 苦:安倍か橋下かレーニンか金正恩かわかんねよ!!(ペシッ!)  

(チャンチャン)

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