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思い出のいくら丼の記憶を塗り替えた。


 


少し時間が経ったが
Go toで両親が1泊旅行に行くのに
お相伴した。


 どうやら、伊東に行くらしい。


人生3度目の伊東。


 1度目は友人の別荘があるというので
そこに同級生たちと合宿に行った。


 2度目は当時付き合っていた
彼の家がそちらの方面だったので
その彼と2人で。


 そして3度目は両親と。


2度目の伊東で、
付き合っていた恋人との伊東で、





私は衝撃的な出会いをした。






 「伊豆高原ビール 
伊東マリンタウン店」で


出会ってしまったのだ。




 「漁師の漬け丼膳」に。


 
 テラス席に案内されて、
彼は別のものを頼んで、
わたしは

いっくら!いっくら!!
と言いながら


他の、
いくらだけみたいな丼と悩んだ末に

これを注文した。


これが当時の写真。




ボリューミー、
とはこういうことを
いうのだよ。




途中でどんぶりに入れられる温玉と
お味噌汁付きで2380円+税だった。





 今回の両親との旅で
それを思い出して

「そっか、彼、
こんな大金出してくれてたのか」

と少し自分を反省した。






この、漁師の漬け丼は、
2019年に食べたご飯の
ナンバー1! ベスト! トップ!!!

だった。




ほんとに美味しかった!


という記憶が焼き付いていた。






 具沢山で、上から食べるもんだから
いくらやサーモンばかりなくなって


 最後の何口かで
お腹いっぱいになって
彼に食べてもらったときには、

ご飯とマグロしか残っておらず、


「具ないじゃん!ご飯だけじゃん」


と彼に言われた気がする。

上手に食べられなかった


 あの日は、風は強かったけど
天気の良い日でテラス席で
海をのぞみながらランチに
彼と食べた。




 ついてる海草のお味噌汁も
とっても美味しかった。


 とにかくあれが2019年ベスト1

脳裏にあのどんぶりの光景が
焼き付いていた。

彼との思い出の味だったのが、
一層美味しかったな、という記憶に
させているのかもしれない。

そして3度目の伊東。


両親といった。

その帰り道、夜ご飯何食べる?

という両親に思わずわたしは

「伊豆高原ビールの丼が
美味しかったよ」

と口走ってしまった。


 私がそういうもんだから
近くの伊豆高原ビールのお店を探すと


本店がほんのちょっと先にある。

早速向かうことになった。

伊豆高原ビール本店には
中村倫也さん、松坂桃李さん、アンジャッシュの児島さんの御三方のサインや


ダチョウ倶楽部さん、故・志村けんさん
など、

芸能人の方のサインが店頭にたくさん
飾ってあった。

遅めのお昼ご飯かつ早い夜ご飯に

15:30頃お店について
窓際に近い席を案内された。


父はとっても大きなフライの定食を、
母は私と同じものを頼んで


わたしは、結局、

「あの日彼と食べた
漁師の漬け丼膳」を注文し、

その他に、おすすめという
漁師のあら汁を母が注文した。





 漁師のあら汁が早速到着して
火をつけてもらってぐつぐつとさせる。

 いい香りだね、なんていって
楽しめたのは、

 彼といったお店とは
別店舗だったからなのかもしれない。


魚の旨味がぎょぎょっと
凝縮されて、とろっとふわっと
美味しかった。


あら汁を食べている間に、
あっという間に、


「漁師の漬け丼」はやってきた。

  きた瞬間、
胸がきゅっとした。


 もう時間も随分と経って、
わたしの気持ちも整理されたけれど


まだ彼との恋愛を完全に過去には
できていなかった。


 それを、
漬け丼膳に突きつけられた。


いや、実を言うと
行き帰りの車の中でも


 「ここ、彼と車で通ったな」とか

「この道通ってるとき、
あの曲聴いたな」とか


 そんなことを少しは思い出しては
いたのだけれど


 何せ今回の旅行でかなり疲れが
きていたのかうたた寝気味だったので、


 はっきりと「あの時のこと」

が脳裏に浮かんだのは漬け丼膳だった。

私のもとへと運ばれてきた漬け丼を
見るや否や、


一瞬



「宝石箱やぁ〜!」




の言葉が駆けてから

脳内で、

「あの日の彼との記憶」が

ざぁぁぁぁと流れた。


 記録用に数枚写真を撮って
お味噌汁に手をつける。

 「あたたか〜い」


 お味噌汁が好き、というように、
特質してお味噌汁に好き嫌いもないのだが


どうしてお店で食べるお味噌汁って

とっても美味しいんだろう…


わたしは、あれが好きだ。

あの「定食で出てくるお味噌汁」は

 これから口にするメインを、

きちんと向き合うための心の準備、

といおうか、


お店についてまだそわそわしている、
落ち着かない心を一気に宥めてくれる。


ひと口お味噌汁を飲んだわたしは、

ついに丼と向き合い始めた。


目の前と隣には両親、


お店は室内で別店舗、


あの時とは全く違う自分のはずなのに


それをレンゲに乗せた瞬間、

私の目の前には一気に


「彼と食べた時の風景」というものが

広がった。





いくらがぷちっとはじけ、

弾力あるイカがムチムチと舌に乗り、
脂の乗ったマグロとサーモンが
とろっととろけだす。


目の前には両親、

彼の顔がどんなだったか、
目の前から薄れて消えていく。

 彼との思い出の味は、
自分で上書きした。



あの時、上から上から食べて、
具ばっかり無くしたわたしは、
今回は上手に

ご飯といくらとサーモンとアジと
まぐろとイカをバランスよく
レンゲに乗せて
食べ進める。


そして、少しだけサーモンとまぐろを
残した状態で、





〆の温玉、Ride On!!!!


 

これがまた最高に美味しいんだよね、


上手に卵の殻を割って乗せ、

レンゲでゆっくり卵を崩す。

とろん、と気怠げに黄身が流れ出る。

まぐろとサーモンの入ったままの丼は

一気に卵かけご飯に。

 濃厚な味の黄身と、

ほかほかの美味しい白飯

 脂の乗ったサーモン、

 ぷりぷりのいか

 真ん中に颯爽と現れるまぐろ。

 味の奥の方にわさび。

美味しい…

美味しすぎる

こんなに美味しかったんだっけ!?

そりゃ昨年のご飯No.1だわ!!

美味しさに顔がゆるむ。

あの時、食べきれなかった丼を

今回はペロリと完食した。

目の前には両親、

彼はいない。

わたしは思い出の味を、

アップデートしたんだ。

丼を食べた後の温かいお茶をすすりながら

急に寂しくなってきた。

味はあの時と同じように、美味しかった。

私は上手に1人で丼を食べきった。

彼と丼を食べてから、
だいたい1年ちょっと。

ちっともあの恋から

進めていないと思っていたのに、

私はずいぶんと、変わっていた。

#思い出の味

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