扉の先
ニュースで痛ましい事件が起こる度に思う
何故自分ではないのか
事件や事故、災害に巻き込まれて生き残ったとき
サバイバーズギルドになる自信がある
「人に迷惑をかけるな」
その言葉を胸にかがけていたはずが
いつの間にか迷惑しかかけていない
そんな自分に愛想をつかし、死を願うが
自殺など迷惑などという言葉ですまされない
せめて人様の役に立ち、死ねたなら
なんて身勝手な考えか
そんなことを考えている時点で
明日も明後日も一年後もきっと生きている
世の中はそんなに甘くない
「普通」になるまでには
無数の扉を開けなくてはならない
一つ一つ開けていけば
壊れたものは戻らないが
欲しいものが手に入るかもしれない
良い加減死ぬことを諦めて
「普通」の人にとって
鍵など必要のない目の前の扉を開けるため
鍵を手に入れよう
「普通」と「死」
どちらが先に訪れるか
「普通」になれたとき
欲しいものを手に入れたとき
これからだと思えたとき
逝くのかもしれない
世の中はそんなに甘くないのだから
私は笑う
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