コロナ覚書

コロナ禍になって早2年半ほど過ぎた。
今年8月の下旬(正確に言うと中旬の終わり)、僕は新型コロナウイルスに感染した。その時のことを書いておこうと思って自宅療養中に書きだしてその後放置してたんだけど、何かの参考になるかもしれないので公開します。


0日目(20(土))
朝からバタバタと自転車で出勤。この時期はいつも朝から汗だくである。職場ではほぼ1人で仕事。他部署のパートさんも休み。

暑いので休みながら作業してたが、16時頃から異様な頭と体の熱さと違和感。この夏2度ほど軽い熱中症になったので、「またか、嫌だな~」と思いつつ何とか定時まで仕事をして退社。
よく行くネットカフェでおにぎり食べてコンポタ、アクエリアスなど飲み休む。シャワーも浴びたが体調あまり改善せず。夜中になって出たら雨が降っていた。
深夜スーパーで買い物する。あまり食欲がなく、魚肉ソーセージとニンニクの漬物と飲み物を買う。飲む気がしなかったので酒類は買わず炭酸水を買った。

レインポンチョ着て自転車こいでクタクタで帰宅。熱を測ると39℃ほどあったと思う。いやな予感がしたけど、ひとまず服を脱いでクーラー全開にして体を冷やす。震えもあったけど熱のせいと思った。汗拭きシートで顔と体を拭く。そしてタオルを水で濡らし頭にのせる。少し食べて解熱剤飲んで寝た。

1日目(21(日))
夜中も度々目が覚めて熱を測ると38℃とか。
飲み物を飲みつつ、ネットで熱中症の事など調べる。
部屋の外に出る時は一応マスクはした。家族には熱がある事を伝え、たぶん熱中症だと言った。実際この頃まで風邪症状は特になく、熱の他には鼻水が出るくらいで咳もなく喉も痛くなかった。

たぶん熱中症だと言ったのには、そう信じたかった気持ちもある。一週間後に行きたいライブがあったのだ。もしコロナだとしたら、行けなくなる。熱中症もしくはただの風邪であってくれ!という気持ちだった。
 
軽い食事の後、風邪薬を飲み、少し寝て、熱を測る。38.5〜37.5℃の間を行ったり来たりしている。38℃を超えたら家に余っていたカロナールを飲んでまた寝る。そんな感じで過ごした。家族には「もう明日は休んだら?」と言われる。自分でも、ちょっと明日仕事はしんどいな〜と思い休むことにする。


2日目(22(月))

朝起きて、会社に熱中症で熱が下がらないので休みたい、と電話。今の職場は、作業している部屋に冷房がない。屋外よりマシかもしれないが、屋内なので風もあまり通らない、蒸し風呂のような環境である。そんな中でこの夏もずっと働いてきた。ちょっと休ませてくれてもいいだろうと言う気持ちもあった。

平日の昼間家にいるのも不思議な気分だが、熱はまだ37.5℃ほどあったので寝たり起きたりしていた。その後、風邪症状が結構出てきた。咳が出てやがて痰の絡んだ咳になった。喉は少し痛いくらいだが、関節もあちこち痛む。
これは、ちょっとヤバいな。コロナなのか?…
ちょうどお盆前ぐらいに、よく連絡を取り合ってる友人がコロナになり、その話を聞いていた。熱咳痰関節痛吐き気腹痛下痢などなどかなりしんどそうだったので、これ以上ひどくなったらいやだな、検査を受けた方がいいかもしれないと思った。

3日目(23(火))
朝、熱を測ると37.8℃。やはり検査を受けよう。
会社に電話して今日も休んで検査を受けると言った。結果が分かれば報告すると。

友人や近所に住む姉にも「コロナかもしれないから検査を受ける」と伝える。姉は楽観的で、何日か休めば大丈夫じゃない?と言う感じであった。
しかしこっちは高齢の両親と同居している。曖昧なままだと職場にも迷惑がかかる。やはり検査を受けようと決意を新たにする。

しかし、今日の予約は埋まっているとか数日後なら空いてる、とかで2件不発に終わる。
医療センターに相談してみると、抗原検査キットを自分で買って検査する方法もあると言われたが、既に感染の可能性がある場合はそれを買いに行くこともできない…。じゃ、どうしろと?症状のない時に買って備えておけ、とそういう事らしい。
それって本来だったら国が全国民に配るべきじゃねーの?と思った。

けれどもめげずに3件目にかけると、一つ空きがありますとの事。そこを予約して検査を受けた。
接触を最小限にするために電話で病状を詳細に聞かれ、検査の受付もなく、病院の駐輪場で電話をかけてください、との事だった。駐輪場に着いて電話をかけると、そばのプレハブ小屋から防護服を着た看護師さんが出てきて、中へと案内された。
中に入ってからも、接触を最小限にして対応された。こちらからは見えない所にいる医師に電話で問診を受けた。こんなこと言うのもなんだけど、一瞬自分がバイ菌になったような気持ちにもなった。けど、無理もない。医師や看護師は常に感染の危機にあるのだから。

そしてPCR検査。唾液をカップに集めるというものではなく、大きな綿棒?を口に含み唾液を吸わせるという簡易的なものだった。もう既に症状がある場合はこんな感じなのかもしれない。それでも僕は、風邪であってくれ…と祈っていた。
検査が終わり、詳細などは後日書類を送ります。結果は早ければ明日わかります、陽性の場合は保健所から連絡が行きます、との事だった。ものの10分で全てが終わった。聞いてたほど待たされたりしなかったのはラッキーだったが、医療関係の方々は毎日こういう状況なんだろうなあ、と頭が下がる思いだった。
2日ぶりに外に出たが解放感はあまりなく、買い物も自販機で飲み物を買うにとどめた。


4日目(24日)

早ければこの日連絡があるとの事だったので、朝から少し緊張しつつ過ごす。
昼前に病院から電話があった。
結果は陽性だった。
なんかがっかりしたようなほっとしたような気持ちだった。
その後保健所から連絡があり、発症日(20日)を0日目として10日目(30日)まで自宅療養してください、と。

陽性の「陽」という漢字は、
「太陽」「陽気」など明るいプラスのイメージがある。
陰性の「陰」という漢字は
「日陰」「陰気」など暗いマイナスのイメージがある。
が、こと検査結果に関しては逆になる。「陽」のつくり(漢字の右側)の部分が、何とも気持ち悪く見えてくる。

職場には夕方電話して、「陽性だったのですみませんが30日まで休みます」と報告。「わかりました、ゆっくり休んでください」と社長。

職場によっては罵倒されたりするらしいというのをネット記事で見たが、我が職場はまだまともでよかった。ただ、この期間の扱いは通常の欠勤扱いになると言われた。10年ほど前に肺炎で休んだ時は傷病手当が下りたのだが、会社の方針なのか社会保険の問題なのか…。生命保険などに加入していれば、そこからお金が出るらしいのだが。

そして、家族や友人やツイッターで陽性を報告。みんな心配してお見舞いの言葉をかけてくれた。本当にありがたかった。
僕の場合、直接迷惑をかけるのは会社や家族といったごく限られた人達だけど、普段仕事なんかで関わっている人が多ければ多いほどその数が多くなるんだろうな。

8月28日にチケットを取っていたライブには行けなくなってしまった。うちの会社は決算が8月、年度初めが9月になっていて8月中に使わないと年次有給休暇がリセットされてしまう(社則…)。2日残っていた有休を使ってライブを見に行くついでにちょっと旅行でもしようかと思っていた僕の計画は、プランを練る前に崩れてしまった。そして残った2日の有給休暇は療養期間10日の内の2日に使われた。




これ以降は、ひたすら家で過ごす日々だった。極力部屋から出ず、用意してもらった食事や飲み物を摂取する。コロナ禍になってから5キロ近く増えた体重は元に戻っていた。食欲の減少が大きいけれど、筋肉も少し落ちたかもしれない。時々自販機にビール代わりの炭酸飲料を買いに自転車に乗ったりしたけど、やはりちょっと疲れる。
家族に感染させてはいけないのでネットで色々調べていたら、食器は使い捨ての物にするとか、風呂やシャワーは最後に入り換気をするとか、共用する部分・ドアノブなどはアルコールで消毒するなど書いてあった。
とはいえ普段使い捨ての食器(紙皿紙コップなど)は使わないし、家の中にもほとんどない。抗原検査キットもそうだが、感染してから買いにいくことはできないから、事前に用意しておかないといけない。
これまでは「感染しないように」という対策はしてきたものの、「感染した時」の備えはしていなかったな、ということに気付かされた。

飲む食べる寝るトイレ風呂以外は、ビートルズの『ゲットバック』を観たり、黒沢秀樹さんのバースデーライブ(奇しくも8月28日)を配信で観たり、noteを更新したり(サマソニの思い出3部作)とたっぷりある時間をなるべく有効に使おうとした。
自宅療養の終盤には、飲む気が起きなかったコーヒーも口にしたし、放置していた破れた網戸の張替えや部屋の掃除、感染後の汗がしみこんでいるであろう布団のシーツなども洗濯した。


そして、10日間の自宅療養を終えて8月31日に職場に復帰した。体力的に不安があったので自転車通勤はやめて、バスと電車を何本も乗り継いで通勤した。体力の消耗はかなり防げたし仕事に使う体力を温存できたので、しばらくはこれで行く事にした。それでもやはり息が切れやすかったりして、休憩を多めに取りながら働いた。
バスで帰るので体力を使わなくて良く、ファストフード店やネットカフェに入って休憩する必要もなくなった。とはいえ自転車で通うのに比べて通勤にお金も時間もかかるし、途中から駅までは自転車で行くようにしたものの駐輪場代もかかる。
そして電車・バス通勤も2ヶ月経った頃、歯医者に行く為早退せねばならず、そのタイミングで自転車通勤を復活した。ようやくほぼ元の生活に戻った。


療養生活が終わるか終わらないかという頃、自宅療養(濃厚接触者は自宅待機)の期間が短縮されるというような話が出てきた。なんでも10日間が7日間になる?とか。
もしも僕の自宅療養が始まる前にこの変更がなされていたら、ギリギリライブが観に行けたのにな…などと考えたりした。
昨年夏の第5波で感染者が激増していたさなかにも緊急事態宣言を出しながらオリンピックが強行されたり、その時々でコロコロ変わる政策に我々は振り回されてきた。
現役の医師すらもよくわかってないという新型のウイルスに関して、専門家でもないコメンテーターがテレビでコメントしていたりと混迷を極めている。
未だに収束が見えない。


そして多くの人がそうであるように、僕の場合も感染経路がはっきりしない。お盆の間もほぼ家にいたし、一日だけ家族で出かけたのだけど他の家族は何も変化がないし。
一つ考えられるのは夏場にもよく利用していたネットカフェのシャワーかなと思う。店内でマスクを着けていたとしても、マスクしたままシャワーを浴びる人はいないし。
あとは、夏場の疲れが溜まって体力や免疫力が落ちていたのだと思う。そこにウイルスが侵入してきたのだろう。
仕事も大事だけど休むことはもっと大事だなと痛感してからは、仕事が途中であってもこまめに休憩することにしている。なかなかそうできない環境の人もいると思うけれど、「もし自分が倒れても誰も責任をとってくれない」と考えて、頑張りすぎないでほしいと思う。
皆さん、ぼちぼちおきばりやす!


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