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ひなくりにはドラマがある〜日向坂46の挑戦と成長

毎年恒例となった日向坂46のクリスマスライブが今年も「ひなくり2021」として12月24日・25日に開催されました!
今年は幕張メッセ9〜11ホールで開催され、両日とも配信も行われましたが、今回はそのうち自分が現地で参加した2日目の感想を書いていきます。

セットリスト

世界観よりもライブ感を優先

例年のひなくりを振り返ると2019年は空のサンタクロース、2020年はおばけホテルといったテーマがあり、曲の合間にはストーリーパートが挟まれていました。メンバーの衣装やステージも含めてファンタジーな世界観に溢れており、ライブというよりはひとつのエンターテインメントショーといった感じの雰囲気がひなくりの特徴でもありました。

しかし今年のひなくりはそれとは一転し、ストーリーパートなし、ステージも例年と比べるとシンプルな造りで曲とパフォーマンスだけで勝負する硬派なライブとなっていました。

自分の中ではひなくり=ストーリーライブというイメージで、今回もそれに期待していた部分もあったのでちょっと予想外ではありました。加えて声出しが禁止されている今の状況下ではストーリーライブの方が相性がいいと思っていたのでなおさらこのタイミングでの方向転換は意外に感じました。

一方で昨年や一昨年のひなくりを見て、世界観重視のストーリーライブではMCが入れられず煽りもしにくいことから、ライブ感という点においては通常のライブよりも弱く感じてしまう所はありました。また、曲間にストーリーが入ることでどうしてもテンポが悪く間延びした印象を与えてしまうことも弱点であると感じていました。

そういった点では今回ストーリーを廃止したことでこれまでのひなくりの中でも一番ライブ感が感じられたのはよかったと思います。ただ、幕張メッセの音響があまり良くなく煽りが聞き取りにくかったのは少し残念だったポイントでもあります。

今回このような形となったのはようやく100%の収容が可能になったこともあり、より会場のおひさまと一体感を感じられるようにという思いが大きかったのではないでしょうか。
またリアルな話でいくと、スケジュールの都合でストーリーパートを入れられるほどリハーサルの時間がなかったということも考えられますし、ステージに関しては昨年までのような凝ったセットにはかなりお金がかかっていて採算性が取れていなかったのではないかということも考えられます。

昨年無観客配信ライブとして行われた「ひなくり2020」でストーリーライブの完成形を見てしまった気もするので、再び有観客でやれるようになった今の状況下では、もしかしたらあのようなライブはもうやらないのかもしれません。
しかし自分はどちらのスタイルも好きなので、ストーリーライブもいつかまたやってほしいと思います。そればっかりだと嫌ですが、年に1回くらいはああいうライブも見たいです。

今年もあった新しい仕掛け

個人的にひなくりとは日向坂のライブの中でも新しい仕掛けを試す実験の場のようなものではないかと思っています。

一昨年のひなくり2019では幕張メッセの弱点を逆手にとった柱ステージが話題になりました。昨年のひなくり2020は無観客であることを活かして本来は客席となる場所や通常は見えないステージの下部も使った大胆なステージ構成となっていました。

それに続く今年は会場の外周を巡る巨大な汽車フロートが初登場。これまでのトロッコとは異なりメンバー全員が同時に乗って移動できることが特徴です。
さながらテーマパークのパレードのような雰囲気で、全体的にシンプルな構成となった今回のひなくりの中でも最もファンタジーさを感じられる要素でもありました。

幕張メッセの展示ホールはオールフラットで視認性が悪いことが弱点であり、正直ライブ会場としてはあまり良いとは言えない場所です。
しかしそのような場所においても誰一人見捨てることなく、全員が満足できるように毎回工夫を凝らしてくれるその姿勢に感謝の気持ちでいっぱいです。

自分はC14ブロックに居たのですが、1期生曲の「好きということは...」ではかとしが目の前を通り、その美貌に圧倒されました。2期生曲の「世界にはThank you!が溢れている」では曲中に一時停止しひなちゃんやおみくを目の前で見ることができ、3期生曲の「この夏をジャムにしよう」では柱ステージで踊るひなのやみくにんを肉眼でしっかりと見られました。
ひとつ言うなら今回柱ステージがここくらいでしか活用されていなかったのが少し残念ではあります。

そして何より「JOYFUL LOVE」ではメンバー全員が1人ずつトロッコに乗りペンライトによって虹の海と化した客席を渡りました。
ひなくり2019の時もあった演出ですが、その時よりもブロックの幅が狭まっているように感じ、メンバーに挟まれている感覚が非常に強かったです。横一列に並んだメンバーがどんどんと前から近づいてくる様子には思わず圧倒され、鳥肌が立ってしまいました。
自分の席は左ににぶちゃん、右におみくが居て本当にどっちを見たらいいかわからなくなってしまいました(笑)
思い違いかもしれませんがおみくがこっちを見てくれてめちゃくちゃ嬉しかったです。

おひさまの団結力を感じたペンライトの海

今回自分の中で最も印象に残っているのが「思いがけないダブルレインボー」です。かねてより日向坂では「JOYFUL LOVE」の時にペンライトの色をブロックごとに変えて虹を作ることが定番となっていましたが、この曲では曲名にちなんで会場に2つの虹がかかりました。
これについては反対する人もいたそうですが、個人的には曲名が発表された時からやるしかないだろうと思っていたので、無事成功できてよかったです。
虹色自体は「JOYFUL LOVE」で何度も見ていますが、今回の“ダブルレインボー”はそれを超える本当に綺麗な光景で思わず感動してしまいました。オールフラットの幕張メッセでは周りの様子がどうなっているかわかりづらいので、これが違う会場だったらもっと感動していたと思います。

そして「My fans」ではメンバーが前後2チームに分かれ、メインステージでは炎をモチーフにした赤色の衣装を着たメンバーが、そしてバックステージでは水がモチーフの青色の衣装に身をまとったメンバーがそれぞれパフォーマンスを行いました。
おひさまのペンライトも前後で赤と青に分かれていてとても綺麗な光景でした。

アンコールのMCではかめはめ波をやりたいというにぶちゃんの突然の提案に会場中がにぶちゃんのペンライトカラーであるオレンジに染まり、見事にウェーブを成功させました。このようなおひさまの団結力が感じられるのも有観客ライブの醍醐味です。この2年でその状況が当たり前でないこともわかり、開催できることに対するありがたみを強く感じています。

定番曲をあえて外した“強気セトリ”

ここからは少し駆け足にはなりますが、今回のセットリストを辿っていきます。

1曲目を飾ったのは最新シングルの収録曲にして早くも人気の高い「アディショナルタイム」
続く2曲目の「膨大な夢に押し潰されて」ではプレゼントボックスを模した四角い光の箱の中に入ってパフォーマンスを披露。

そこから「ソンナコトナイヨ」「アザトカワイイ」と続き、期別曲ゾーンに突入。
1期生の「好きということは...」ではタオルを振り回し会場のボルテージは一気に上昇。
それに続く2期生の「世界にはThank you!が溢れている」、3期生の「この夏をジャムにしよう」でもトロッコや柱ステージをふんだんに使い、おひさまの近くでパフォーマンスを行いました。

かとしのソロ曲「嘆きのDelete」ではメインステージを独占し圧巻の歌を響かせました。
今はひなくりには欠かせない曲となった「まさか 偶然...」は2番の“あれから一年か”という歌詞がこのちゃんの復帰からちょうど1年となるこのタイミングに重なりとても感動的な雰囲気に包まれました。

そこから「こんなに好きになっちゃっていいの?」「川は流れる」「ホントの時間」と怒涛の3rd曲ラッシュ。個人的には日向坂のライブに行き始めたのがこの時期だったのでとても嬉しい気持ちになりました。3rdシングルの曲はひなくりの雰囲気に合う曲が多いと思います。

「ホントの時間」「何度でも何度でも」の2曲では汽車フロートに乗って会場を一周。
続く「日向坂」では半分のメンバーがバックステージに残り、もう半分のメンバーが再び汽車フロートに乗ってメインステージへと移動しました。この曲はライブ終盤にやるイメージだったので、中盤に入れてきたのには驚きました。

「My fans」は先述した通り赤と青の2チームに分かれてパフォーマンスを行いました。
その次の「キツネ」では再び全メンバーがメインステージに戻り、全力パフォーマンス。
「ってか」ではもはや余裕すら見られる圧巻のダンスを魅せ、ライブ定番曲の「誰よりも高く跳べ!2020」ではこの日会場にオードリー春日さんが来ていたことからイントロでカスカスダンスを踊っていました。誰跳べはここ最近移動しながらのパフォーマンスが多いイメージだったので、メインステージでしっかり振り付けを見るのは久しぶりだったように思います。
そこから「思いがけないダブルレインボー」「JOYFUL LOVE」と続き、本編は終了。

アンコールは「君しか勝たん」で開幕。
MCでこの日のまとめとお知らせを行い、メンバーの想いが詰まった「約束の卵 2020」でライブは幕を閉じました。

このように振り返ると今回のセットリストには「キュン」「ドレミソラシド」「青春の馬」「NO WAR in the Future 2020」といったライブ定番曲が入っておらず、なかなかに強気なセットリストだったと思います。
デビュー後に発売したものだけでもシングル6枚、アルバム1枚とだいぶ曲数も増えてきましたし、その分削られる曲があるのも当然のことです。
しかしそれでもデビュー曲である「キュン」と、メンバー・おひさま双方から人気が高く日向坂にとって特別な曲でもある「青春の馬」がセットリストから外されたことは個人的にかなりの衝撃を受けました。

これらの曲を外してもおひさまを満足させられるライブが作れるというチーム日向坂の気概を感じられました。
また、先日開催された「冬のユニット祭り」ではカバー曲中心のセットリストで持ち曲から唯一「キュン」が披露されましたが、もしかしたらこれもひなくりのセットリストと関係していたのかもしれません。

スティックバルーン不要説?

今回も公演中の声出しは禁止ということで代わりにスティックバルーンが用意されました。最初のうちは一応使っていたのですが、結局ペンライトを振っていた方が落ち着くということもありだんだん使わなくなってしまいました。周りを見ても中盤くらいからスティックバルーンを叩いている人はわずかになっており、ちゃんとした出番はアンコールの「君しか勝たん」くらいだったんじゃないかと思います。
先月乃木坂の東京ドーム公演に参加した時も同じような感じで、「Sing Out!」以外の曲ではほとんどスティックバルーンを使っていませんでした。

MCなどの際もスティックバルーンを連打するより拍手の方が気持ちが乗る感じがしますし、しかたんのような曲の時も手拍子でなんとかなる感じがするので、スティックバルーンの在り方については今後検討の余地があるような気がしました。
今の感覚だと自分にとってスティックバルーンはライブのお土産のようなものになってきています。持ち帰らない人もいますが、誰でも買えるグッズとは異なりスティックバルーンは現地参戦した人しか貰えないアイテムなので、毎回ありがたく持ち帰っています。

ついに決まった約束の彼の地

アンコールのMCでは来年3月30・31日に日向坂のデビュー3周年をお祝いするメモリアルライブ「3回目のひな誕祭」が開催されることが発表。
そして続けてその会場が東京ドームであることもメンバーの口から直接発表されました。
日向坂にとって東京ドームでのライブはひらがなけやき時代から掲げていた大きな目標でした。
一昨年のひなくり2019では翌年のひなくり2020を東京ドームで開催することがメンバーにもサプライズで発表。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響で東京ドーム公演は延期となり、ひなくり2020は無観客配信ライブとして開催されました。
それからさらに1年が経ち、今年もひなくりの東京ドーム開催は見送り。代わりに幕張メッセで開催されることになったわけですが、今回その会場で念願の東京ドーム公演を発表することになりました。

前回はメンバーもその場で知った東京ドーム公演ですが、今回はメンバー自身の口からおひさまに報告。本当に「やっと開催できる」という思いがメンバーの言葉や表情からも強く感じ取ることができましたし、おひさまもきっと同じ気持ちだったと思います。

個人的な話にはなってしまいますが、一昨年のひなくり2019は1日目にのみ参加しており、2日目にあった東京ドーム公演の発表は生で見ることができませんでした。
あの感動の光景を見られなかったことが未だにずっと心残りだったので、今回改めて東京ドーム公演が開催できるということをメンバーの口から直接聞けて本当に嬉しかったです。

キャプテンのMCからは東京ドーム公演に対する強い決意が伝わりました。もし予定通り昨年に東京ドーム公演を開催していたら、きっとその先のことなんか考えられないくらいがむしゃらに突き進んでいたことと思います。
しかしあれから2年が経った今、日向坂はグループとしても個人としてもたくさんの経験を積み、大きな成長を遂げました。

きっとメンバーの頭の中ではすでに東京ドームのさらにその先のことまで見据えているのではないかと思います。それが果たしてグループとしての目標か、それとも個人としての目標か、そのためにはグループを離れなければいけないのか。
さすがにそこまでのことはわかりませんが、少なくとも、東京ドームは決してゴールではないということがキャプテンの言葉やそれを聞くメンバーの表情からひしひしと伝わってきた感じがします。

正直今までは東京ドームが終わったらメンバーみんな燃え尽き症候群になってしまうのではないかと心配していましたが、この日のメンバーの様子を見ていたらそんな心配は不要だと感じました。
この日の彼女達の覚悟と決意に満ちた表情はとても頼もしく、この2年間でいかに様々なことを経験し大きく成長してきたかが表れていました。

3月のひな誕祭に向けて我々おひさまができることは、適切な感染症対策を続けて東京ドーム公演の開催を無事に迎えられるようにすること、そして約束の彼の地でメンバーに最高の景色を見せてあげることだと思います。

さらにその先の未来、日向坂は一体どんな素敵な景色を見せてくれるんだろうという気持ちでとてもワクワクしています。

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