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「明日のたりないふたり」の明日

南海キャンディーズ山里亮太さんとオードリー若林正恭さんによるユニット「たりないふたり」。
今年の5月に行われた無観客配信公演「明日のたりないふたり」にてユニットは解散になりました。

私は当日この模様を見てふたりの生き様に大きく感銘を受け号泣してしまいました。

そして12月12日、この公演の模様に舞台裏を収めた約15分の映像を加えた「明日のたりないふたり 特別版」が全国の映画館で上映されました。

あの頃画面の前に居た“明日のたりないふたり”がこの日は全国の劇場に集いました。

内容こそ当時と同じですが、周りの笑い声が加わることで前回とはひと味違う楽しみがありました。
他人と同じ時間、同じ笑い、同じ感動を共有するというライブの醍醐味を改めて感じることができました。
一人で観るのもいいですが、やっぱり漫才は客の笑い声があって完成するものだと今回のライブビューイングを見て思いました。

たりないふたりは5月で完結したものだと思っていましたが、今回の特別版をもって本当の完結を迎えたのだと感じました。一度観た公演を改めてお金を払ってわざわざ映画館まで観に行った甲斐があったと本当に思います。

今回の「明日のたりないふたり 特別版」では本編の漫才に加えて約15分の舞台裏映像が追加されました。
そこでは公演前の楽屋での様子が収められており、やっぱりたりない山里さんの様子を観て会場中が笑いに包まれました。
それと同時に何年経っても本当に変わらない山里さんに安心感も覚えました。さすがに少し引いた部分もありますが...(笑)

そして公演後に過換気症候群によって倒れた若林さんの様子も今回初めて公開されました。
ラジオでこの話は聴いていましたが、実際に映像で見ると想像以上に緊迫した空気でした。

不謹慎な言い方にはなってしまいますが、もしあのまま若林さんが亡くなっていたらこのドキュメンタリーはさらに伝説的な映像になっていたと思います。
まさに命を懸けた漫才を披露し、その後舞台で倒れるなんて死に方としてはかっこよすぎます。
駆け寄るCreepy Nutsに向かって横たわりながらも笑顔で声をかける姿はもしその場に居たら大号泣していただろうなと感じました。

でもあれで死なれたらこっちはとても受け入れきれません。
若林さんにはこれからもまだまだ明日のたりないふたりに背中を見せていってほしいです。なので若林さんが何事もなく無事でいてくれて本当によかったです。

明日のたりないふたりの公演後、オードリーのオールナイトニッポンにて春日さんがこの公演を観ていなかったというくだりがありました。春日さんといえば時折斜に構える態度を取ることをラジオでも度々イジられ、「ハスってる」という言葉も生まれるほどです。
過去を振り返ればこちらもラジオでお馴染みになっている企業の社長からモンクレールのダウンを貰ったエピソードやプライベートでトゥースカップというゴルフ大会を開くなど、春日さんの生活はたりないふたりのそれとは全く反対のように感じます。

しかし後の放送で実は春日さんも明日のたりないふたりを観ていてあえて観ていない態度をとっていたという事実が明らかになりました。
相方に自分の想いを素直に伝えられないという春日さんのたりない部分が表れていた瞬間ではないかと思います。
この時に人間誰しもがたりない部分があるのだということを感じました。

今回のライブの最後にも披露されたCreepy Nutsの「たりないふたり」。
この曲は元々たりないふたりに感銘を受けた二人が番組側の許可を得ずに勝手に作ったリスペクトソングでした。

後にこの曲を聴いた番組スタッフから正式にテーマソングのオファーがあり2019年の「さよなら たりないふたり」では歌詞を変えた「たりないふたり さよならver」が制作されました。

プライベートではDJ松永さんが若林さんと親交を深め、2018年から2019年にかけて開催された「オードリーのオールナイトニッポン 10周年全国ツアー」ではCreepy Nutsがテーマソングを提供することになりました。
その楽曲こそが今やCreepy Nutsの代表曲のひとつでもある「よふかしのうた」。

この楽曲のリリース後同じタイトルの漫画が週刊少年サンデーにて連載開始されました。インターネットでこのニュースの見出しを見た時に私は「タイトルがこんなに被ることってある?」と思いました。
しかしニュース記事を詳しく読んでいくと実はこの漫画のタイトルは紛れもなくCreepy Nutsの「よふかしのうた」に由来するものであることが書いてありました。
そして2021年、この漫画が来年アニメ化されることが発表されました。その主題歌を担当するのはもちろんCreepy Nuts。

たりないふたりに影響を受け、その最後を見届けることになった大阪のラッパーと新潟のDJは時が経ち人に影響を与える立場へと変わりました。

明日のたりないふたりはすでに動き始めているのだということを強く感じた出来事でした。

舞台裏映像ではCreepy Nutsの二人が漫才を見届ける様子も映されていました。
若林さんの台詞が決まるとゴンフィンガーを掲げるRさんの様子を観て、たりないふたりの漫才も立派なHIPHOPであると感じました。

サプライズパフォーマンスに向けて舞台袖でスタンバイをしている時、ついに佳境に入った漫才の中でCreepy Nutsの二人について触れる場面がありました。
松永さんはそれに思わず号泣。そしてそんな松永さんの背中を叩いて力強く客席へと降りていくRさん。この場面は最高に胸が熱くなりました。

舞台裏映像が終わり、最後に映されたのは夜の公園でした。
ふたりがそこにいるだけで自然と漫才が始まり、街灯はサンパチマイクへと姿を変えます。

きっとこれからも、誰も見ていなくても、ふたりはこうして漫才を続けていくのだろうなと感じました。


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