憧憬ソーヤング

憧憬。
意味:あこがれること。

読み方を調べると「しょうけい」あるいは「どうけい」らしい。
「そんなことある!?」と思ったら「どうけい」の方は慣用読みで「まぁ、間違いではないよね」みたいな扱いを受けるらしい。

小さいころは神様がいて仮面ライダやヒーロー戦隊にも憧れたし、試合で活躍するトップアスリートにも憧れた。
それでも歳を重ねるにつれ、幼いころに360°全方位的にどこまでも伸びていたはずの好奇心がおさまって本当に興味のある事柄にだけ残るようになった。それに加え自分の得手不得手が分かってくるので、不得手のジャンルについては憧れを持つことすら止めてしまった。
最近では比較的好きだし得意としているジャンルの成功者にすら憧れを持てずに「あぁ、すごい人だなぁ」とただ乾いた賛辞を贈る程度になっている。

そんな私だが、ここ最近「カッコいい、、、こうなりたい!」とどでかい憧憬の念を抱かずにいられない存在に出会った。

それが佐藤千明と小松海佑だ。

佐藤千明

いわずとしれた伝説のバンド「赤い公園」のボーカルである。
赤い公園はギタリスト兼天才ソングライターの津野米咲を中心として洗練されたポップセンスと緻密なアレンジが魅力の曲を量産しまくっていたモンスターバンドで、2021年に津野米咲の夭逝を経て解散している。
佐藤千明は2017年にバンドを脱退しているのだが、その佐藤千明擁する赤い公園のラストライブ「熱唱祭り」がとにかく良すぎるのだ。

あまりによすぎるので、そのライブDVDが特典でついているベストアルバム「赤飯」の初回限定版をなんとか手に入れたいが、メルカリで25,000円くらいになっている。。。
YouTubeに熱唱祭りの映像あがっているけど、あれが公式のものとは到底思えないのでURLは貼らないし「みんな見て!」とも言いにくいところがあるのよね(共感したいと思ってくれる方はちょっと調べてもらうとして。。)。。。
メインのソングライターは亡くなってるし、他のメンバーもたぶん事務所とかバラバラになっちゃってるだろうから権利関係とか難しいんだろうけど、なんとか公式で「熱唱祭り」のライブDVDとか出してくんないかな。

私はもともとほとんどガールズバンドを聴いてこなかった。
別にガールズバンドをなめてるとかじゃなく、単純に機会がなかったし、自分から「ガールズバンドを聴くぞ!」って意気込んで機会を作ることもなかっただけなのだが、自然と男性ボーカルのバンドばかり聞く人生だった。

しかし、赤い公園の名曲「のぞき穴」を聴いてから、iTunesで来る日も来る日も赤い公園だけを聴きつづけ、ヒマがあれば前述のYouTubeで「熱唱祭り」の動画を見たり見なかったりでもうとにかくどっぷりハマってしまった。

津野米咲の楽曲のよさは言わずもがなだが、佐藤千明の歌声の力とステージパフォーマンスがかっこよすぎて、心から「女になりたい」と思った。
別に男でも高音が出て歌がうまけりゃ歌えるんだけど、なんか歌詞世界とかを完全に理解して表現しようと思ったら自分には女性性が足りないなと思った。

とにかく、この歳になって、しかも異性に対して「この人みたいになりたい!」という感情を抱くなんて思ってもみなかった。
でもそれも当然じゃないかって思うくらいカッコいいんだよね、佐藤千明。

小松海佑

漫才コンビ・銀兵衛のことは噂では聞いていたが、そんなに漫才を見る機会はなかった。見る機会をほとんど持てないまま銀兵衛は解散していた。

小松海佑はその銀兵衛のボケ(?)、ネタ作り担当。
現在はピンで漫談をしている。

その漫談がこちら。

ていうかもう公式チャンネルにいってください。

見ました?ちゃんと見ました?

怖いくらいの才能、世界観。
それを余すことなくむき出しにして、たった一人マイクの前で表現し続ける男・小松海佑。

もちろん面白くて笑ったんだけど、見終わった後に「かっこいい・・・」ってなってた。
佐藤千明のステージパフォーマンスを見た後と同じで、心から「この人みたいになりたい」って思った。

昔からお笑いが好きで、お笑い芸人になりたいって思っていた時期も短からずあった。
今だって社会人お笑いをやってみたくて、でもピンネタが思いつかないし自分がステージにひとりで立つ姿も想像できないから存在しない相方を想定して漫才やコントを考えたりしている。

でも、こんなの見せられたらかっこよすぎて「自分も漫談やってみたい!」って思ってしまう。
そして、小松海佑に憧れた漫談を小松海佑の才能4京倍希釈くらいの私がやったところで少しもウケないこともわかってる。

でも、これが「憧憬」のすごさで、普通なら「オレがやってもウケないし、別アプローチで考えよう」ってなるのに、ウケない未来を覚悟してでもやってみたくなっている自分がいる。

佐藤千明への「憧憬」は「女になる」という遥か高い障壁があるけど、小松海佑への憧れは性別関係ないのでチャレンジできてしまう、この素晴らしさと恐ろしさ。。。。

きっとこの憧憬の念は私の身を焦がし、下手したら大けがをさせるものかもしれない。
でも、ここまでやってみたいと思うなら、やってみよう。

うん、やってみよう。

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