見出し画像

2021年上半期ベストアルバム

2021年の上半期に発売されたもののうち、好きなアルバム/EPです。他にも色々ありましたし、聞き逃しているものもたくさんありそうですが、とりあえず10枚に絞ってみました。順不同です。

Raio / Domenico Lancellotti

トータルなアルバムとしても、個別の楽曲的にも素晴らしい!前作の「オルガンス山脈」がショーン・オヘイガンのプロデュースもあって話題になりましたが、それを凌ぐ出来だと思います。各楽器の配置を含め丹念に組み上げられた上品で夢のようなポップ・ワールド。特にドラム・パーカッションの音が実に魅力的に響いています。

曲間ほぼなしで綴られる各楽曲の中でも、特に8曲目「Vinho Velho」はホーンのオブリと下降するベースラインが堪らない多幸感溢れる名曲です。日当たりの良い部屋でじっくり耳を傾けたい一作です。

Sóis / Luis Gabriel Lopes

ミナスのSSW、ルイス・ガブリエル・ロペスのEP。弾き語り中心のシンプルな編成ながら、一筋縄ではいかない雰囲気を醸し出しています。今年に入って連続して出していたシングルが全部良く期待が高まっていましたが、追加された1曲目の「Sonhar Feito Planta」がまた良く、充実ぶりが伝わってきます。

「Costura」ではもったりさせたパンデイロとギターを中心に沁みるメロディを奏でつつ、所々でメロトロンと思われる伴奏が色を添えます。Lola Membrilloと共に歌う「Criança Boa」も涙腺を刺激する豊潤なメロディの詰まった名曲!

Catapoeira / A Outra Banda Da Lua

ミナスの北部の街モンチス・クラロスを拠点としているというバンドA Outra Banda Da LuaのEPです。メインボーカルのマリーナ・セナは、前述のルイス・ガブリエル・ロペスと共にRosa Neonのメンバーでもあります。

ミナス・ジェイラス州は日本の1.5倍の面積を持ち、人口は2000万人ほど。一括にできない音楽性があり、このバンドはトロピカリズモ感の強いサイケなサンバというイメージ。マリーナの熱帯の気怠いエロティシズムを感じさせるボーカルも上手くハマってます。です。中でも1曲目「Catapoeira」は強力!
余談ですがマリーナ・セナのソロ曲もネオソウル感があって非常に良いです。

Private Reasons / Bruno Pernerdas

1曲目「Family Vows」を聴き始め、良くできた職人的ポップスでまあまあかなとか思ってたら、間奏あたりからエフェクトボイスとシンセのユニゾンで魅惑的な展開が始まり一気に虜に。続く謎言語で歌われるアフロエレクトロという感じの「Lafeta Uti」も最高ですね。

ウェルメイドな多国籍ポップスであり、またそこに止まらない一癖二癖もあるアレンジに舌を巻く傑作です。曲展開にこちらの想定を一歩踏み越えてくる感じがあるんですよね。ジャケットも最高。早くLP届かないかな・・・。

Todos Nos / Davi Moraes

Novos Bianosのモライス・モレイラの息子にしてイヴェッチ・サンガロ、マリア・ヒタの元夫というとてつもない男、ダヴィ・モライスの新EP(方やブラジルで最も成功した大スター、方や伝説的シンガーの娘で本人も人気アーティストという二人と結婚して離婚とかそんなこと普通あり得るか?)。
父モライスと幼い頃の自分と思われるジャケットからしても昨年亡くなったモライスに捧げられていると推察される本作。プロデュースにはカシンも名を連ねています。
まずカルリーニョス・ブラウンも参加した1曲目のAos Santosが沁みます。その後の2曲はジョイス、マリーナ・リマという大御所女性アーティストとのデュエットで父の作品を取り上げ、ダジとムー・カルバーリョの兄弟が参加したラストの「O Cantor das Multidões」がまた泣かせます。これはムー・カルバーリョの作曲で伝統的なMPBという感じですが、問答無用で良い曲です。

Mood Valiant / Hiatus Kaiyote

ハイエイタス・カイヨーテ待望の6年ぶり新作。細かいリズムの上で雄大に流れるネイ・パームの歌声が魅力的な「Shivalry is Not Dead」。かすれた声も交えて淡々と綴られる「Red Room」。僕にはネオソウル最新が何なのかとか全然分かりませんが、本当に素晴らしいソウルミュージックだと思います。

全編素晴らしいですが、やはりアルトゥール・ヴェロカイの管弦アレンジが冴えまくる「Get Sun」が最高ですね。流麗な中に異物感があるというか、ハイエイタス・カイヨーテとヴェロカイが互いの持ち味をぶつけ合った最良の結果がもたらされた感じです。

Peace Or Love / Kings of Convenience

これも最初はああ、普通に良質だね〜とか思いながら聴き始めたんですよね。でも2曲目の「Rocky Trail」を聴き終わったあたりで必死でアナログを探し始めましたよね。売り切れでしたけど。

何が特別なのか言葉で説明しにくいんですが、とにかくレコードで聴きたくなる感じ。エレガントなアコギとストリングスとコーラス、それだけで十分なのかもと思わされる1枚です。

FRUITFUL / 堀込泰行

堀込泰行という人は普通そうでヤバい人の筆頭というか、普遍的なロック・ポップスへの嗜好が突き抜けて独自の地点まで至った人だと思っていて、このアルバムはそれが良く現れた作品だと思います。冨田謙、八橋義幸、柏井日向の3人との共同プロデュースというのもユニークで、全体的にバンド感のある仕上がりになっています。

先行シングル「5月のシンフォニー」、レゲエ風味の「光線」、得意のシャッフル「君と僕」、馬の骨のころを思わせる「マイガール・マイドリーム」、分厚いコーラスの「涙をふいて」など楽曲も充実してますし、ほのぼのしているようで「えっ?何言ってるの?」みたいな歌詞も健在。ボーカルスタイルも唯一無二のところに来てますね。

Sou Assim Ate Mudar / Mart'nalia

マルチーニョ・ダ・ヴィラの娘で、現代サンバを代表するシンガー、マルチナリア。独特なハスキーボイスが魅力です。サンバに加え、オーセンティックなソウルよりの楽曲も多く、Feel Like Makin' Loveのポルトガル語カバーなども納められています。

先行シングルのジョニー・フッカーとの共演「Veneno」、本人も曲作りに名を連ねている「Tocando a Vida」の2曲もどちらかと言えばソウル寄りで、これが素晴らしい。コロナ禍により産まれたと思われる「Novo Normal」は内省的なサンバ曲でこれも良いです。

からだポータブル / 諭吉佳作/men

待望のまとまった作品。クールな中に滾る情熱を感じます。まず声が良いですし、変幻自在のコードワークと飛躍があるのに流れるようなメロディアスさが本当に素晴らしいです。サウンド的には長谷川白紙や、少し竹村延和あたりに通じるものもあると思いますが、諭吉佳作/men進行とも言うべき独特の起伏のあるメロディは絶対的な個性かと思います。ジャズミュージシャンがサックスとかでやることを自分の声を使って、綿密に計画して演奏しているような感じさえあります。特にラストの「撫で肩の............」が好きです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?