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デジゲー博2018でスペースハリアーっぽいVRを出展するまでの経緯

2018年11月8日、秋葉原UDXで開催されたデジゲー博2018にて私は「スペースハリアーっぽいVR」を出展しました。このパロディゲーム(?)に関する情報は私がツイッター上のみで発信しておりまとまった情報がないので備忘録としてこのゲームを作ることになった経緯を紹介したいと思います。

1.ゲームの内容

このゲームはスペースハリアーをVRで再現しようと試みたものだ。対応ハードはFacebookがリリースしたモバイルVRマシン「Oculus Go」のみで、特定のストアやインターネットでのアプリケーションの配信などは行っていない。基本的なルールは本家スペースハリアーとほぼ同じで、VRのコントローラを向けた方向にキャラクターが移動し、コントローラのトリガーを引くと弾が発射される奥行型シューティングとなっている。以下のツイッターの動画を見てもらうとイメージは掴めると思う。なお、ゲーム内の物体はすべてドット絵ドット絵のスプライトで表現されている。

2.きっかけとプロトタイプ

私は中学生ぐらいの頃にニンテンドー3DSで発売された「セガ3D復刻アーカイブス」シリーズ第一弾の「スペースハリアー」をプレイしたことがあった。立体視に対応したドット絵の世界に対する関心はこれで育まれたのかもしれない。

ことのきっかけは2018年5月前後だ。Facebookが発売したOculus Goを購入した。このころに7月7日に銀座にてOculus Goを用いたVRの展示会「銀座VR2」(出展費無料)が開催されることを知ったので出展申し込みを行った。元々はVRノベルゲームに近いものを考えていたが、ダイアログシステムの実現に困難していた。それに加えてYouTubeで偶々見たアウトラン(セガが1986年にリリースしたアーケードゲーム)の動画を見て千本鳥居のごとく大量に並んでいる門を猛スピードで潜り抜ける様子を見て「これをVRで再現したら面白そうだな」と思ったことで「アウトランっぽいVRを作る」ことにした。以下の動画のリンクでは該当箇所(大量の門)から始まるようにしています。

それで、私は普段から使い慣れているUE4を使用した。まずは大量の門をくぐる箇所をOculus Rift向けに再現した。

この時点で自分のやりたいこと「上記の大量の門を猛スピードで潜り抜ける眩暈(イリンクス)」はほとんど実現できてしまったが、ゲームとして致命的な問題を抱えていた。ゲームとして成立させる方法が思いつかなかったのだ。VRゲームでは一人称視点であることが多いが元ネタのアウトランは差人称視点で左右に動くと酔いの問題もあり、そもそも車を操作する方法が思いつかなった。なぜなら、Oculus Goのコントローラにはタッチパッド1つ(HTC Viveの親指部分)とトリガーひとつしかないのでコントロールへの割り当てが非常に難しいのだ。

結局この部分は展示用のデモであると割り切ってプレイヤーは動けずに加速減速のみできるようにした。上記の門をくぐる道路をひたすら眺めるだけのようなもので、「これはデモなのだがどのようなことに使えそうか?」と体験した人たちにひたすら聞いた。展示会にはVRのベテランから初体験の人まで様々いて小さい子供からお年寄りの女性まで体験してもらうことができた。展示に用いたものはもう少しオブジェクトを増やしてドット絵のスプライトのみで構成したのでノスタルジーな雰囲気を評価してもらったり、スプライトのみで3D空間を構成することへの関心を示してもらうことができた。そのほか、操作方法や演出への提案もあった。手回し式のからくりのようにコントローラを動かすとステージがスクロールするという案が印象深い。また、Nintendo Laboのダンボールのようにハンドルのようなものを作成してそれにコントローラを取り付けるといったものもあった。のちにダンボールのハンコンが同梱したラボが発売されたので購入したものの採用には至らなかった。

しばらくしてデジゲー博2018の受付が始まった。当初はスプライト系FPS、つまりドゥームのような平面のキャラクターしか出てこないFPSを製作しておりそれを出展、ついでにOculus Goで作った何かを展示する予定だった。しかし、案の定FPSの方が間に合わず完成しない見込みとなったのでOculus Goの方に専念することになった。銀座VR2で用いたアウトランライク(?)なゲームを改良したいと考えていたら、同じ奥行系スプライトのセガの系統のスペースハリアー風にすれば解決するのでは?と考えた。Oculus GoのWiiリモコンよりボタンが少ない棒一本で操作するならば、コントローラの向きとトリガーのみで完結する必要があり、幸いスペースハリアーはWiiのアーケードクラシックでWiiリモコンに対応させていることを知っていたのでVRでも同様に扱うことができるのに気が付いた。

VRの処理をもう少し具体的に解説すると、ほぼWiiリモコンとテレビの関係と同じだ。ゲームのVR空間内には実際のコントローラの動きを反映したコントローラ状の物体と見えない壁があり、コントローラの先端から出ている光線と壁のぶつかった場所にキャラクターの位置が反映される仕組みだ。この手法はTwitterで墨崎達也氏(@T_Sumisaki)に教えていただいた。ありがとうございます。

そういうわけで、冒頭のようなものが仕上がり、ビルドの入ったOculus Go単品を秋葉原まで新潟から新幹線で持ち込んだのであった。

3.体験者の反応

基本的には良好だった。もちろん、これは同人的な展示会なので体験してつまらないと思ったゲームに対してつまらないとわざわざ指摘する人はほとんどいないはず(一部サークルでは上から目線指摘マンが来たとツイッターで報告もあった)であり、反応があった人の中では良好だったということだ。リアルタイムにスペースハリアーをプレイしたことがある30後半から40代の方々に「スペースハリアーの再現ができている」「VR化したらこんな感じになるのね」といった反応を貰えた。スペースハリアー未経験やVR初心者の方々からも操作性とゲーム性がわかりやすいのかシューティングとして面白いと評価してもらえた。

4.反省点諸々

ゲームをもう少し作りこみたかった。敵キャラクターのウェーブはすべて座標をTimelineノードで手付けしたりその他も色々手作業なので効率的に管理する方法を知りたい。あとはコリジョンの管理をしっかりしてダメージ判定をしっかりと作りこみたかった(デモでは敵にダメージを与えられるが自分はダメージを受けてもスコアは減るがミスにはならない)。

ドット絵はすべて自分でAsepriteを用いて作った。背景も作りたかったが余裕がなかった。本家みたいに回転する背景を考えたけどめちゃくちゃ酔いそう。最適化不足のため床オブジェクトをかなり削ったが、それでも30FPSしか出なかった。これはVRの基準(60~90FPS)を考えると非常にマズイが、ゲームの構造上プレイヤーは基本前しか見ないので酔わなかったと思われる。プレイヤーからも酔ったという声は聴かなかった。あと音も自分で作りたかったので効果音とか作曲の勉強がしたい。

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